How do you like it ?【sideガラド・ミィレン】
■お借りしました:ルーミィちゃん、ルイーさん
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思いがけないところで知り合いには出会うものだ。こういう知人には見られたくない状況である時は余計に。
バトルをする気満々のミィミの様はあまりにも微笑ましくて、それと同時に俺のことを気にかけ続けてくれたことにも感謝しかない。だからこそ折角のバトルの機会はめいっぱい楽しんでほしいと、俺はドーンを抱き抱えながら手を振った。
ミィミの代わりにとスティも俺の護衛にと出してくれたルーミィのやさしさが嬉しい反面、過保護じゃないだろうかとも苦笑をしそうになるがそれでも嬉しいの方が勝ったので俺は黙った。向けられるやさしさは何だって嬉しいし、心配してもらえるのは何よりも幸福なことなのだから。
今回のバトル相手は子どもではないし、俺のことは確実に中身が人間だと気付いているだろう。流石にそろそろ暑さが限界だし、被り物を脱いでもいいだろうと被り物を外したところで、やっぱり俺は運が悪いのだと思い知らされた。
「………」
「………」
僅かに距離はあれど、こちらに近付いてきていた知人の姿。ああ、あの情報屋もあんな風に仮装をするんだなとか昼に姿を見るのはじめてだな、とかいろんなことが頭をよぎったがそれらは全て現実逃避というやつだ。
何やら酷く既視感のある、”お前は一体何をしているんだ”と言いたげな実に酷く冷めた眼差しよりも暑さの方がマシだと、俺は再び被り物を被った。
***
愚かな男だとは常々思っていたが、着ぐるみ姿で風船を配っている姿を見ることになるとは流石に思いもしなかった。彼は一体何がしたいのだろうかと呆れたが、私の視線を受けて慌てて被り物を被ったことから知り合いに見られる羞恥心とやらは残っているらしい。いや、羞恥心かどうかはわからないが。
ひとまず着ぐるみを着ている不審者は置いておいて、私は改めてリングの振動音の理由に視線を向けた。知り合いではあるが今回は音に誘われてきただけであり、今は彼に関わる理由もない。
音とともに現れた私とベイシャンの姿に彼女達もこちらを見ている。しかしすぐに私がつけているイエローリングに気付いたのだろう。私は改めてイエローリングを見えやすいように腕を持ち上げて軽くひらりと手を振った。
「御邪魔しちゃったかしら。バトルをするように見受けられたから」
「いいや、そんなことないさ」
「はい。イエローチームの方ですよね」
「ええ。審判が必要ならどうかと思って」
私自身がイエローチームの人間だということもあってか、それとも二人の性格が礼儀正しいしっかりしたものなのか。冷めた態度をとられることはなく安堵する。
安堵すると同時ここに来るまでに摂取していたものが殆どくそ男しかいなかったものだから酷く癒された。哀しいことに。
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