ちぐはぐつぎはぎ【sideミー】

こちらの流れをお借りしています。
 
■お借りしました:(お名前出ていませんが)サーシャくん、グレナデアさん、パルストくん
 
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 少年と少女の境界が曖昧となる年齢のその子は、やはり愛らしい微笑みを浮かべるのだ。選ばれるその言葉があまりにも丁寧で美しくて、それはその子の教養や頭脳の高さといったものを如実に表している。ミィレンであったならばきっとそれを素直に褒める反面、どこか、哀しく思ったのだろう。女優であり演じることが主だった彼女は、その在り方に疑問を抱いていた時期があったのだから。けれどもミーにはそのような感情はない。
 
「宝石みたいな思い出かあ。とってもとっても素敵な表現だね」
「そうかな。でも、そう言ってもらえると嬉しいや」
 
 うん、と笑ってミーはじっとその子の瞳を覗き込んだ。淡い新緑とも、深い翡翠ともとれる色は周囲の光を反射して輝く。角度が変わるたびに色を移ろわせるそれはただただ美しくて、変化に富む。
 
「どうしたの?」
「君の瞳の色も宝石みたい」
 
 とても綺麗。と本心からミーは呟いて瞬きを一つ。再び目を開いた時には視線を別の方に向けて、楽しそうに振り返った。
 
「あ!向こうにステージある!」
「ファッションショーとかパフォーマンスとかあるんだって。飛び入り参加も可能だったかな」
「参加可能なの?!」
「うん。楽しそうだよね」
「参加してくる!」
 
 ころころ、ころころ。夢見た少女の姿はいとも単純に好奇心を転がせる。え、という聞こえた声もお構いなしに、宝石のような瞳と形容したその子の整えられた髪を乱してしまわないように一輪の白い花を添える。これも似合うなあと満足気に微笑んでミーは手を離す。
 そうしてホアンシーを抱きかかえたまま見つけたステージの方へ走り出したミーを見て、ウーイーはやれやれとばかりに嘆息した。団扇でこちら側まで仰いでくれていたグレナデアに感謝を告げつつ和やかに過ごしていたらこれなのだから。
 慌ただしくて申し訳ないとばかりにウーイーが軽く頭を下げれば、気にしないでいいとばかりにグレナデアがやさしい態度をとってくれるのが救いだろうか。また会えた際にはもう少しゆっくり過ごしたいものだと思いつつ、パルストの頭を軽く撫でてからウーイーもミーの後を追った。
 
「また会ったら名前教えてね!その時は占ってもあげる!」
 
 立ち止まって振り返り、ミーは笑った。占い師とも名乗っていないのだから急に言われても何の話だと疑問に思うに違いないことを。それでも言葉少なに彼女は楽しみに笑った。彼女はただちぐはぐな夢の欠片なのだから。
 ミーにつられてホアンシーも手を振った。ふらふらとした小さな手。それは再会を願うようであり、何かを■■かのようにも見えたが、真相は定かではない。ただただホアンシーはよろこびを願って、笑った。彼女はただちぐはぐなパッチワークなのだから。
 それらをただウーイーは気持ち悪いと、純粋に思っていた。

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