色を覗き込む【sideグリモア】

こちらの流れをお借りしています。

■お借りしました:テラーさん
 
 
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 言葉を濁されたことはすぐに理解した。旅の途中でマリステラという子に会ったら、テラーは何を自分に頼みたかったのだろうか。
 テラーはきっと笑顔を作るのがうまい。言葉を綴ることも。だけども流石にこの流れでテラーの違和感に気付かない人間はいないだろう。
 とはいっても、俺がテラーの言うことを気にする理由だって特にない。だから別に流してしまえばいい話だったのだが、……単純な気まぐれだった。
 
「マリステラ。旅の途中で出会ったら、何をすればいい?」
 
 テラーとは既に一つ約束をしている。新しい手持ちを増やしたら紹介するという。そこにもう一つ約束が出来ることは負担では無いし、何より何の目的もなく旅をするのだから旅の理由の一つにもなる。
 踏み込むことではないことはわかっている。他者の人間関係なんて正直いって興味は無い。自分に利益のあることならまだしも、無遠慮に踏み込んでもそれは薮をつついて蛇を出す以外の行為でしかないのだから。
 だから本当にこれはただの気まぐれだ。
 こんな訳の分からない子どもに酷くやさしくしてくれるお節介な物好きが、何に執着しているのか、何を恐れているのか、何を望んでいるのか気になっただけの。
 ああ、それと。これは俺なりの一つの感謝の示し方、恩返しのつもりなのかもしれない。
 
「なんでもない。なら、そんな顔はしない」
 
 追い打ちをかけるように淡々と言葉を告げる。テラーの瞳に、綺麗な笑顔が僅かに揺らいだ気がした。
 
 どうしてか遠くからこちらを見守っている姉が頭が痛そうに額に手を当てていたが、そちらは別にどうでもいいことだろうと無視を決め込むことにした。

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