迷子はであう【sideレフティア】

■お借りしました:テオさん、アメリーちゃん

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 はじめてやってきたリフィアタウン。その光景にレフティアはやはり目を奪われ、心を奪われる。感嘆の吐息を零し目を輝かせ、花の香りに心和らいだ。
 そうして一歩足を踏み出して、ふらふらと目に付いた輝かしい世界に誘われて。気付けば大切な人達との懇親会の場から離れて、はぐれてしまったのだった。

「…………どうしましょう」

 どうしたものか。背の低いレフティアにとっては人の多い祭り場では人を探すのすら難しい。まだ手持ち達がいてくれたのが救いだろう。ヴィティはごめんなさいねと申し訳なさそうに零すレフティアに苦笑を返した。
 不意にテュッキュの鳴き声が聞こえてレフティアは慌ててそちらへと視線を向けた。鳴き声は鳴き声でも、それは泣き声だったからだ。
 どうやら物珍しさに周囲を見渡しながら歩いていたのが悪かったらしい。テュッキュは看板にぶつかり、その反動で転がり痛みに泣き声をあげていたのだ。
 まだまだ甘えん坊で精神年齢が幼いその子は一度泣き出してしまうと酷く厄介なのだ。

「ああ、テュッキュ。痛かったですね」

 慌ててその子の傍まで近寄って抱き上げる。わんわんと泣き喚くテュッキュを赤子をあやすように揺らしてやるが、それでも看板にぶつけた額が痛むのだろう。赤くなったそこを押さえてその子は大粒の涙を流すのだ。
 キズぐすりは持ってきていたかしらとレフティアは思考するが、その荷物すらはぐれてしまった皆がいる場所に置いている状態だ。

「ごめんなさいね、テュッキュ。早く皆さまのところへ戻りませんと……」
「君たち、どうしたんだい?」

 影が降りて、レフティアは反射でそちらを見上げる。そこには一人の男性と珍しい色違いのガラルポニータがいた。
 髪を一つに結った柔和な雰囲気の男性は泣き続けるテュッキュと困った様子のレフティアを見て、ああ、と理解したように笑みを零す。

「もう大丈夫だよ。少し診せて御覧」
「はい……」

 その優しい声音に警戒なんてする訳もなく、レフティアはぐずるテュッキュをよく見えるように抱え直す。そうすれば男性によって手際よく額の傷の手当が施されて、痛みが引いたことで甘えん坊の涙が止まる。
 すっかり具合はよくなったらしいテュッキュは額に手を当てながら、嬉しそうに男性に感謝を告げるように鳴いた。その様にようやっとレフティアも安堵の吐息と、微笑みを零した。

「助かりました、本当にありがとうございます」
「ううん、気にしないで。良くなったならよかった」
「あの、何かお礼をさせてください。……ただ、その、今連れの方々とはぐれてしまい……荷物も何もかもがないのですが……」

 財布すらない状態に今更ながら抱いた羞恥から頬が赤くなる。テュッキュを抱き直して羞恥を誤魔化すように、レフティアは男性を再度見上げる。

「わたくしはレフティアと申します。宜しければお名前をお教え頂けませんでしょうか?」

恩人の名を知らないままだなんてどうしても耐えられないとばかりに、彼女は問うた。

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