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鼓膜を突き破るような轟音で、弾丸は『能無し』の頭部を破壊した。 人形の様に倒れる男の体を見下ろして、十二歳の少年は深く息を吐く。 「残念でしたね、坊ちゃん。小遣いで何とか雇った護衛なんでしょうけど」 少年の目前には、鋼鉄の右腕に拳銃を握った大男が立っている。 機械の義手だった。最新鋭の機械腕は拳銃ともリンクしており、自動補正される銃口は、並みの人間とは比較にならない精度で対象を睨む。 先刻は役立たずの護衛の頭。そうして今は、少年の頭。逃げる術が無い事を悟りながら