一難去ってまた【sideグリモア】

こちらの流れをお借りしています。
 
■お借りしました:(お名前出ていませんが)メイジーちゃん、ココくん、ララくん
 
 
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 忠告をしたにも関わらず再び自分の頭に飛びついてきたココガラに対してもグリモアは特に何も思わなかった。トレーナーである少女がすぐに引きはがしたことから、ちゃんとトレーナーの方には警戒心はあるようだ。とはいっても今回の場合は警戒心というよりかは申し訳なさなどだろうか。
 少女からの誘いを受ける気も勿論なかった。ベリトとキマリスがお面を欲しがっているのは確かだが、お面を買う気はグリモアには本気でない。何故なら無駄な出費に他ならないからだ。だからこそ断ろうとしたのだが、まあそううまくはグリモアの思い通りになってくれないのがベリト達だ。
 少女の言葉に二匹は大はしゃぎし、ベリトとキマリスが少女の足元をくるくると回る。嬉しそうに笑顔を浮かべて少女の浴衣を握りしめてしまったのだから、こうなってしまったらもう止まらない。
 仕方がない。グリモアは頷いた。
 
 
 少女にお面屋へと案内され、グリモアはベリトとキマリスにどのお面がいいのかを尋ねる。そうして選ばれたのがココガラがつけていたのと全く同じデスマスのお面だったのだから、相当気に入ったのだろう。
 全く同じデスマスのお面をつけて、二匹はココガラの横に並ぶ。三つのデスマスのお面をつけた小さなポケモンの姿。その様は正直言って傍から見ている分には面白い。
 最もグリモアはやはり無表情のままなのだが。
 テイとのバトルの際に無料で道具を貰えたのが功を制したというか運がよかった。そうでなければお面を買う余裕なんてグリモアには生まれすらしなかったのだ。
 
 お面をつけてはしゃぎ、ベリトが少女に飛びつく。少女は少し驚いた様子ながらもベリトを抱き上げて小さな微笑みを浮かべていた。
 
「ベリト」
 
 案内をしてもらえてお面も買った。もうこれ以上少女達と共にいる必要もない。だからこそいい加減別の場所へ行こう、と声をかけたのだが。そこでグリモアは気付く。
 キマリスと、ココガラの姿がないのだ。それには少女も気付いたようだ。慌てた様子でキルリアを見れば、キルリアは呆れたような顔をしている。
 
「二匹とも……どこか行っちゃった……?」
「多分」
 
 少女の言葉には、グリモアは頷く他なかった。

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