主義者【sideラサーサ】
▼こちらの流れをお借りしています。
■自キャラだけの話です。
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勿論、と俺は答えた。彼女を安心させるように微笑んで応じて、彼女の頬を翼の背でやさしく撫でた。
ディンがそう答えるのは想像が出来ていたといえば、彼女はどう思うのだろうか。そう思うからこそ、俺は今日も何も言わずに笑った。何もかもを見透かされないようにただ微笑んだ。人当たりのいい笑顔を。
***
春の祭りを終えて、一匹で樹の上で休んでいたところにセイフがやってくる。ああ、これはまた何か小言でも言われるのだろうかと思いながらも地面に降り立てば、呆れたような顔が向けられる。
『また小言?』
『……はあ、そうじゃない』
『セイフが一匹で俺のところに来るなんてそれしかないじゃん』
また深い溜息が吐き出される。それに対して俺はやっぱり笑うしかなく、セイフはその場に座り込んだ。それなら俺もその横に座るしかないじゃないか。
『お前とガラドは似ているくせに、似ていない』
『まあ別の存在だしな。俺ポケモン、あいつ人間』
『種族のことじゃない。それぐらいわかっているだろうに、お前はいつだってそうやってはぐらかす』
『ガラドと違って、俺はいつだってうまくやるだろ?』
『結果論の話だ』
じっとセイフが視線をこちらに向けてくる。その射抜くような視線、好きだけど嫌いだな、と思う。それが他の存在に向けられるのは好きさ、俺も知ることが出来るから。けれどもそれが俺に向けられるのは好きじゃあない。覗かれるのは、ガラドにだって嫌なぐらいなのだから。
『まあまあ、これだけは信じといてよ』
『何だ』
『俺はハッピーエンドが好きだよ?』
にこり、と微笑む。俺のこの言葉をセイフは果たしてどう捉えるのだろうか。まあ、どう捉えられても構わないのだが。俺はどのみち誰にも本心を言うつもりはないし、気付かれるつもりだってない。
だからそのまま、胃を痛めてくれればいい。
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