空の虚【sideクンバラ】
▼こちらの流れをお借りしています。
■自キャラだけの話です。
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リフレクターを張ってトレーナーの元へと飛んでいったキーの姿をクンバラは手を振って見送った。可愛いなあとぼやきながら満面の笑みを浮かべる彼は無類の♀好きとして通っている。そんな彼にトレーナーのガラドは手を焼きつつも、そこに本心が一切としてないことも理解している。
クンバラは、誰も愛せない。特に♀のポケモンをだ。それはクンバラが”唯一愛していた彼女の呪いであって祝福でしか”ないのだろう。
それでもクンバラは無類の♀好きであることを公言するしそう振る舞うし、嫌われるように振る舞う。好かれたくないからだ。
そう振る舞えばいい加減な♂として、最低な♂として見てもらえる。相手にされずにすむ。だからそれでいい。それがいい。
もう誰からもクンバラは愛されたくないのだ。
かつて僅かな間だけ、ドティスとガラドが旅を共にしていた間。パナセアと共にそういった仲になったことがあった。あれはパナセアがクンバラをなんとも思っていないからこそ成立した関係であったし、今も当時も互いの間に情なんてものはなかった。それでいい、それぐらいのさっぱりした関係がよかったのだ。
『俺は一番駄目さ』
クンバラが一番口が軽そうだったから、とキーはクンバラの元へとやってきた。それは残念なことに外れだ。確かにラサーサやシャラクはうまくはぐらかしそうだし、セイフはとっつきにくいし、他面々もまあ色々問題はある。けれども実のところ相談をすれば一番真摯に返すのはからかったりはぐらかす素振りを見せてラサーサとシャラクであるし、最後まで付き合ってくれるのはセイフだ。
クンバラはただ嘘しかつけない。自分のために嘘しかつかない。
クンバラは誰も愛さない。勿論ガラドのことも。いいや、ガラドのことは憎んでいる。だからこそクンバラはガラドの手持ちに加わったのだ。
自分から全てを奪ったあの男のさいごを見届けるために。それは一種の呪いであり、一種の執着であり、___一番の復讐だ。
だからとクンバラは微笑む。二度とキーが自分に近寄らないようにと。次に近寄ってきてしまえば、酷い偽りを流すことになりそうだから。
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