月の零れた先に【sideグリモア】

こちらの流れをお借りしています。

■お借りしました:テラーさん
 
 
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 テラーが自分のことを責めることはないと思っていた。それでも貰ったムーンボールで捕獲したポケモンを見せることが出来なかったことが、単純に悔しかったのだ。
 それどころかレラジェとのバトルでついた傷の方を心配されてしまった。病院は好きじゃない。金がかかるし、この傷はどうしたんだと親族から受けた痕を追及されるからだ。別にあんなどうでもいい親族から受けた傷痕なんて何とも思っていないのだから、放っておいてくれたらいいのにと思う。
 
「教えてくれよ、お前達のこと」
 
 俺の手当てをしながら、テラーはバトルをしようと持ち掛けてきた。拒絶する意思は勿論ない。バトルをするのが一番相手を知るには手っ取り早いと俺自身も思っているからだ。
 テラーの表情は穏やかな笑顔のままだ。ただ、その腕に抱かれたシュテルの様子はどこか落ち着かない。それは何故かと考えて、現時点で思い当たるのはレラジェのことだけだ。
 とはいえ、結局は憶測だけでは何が理由なのかはわからない。だから、俺がとる方法は一つなのだ。
 
「……わかった」
「ん、ありがとな」
 
 何がそんなに嬉しいのか、楽しそうでそれでいてどこか安心したようにテラーは俺の頭を撫でた。慣れなかったその感覚は、いつの間にかテラー相手なら当たり前のようにも感じられている。それはテラーがいつだって俺を硝子に触れるかのように大切に扱うからだろう。
 どうしてそんなに俺を大切に扱うのか、俺には未だに理解出来ないが。
 
「レラジェ」
 
 手当てを受けている最中、俺の荷物を代わりに持っていてくれたレラジェを見ればその子はすぐにこちらを見上げた。
 呼んだだけで指名されたことを理解したのだろう。レラジェはやはりにっこりと笑って頭を下げた。
 
「テラー」
「何だ?」
「……俺が勝ったら、お願いがある」
「お願い?」
 
 テラーの手際は酷く良かった。道具が充足していたことも要因だとは思うが、手当が得意なのには理由があるのかと考えて、それは今考えるのとではないと思考の片隅に追いやる。
 俺は立ち上がると首を傾げるテラーに向かって頷いた。
 
「勝ったら言う」
 
 本当に個人的なお願いであるそれを、いや、誰かへの願いとやらを思ったのすらそういえばはじめてだと。
 口にしてから漸く気付いた。
 
 
 
 
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▼バトルを喜んで受けさせて頂きます!
 レラジェの現在の技構成などです。
 何か問題があったら言ってください!
 
■レラジェ:ニューラ(ヒスイ)♀(モンスターボール)
【性格】ようき
【特性】???
【持ち物】きあいのタスキ
【技】シザークロス、きしかいせい、どくづき、つめとぎ

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