雪景色の中で【sideレフティア】

こちらの流れをお借りしています。
 
■お借りしました:イゼットさん
 
 
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「教えてください。オレが絶対、届けますから」
 
 なんと真っ直ぐで、明瞭な人なのだろうと思った。差し出された手は無理強いをすることはなく、言葉がやさしく勇気づけてくれる。少しばかり冗談を交えるところも、彼の人のなりとよさが滲み出ていた。
 これでは頼らないという方が失礼というものだ。自分の願いを叶えるために手を差し伸ばしてくれる彼に期待したい。信頼出来る。その想いからレフティアはそっと箱をイゼットへと渡した。
 
 小さな箱の中に入っているのは、ほしのかけらを使ってレフティアが作ったネックレスだ。普段は氷で花を活けているが、普段作りのそれは一時のものであり永遠とすることは敵わない。だからこそ贈り物には向かないとレフティアが考えたのはほしのかけらを使っての贈り物作りだった。ほしのかけらを砕いて、その煌めきを水晶の中に混ぜて小さな花を形どった。旅のお守りになればと作った、男性がつけていてもけして違和感がない具合の小さな花を。
 
「ありがとうございます、イゼットさま」
 
 信頼の微笑みを向ければ、イゼットは勿論ですと快活な笑顔を返してくれた。その笑顔に、この人になら託しても大丈夫だという絶対の安心を得ることが出来る。
 レフティアは思いつく限りのテオの外見的特徴とともにいる仲間のことを話した。それを横で聞いていたキノスが徐に紙にペンを走らせはじめどうしたのかと見守っていると、吃驚するぐらい似ているテオの似顔絵を描いたのだからレフティアもイゼットも驚いたのは別の話だ。
 
「よろしくお願いします」
「任せてください」
 
 改めてしっかりと依頼の旨を告げて、レフティアは何かを思い出したかのように荷物の中からマフラーを取り出す。冬の風は厳しいからと子ども達に配っていたマフラーだ。それを一つ取り出してイゼットの首へを軽く巻き付ける。お、と少し驚いた様子のイゼットにあたたかくしてくださいね、と鼻を少し赤くして微笑んだ。

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