再会と改めて【sideリピス】

■お借りしました:スイカちゃん
 
 
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 ノアトゥンジムに挑戦したのはもう前のことだというのに、つい昨日のことのように思い出せてしまう。それはそれ程までにノアトゥンジムでの出会いや得たものが大切なものだったからだろう。
 
 スイカとの再会はとても嬉しかった。嬉しかったのだが、まさか進化したばかりのトト、エンペルトとお揃いかと間違えてしまうようなモチーフの服を着ているなんて思わなくて。思わず笑みを零してしまえば、スイカもつられたように笑みを零す。
 あの時とは全く違う装いのスイカは純粋に可愛かった。大人っぽくもお洒落な服装に緩くウェーブのかかった髪。レンズ越しでしか知らなかった瞳はとても美しく澄んでいて。普段からそうして綺麗な瞳を見せていてもいいのに、と思ってしまう。
 
「この子はノアトゥンジムの挑戦後すぐに仲間になった子なの」
「ふむふむ」
「ポッタイシだったんだけどね、さっきジムリーダーベリルとバトルしたら進化して」
「ベリルさんと!?」
「ええ」
 
 負けてしまったけれども、それでいて酷く楽しかった。輝いていたバトルの時間を思い出す。はじめて出会った、不思議な人だった。
 
「勿論負けたけれども……流石の人ね。見抜かれたわ、ジムバッジを手に入れていることを」
「バトルしただけで?流石ですね~……貫禄といいますか……」
 
 わたしが生まれてはじめて手に入れたノアトゥンジムのジムバッジ。普段の装いではストールにつけるようにしているが、今日は専用のケースに入れている。鞄の中からケースを取り出して開けば、貰った時の輝きを褪せさせることなくそれは堂々と鎮座している。
 
「わたしね、はじめてのジムがノアトゥンジムでよかったと本当に思っているの」
「え?」
「わたしに、絆の大切さと在り方。それに加えてたのしいポケモンバトルを教えてくれたもの」
 
 だからとっても感謝しているのよ、スイカにもカンザシにも。あの時の高揚感を思い出しながら改めて感謝の言葉を続けて告げれば、自然とわたしの表情は緩む。だってそれほどまでに嬉しかった。楽しかった。とてもいい経験をさせてもらった。だからこそ、ジムでの経験は愛おしいものでしかないのだ。
 わたしの言葉に驚いたような表情を見せていたスイカがどこかそわついた様子を見せつつもはにかんだ笑顔を浮かべて、わたしは思わず可愛いわ、と呟いてしまう。
 そういえばと紐づる式的にわたしは思い出して気になったことを問いかけた。
 
「ジムリーダーカンザシは来ていないの?」
 
 首を傾げたわたしの言葉に、どうしてかスイカが食べ物のスイカ以上に顔を赤くしたような気がした。

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