金欠の末路【sideガラド】
▼こちらの流れをお借りしています。
■お借りしました:ルーミィちゃん、ミィミくん、アミュレちゃん
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ここまでのあらすじ。
金欠がすぎて本気で生活の危機を感じ、景品目当てにバトルイベントに参加するも苦手なゴーストポケモンだらけで相当やばい。理由が理由なため知人にばれるのも恥ずかしいと安物の着ぐるみを買ったが普通に不審者がすぎるので、これはまずいと危害はありませんよの意を振りまくためにもと安物の風船を買い更なる謎の出費で首を絞める。
そして恋人と偶然出会いゴーストポケモン達から守ってもらえることになった。ここまでで既に情けなさすぎることは理解しまくっているが現状の俺は更に情けないことになっていた。
安物の風船をタマザラシに割られ、タマザラシの射出した水を見事頭から被った訳だ。
寒い。
「つめたっ…………」
「ポケモンが喋った……?!」
「あっ、ええと、この方は……」
やはりポケモンと思われていたようだ。天使の可愛らしい仮装をした少女が驚いた様子でこちらを見上げてくる。
びしょ濡れになったことから正直今とてつもなくこの着ぐるみを脱ぎたくて仕方がない。仕方がないが、ポケモンだと思い込んでいた少女の期待というか夢というかそういうものを壊してしまうのではないだろうか。いや、わからんが。
何があれって着ぐるみを脱いでもガラの悪い男が出てくるだけなのだ。いや待て、ポケモンだと思っていたのが人だった以上にそのインパクトの方がやばくないか。
被りものを脱ごうとして、俺はぐっと耐えた。心配そうにこちらを見ているルーミィに身振り手振りで大丈夫だと伝えて、その場を離れた。ミィミが腹にしがみついたままのおかげでその辺りは温かいのがかなりの救いとなっている。いややっぱり安物の着ぐるみって、よくないな。
二人から離れて、ミィミとの二人きりになったところで漸く被りものを外す。ミィミが楽しそうに俺の肩によじ登ってきたので、濡れるぞと注意したがミィミに気にした様子は無い。
「ぬくいから俺は助かるけど」
風邪だけは引かんといてなと告げながら俺は適当な岩に腰掛けた。水を拭くことだけを気にして離れたが、風船もまた膨らませなければいけない。というか何故あんなにもあのタマザラシは風船への殺意が半端なかったのだろうか。その辺はまあ、考えてもわからないことだしと思考に蓋をした。
タオルで濡れた髪を拭いながら、俺に引っ付いたことで濡れてしまったミィミの毛も拭いてやる。ついでにとくすぐってやれば無邪気な反応が返されて心があたたかくなった。
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