迎えるは【sideレフティア】

こちらの流れをお借りしています。
 
■お借りしました:テオさん
 
 
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 自分の名を呼ぶ声が聞こえた。まさかと思い振り返れば、そこにはテオの姿があった。自分は一体どんな顔をしていたのだろうかと思う。だって、久方ぶりに見た彼の顔が嬉しそうでいて、それでいて泣きそうな不思議な顔だったから。自分もつられてしまいそうになったかもしれないし、つられるまでもなく似たような表情になっていたかもしれない。
 会いたくて来てくれたというテオに喜ぶ自分がいたのは確かだった。次いで告げられた約束についても、覚えていてくれたのだと心が躍った。贈ったネックレスは確かに彼の胸元で光っていて、イゼットへの感謝の情が胸の中にあたたかく灯る。それに何より、贈ったものを既につけてくれていることが嬉しくて安心した。
 
「俺と、ポケモンバトルをして欲しい」
 
 お返しがしたくて、とテオは口にする。その手に古びたモンスターボールを持って。テオはバトルは苦手だと口にしていた。だからこそ彼からその誘いが持ちかけられることが驚きで仕方なかった。けれども、モンスターボールを握りしめる手の力のこもり具合に、テオ自身の真っ直ぐな射貫くような瞳に、彼が本気でお願いしてきているのだとわかる。
 
「バトルが終わったら、伝えたいことがあるんだ」
 
 その言葉に対して、今何かを問いかけることは野暮だと判断した。レフティアは一度しっかりと頷いてから、手持ちの選出を考える。テオの真剣な想いに、今ジムトレーナーではない自分で迎えうつには最良の相棒は誰か。その誰かは、酷く珍しいことに自分から手をあげた。
 かたん、と鞄の中に入れていたボールが一つ揺れた。おや、と思って中を覗けばそこには物珍しくもロスカがこちらを見つめていた。ロスカは酷い傷を負っていたところをレフティアが保護した野生のラプラスだ。体の傷だけではなく心の傷も受けたのだろうロスカは酷い不信に陥っており人間からもポケモンからも平等に距離をとっていた。
 そんな彼がレフティアの献身的な看病に僅かに心を開いてくれたのは知っていたが、一度も自分からバトルをする素振りは見せていなかったし、それどころかバトルの様子からも目を反らしていた。そんな彼が、今明確にバトルの相棒に選べと言ってきている。
 他の手持ち達の様子を確認する。テュッキュは不満気だが、キノスとヴィティは満足そうに頷き、ミュラッカは楽しそうに微笑んでいた。そしてレフティアのすぐ後ろにいたランタは___その瞳をロスカと合わせてからレフティアに向けて小さく鳴いた。
 
「レフ?」
「ああ、いえ。すみません、わたくしも決めました」
 
 そっと鞄の中からプレミアボールを取り出して、テオ達の方を見据えるロスカの背中を見つめる。トレーナーとポケモンともにやる気は十分。彼の真摯を受けて立つに相応しい。
 
「ロスカ、わたくしがはじめてともに並ぶ子です」
 
 場所を移動しましょうか。そう微笑んで、レフティアは自分の旅館のバトルコートへとテオを誘った。
 
 
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▼ロスカの現在の技構成などです。
 何か問題があったら言ってください!
 
■ロスカ:ラプラス♂(プレミアボール)
【性格】ゆうかん
【特性】ちょすい
【持ち物】オボンのみ
【技】フリーズドライ、じしん、しろいきり、しおみず

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