青に揺れる【sideミィレン】

こちらの流れをお借りしています。
 
■お借りしました:バロックさん
 
 
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 気色の悪い男だと思う。その瞳も、その口も、その指先も、何もかもが吐きそうな程に気持ち悪い。どこぞの男を彷彿とさせる似すぎた姿は、見るだけで不快な感情にさせてくる。
 嫌いだ。本能的なものと、生理的なもの。失礼なものでしかないことをわかってはいるが、それでも私はこの男が嫌いだ。
 
 手を絡め取られて指先に口付けが落とされる。甘ったるい言葉と気障ったらしい行動に喜ぶ女性はどれ程いるのだろうか。反射でぞくりと肌が震えた、気持ち悪さで。
 それにしても、彼は贈ること自体はやぶさかではないと発言した。それだけでその指輪がよくないものだということだけは理解出来てしまうのが嫌だ。数名が身につけていることに、勧誘するかのような文句に、組織的なものを連想させる。
 探ってみようか、どうしようか。とはいえ深入りはあまり宜しくない。この男にフォンミイが関与しているだけで、どうせろくでもないものなのだから。不用意に深入りしすぎるのは宜しくない。
 
「あなた顔で誤魔化してるだけでセクハラで訴えられたら負けるわよ」
「不快でしたか?」
「そういうところよ」
 
 深い溜息を吐き出す。優男の手を振り払い、触れられた箇所を消毒するように手を撫でて軽く振った。そんな私の態度すらもどうせ愉しんでいるか、何とも思っていないか。目の前の男は依然として微笑んだままだ。
 
「私に贈るに値する男になったら受け取ってあげてもいいわ」
「機会を頂けるなんて光栄ですね」
 
 上辺だけの言葉遊び。適当な誤魔化しだ。この男がこんな風に乗り気になる時なんてどうせいいことなんてある訳が無いのだから。
 本当にあの男に似すぎて嫌になる。再び溜息を吐き出して、目を閉じる。
 
「青い色には気分を落ち着かせる効果もあるそうですよ」
 
 ことりという音というともに零された言葉。止まない頭痛に襲われ続ける頭を指先で抑えながら瞼を持ち上げれば、澄み切った美しいカクテルが置かれていた。
 それの意味なんて、考えたくもない。

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