寒暖差【sideミュラッカ・レフティア】
▼こちらの流れをお借りしています。
■お借りしました:テオさん、フェイくん
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私は、レフにとっては大切な手持ちなのでしょう。勿論私もレフのことを大切に思っているわ。けれども、私はやっぱりユキメノコというポケモンなの。ただの童だけであれば、どれだけよかったでしょう。けれども私はこちらに進化することを選んだ。
だからこそレフを時たま憐れに思うと同時に、”レフが女性でよかったと思わざるを得ない”のだ。
私はレフが好きよ。それは変わりないわ。でも、だからこそ危険なのよ。だからこそレフが女性でよかったとしかいえないの。
『ええ、よろしくねフェイさん』
だから、懸念点はレフの想い人とその手持ちたち。後ろに控えていたその子はどこか嬉しそうに私の手をとってくれる。私とは全く違うあたたかい手。軽く握ってやさしく撫でてから、手を離す。
それ以上手にしていたら、欲しくなってしまうから。
『トレーナーはトレーナー同士、ポケモンはポケモン同士歓談といきましょう?』
自然と穏やかな微笑みが浮かぶのは偽りではない。私はやさしい子は純粋に好ましく思う。というか、別に誰かを嫌うことの方が少ない。
自分と相性がいいのはロスカのような性格の悪い突き放してくる雄なのではあるのだけれど。
だから、ねえ。私に、興味だけは持たせないでちょうだいね。
***
しっかりと手を握りしめられて、テオの美しい青がこちらを見据えた。その瞳の中には間違いなく自分が閉じ込められていて、囚われたかのような錯覚を抱く。それは本当にただの錯覚にすぎないのだけれども、どうしてか、どうしてか頬に熱が溜まるような感覚があった。
「え、ええと、はい、大丈夫です」
「本当?」
彼の手をやわく握り返せば、少しだけ力が強くなったように感じられた。それにまた頬に熱が溜まったような感覚があったが、これは一体何なのだろうか。
迷子になってしまってアニーニケに迷惑をかけているのは私個人の失態だ。それでいてアニーニケを見つけたいという我儘を受け入れてくれたテオはやはり優しい。でも、まさかあんな風にお願いをされるとは思っていなかったのだ。
うっかり焦りから言葉をどもらせてしまったことを、テオが気にしないでいてくれるのいいのだが。
「この大会の間は、わたくしはテオさまのお傍を離れません」
テオの表情はどこか不安そうにも見えて、それには思わず愛おしさから微笑みが零れてしまう。恐れることなど何もないのに、と。私の気のせいかもしれないが、それでも私は彼を安心させるようにと彼に握りしめられた手で指先をやさしく撫でた。
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