悪毒【sideシャッル】

こちらの流れをお借りしています。
 
■お借りしました:フォンミイさん、イースーちゃん
 
  
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 警戒心が高いのはいいことだ。何事においても。いついかなる時においても気を抜いた瞬間に喉元に喰らいつかれ、足元は掬われる。だからだろうな、と思う。同じ血が流れている以上、相手も自分と同じなのは。
 
 
 これはまた、と見知った姿からのバトルの申し込みに自然と笑みが浮かぶ。自分と同様に仮装をしこのイベントに参加していたらしいフォンミイは情報屋らしく世間話を落としてくれた。
 彼が左腕につけている腕章の色は赤。自分とは違うチームであることは一目瞭然であり、彼がバトルを申し込んでくるのだって何一つおかしなことはない。断る理由だってありはしないのだ。
 
「構いませんよ。バトルを楽しむイベントですからね」
「そう言ってくれると思ってたぜ」
「バトルが終わったら是非先程の話の続きを教えてくださいよ」
 
 フォンミイが言っていたバーのマスターというのはバロックのことだ。そのバロックのデート相手でありフォンミイにとってはおもちゃである人物と推測をたてれば、面白そうな匂いしかしない。情報屋二人を相手にしているのならば被害者かもしくは同族か。何にせよ網が広がるのは自分にとっては好都合なのだから。
 
「勝ったらな」
 
 楽しそうに笑ったフォンミイが長い袖で器用にチップを取り出し、宙に放り投げて受け止める。彼の相棒であるイースーもフォンミイが言ったように随分と苛立ちが募っているのかやる気は十二分のようで。さて、どうしたものか。足元に寄り添っていたキラーダに視線を向ければ、ついとそっぽを向かれてしまう。大方八つ当たりの対象にはなりたくないといった我儘の意思表示だろう。
 となれば、だ。私は懐からハイパーボールを取り出した。軽く放り投げれば、コルカールは大地に降り立ちその身を揺らす。
 
「では、私はこの子で。御手柔らかにお願いしますよ」
「ドヒドイデか。いい趣味してんなァ」
「お褒めに預かり光栄です」
 
 わかりやすい言葉遊び。遠回しな嫌味だ。しかしフォンミイの言うことは一切間違っていないうえに、言葉を表面上のまましか、いや、”自分に都合のいいようにしか捉えない”コルカールは満足気に鼻を鳴らした。
 
 イエローチームの人間が周囲にいない以上、審判がいなければバトルは互いの利害が一致すればはじまったも同然だ。そのしなやかな体躯を陽炎のように揺らめかし、イースーが動く。勿論こちらがレパルダスである彼女にドヒドイデの素早さで敵う訳がない。けれども、別にそんなことどうだっていい。
 さて、最初の一撃目は何がくるだろうか。楽しく観察を続けながら、口元に手を添える。その仕草で私の指示を理解したコルカールは、飛び掛かってくるイースーを見上げながらトーチカを放つ準備に入った。
 
 
 
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▼参加登録ポケモンより、「コルカール(ドヒドイデ♂)」でシングルバトルを受けさせて頂きます!
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