惡しみの指摘【sideウーイー・ミー】
▼こちらとこちらの続き。
■自キャラだけの話です。
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とんでもない程に歪で愚かで可哀想な奴らだ、とは最初から思っていた。それでもここまでとは思っていなかった、とあたしはある意味感心してしまう。
自分とユワンとフォチー、あたしら三匹はミィレンが大切なものを取り戻すために必要な力として求めた手持ち達だ。別にあたしらは何が理由で捕獲されたかなんてどうでもよかった。バトルに負けてボールに収められてしまえばそれまでだし、ミィレンという人間が気に食わない訳でもなく。ミィレンが自分達を力のために求めたとはいえ、大切に接してくれていることはわかっているから不満はない。
ミィレンが願いを捨てて逃げて、休むのだってあたしらは別に責めたりはしない。ただ気に食わないのは、何かが犠牲になるということだ。
なあ。そうだろう、ベイシャン。
『あたしは反対だね』
唐突に割り込んだあたしの言葉にベイシャンが慌てたように振り返る。コンジュははっとした様子でこちらを見るがその目は困惑と恐れに包まれており、ホアンシーは相変わらずだ。コンジュは先程のベイシャンの誘いに悩んでいるといったところか。
『ウーイー……でも……』
『あのなあ、ミィレンにあたしら全員の記憶を操作してアイのことを忘れてもよ、お前だけが背負ってたら嫌だろうが』
『え?』
『犠牲になるなって言ってんだ』
ここまで言わなければわからないのか。呆然とこちらを見つめるベイシャンに、あたしはただただ溜息を吐き出すしかなかった。
***
聡い子と別れてミーは言葉通りステージまでやって来る。
珍しい浴衣のファッションショーには人だけではなくポケモンのモデルもいて、その華やかなウォーキングには目を奪われてしまう。
脳が揺れる。
あんな風に歩いた経験などミーにはない。けれどもミィレンにはある。勿論ミィレンのことなど知らないミーには一生わかりえないこと。
ただミーは華やかなファッションショーの主役となるモデル達を輝く瞳で見上げるだけだ。
ポケモンパフォーマンスの流れに変わる。時を待ってミーは先程の宣言通り飛び入りで参加した。つぎはぎだらけでちぐはぐなホアンシーとともに。
被って、舞って、演じて、華を彩る。
それら全てを既に行っているようなものだというのに、またもや仮面を被るようなことをするのだから。
本当に本当に、酷く滑稽な夢の形だ。
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