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【建設業の災害対応を若者が取材】命の道を作る仕事。建設業の災害時の活躍や現状を知る。

防災 THE PRESS 星奈 沙依(ほしな さに)

星奈 沙依(ほしな さに)インスタグラム
https://www.instagram.com/s0a0ni/?hl=ja

 防災THE PRESSは今回2023年9月に開催のあったぼうさいこくたい2023のご縁で全国建設業協会様からご依頼をいただき台風14号などで甚大な被害を受けた災害復旧現場の見学に宮崎県にお邪魔しました。
 災害が起きたときにニュースでは自衛隊の皆さんが、道がなくなってしまった所の片付けをしたり、孤立してしまった村などに支援物資を届けたり人を運んだりするところはよく見ると思います。
 でもその他にも建設業の皆さんが同じように地域のために沢山動いてくれていることを知っていますか?私は本当に申し訳ないですが、知りませんでした。
 宮崎県の災害といえば、台風14号が記憶に新しいと思います。今回は土砂崩れなどで塞がれてしまって無くなった道路や橋の復旧工事を見学させて頂きました。

 大きな工事が行われているところまで車で山道を通って行き、最初に株式会社太伯建設様の工事現場にお邪魔しました。そこでは土砂崩れで削られ無くなった道路を大きなブロックを作り、その中に生コンクリートを入れて作っていく作業の最中でした。両手広げても1ブロック分にも届かないぐらい大きなブロックが並べられて道路が作られていました。

 その横には1本道があり、何気なく車で通った道路は、土砂崩れで道が無くなったため、急ぎで山を削り作られたものと教えて頂きました。
 話を聞いた時、道が無くなるってどうゆうことか全然ピンと来ませんでした。いつも当たり前のように通っている道や道路、こういったところを災害時いち早く現場に向かい、地域の方のために通行止めをしたり、道を開けたり、または道を作ったりすることも建設業の一つだと初めて知りました。

 本当に何も知らない私たちにとっても優しくお話して下さった甲斐さんは、災害時の復旧工事は調査をしたり、役所とのやり取りがあったり、図面、依頼、建設会社が決まるまでに最短で半年。
 その上、予算や決められた期限内に工事を終えるように進めないといけないことも教えて下さいました。
 自分たちや家族の命も危ないかもしれない中、地域をパトロールし、誰よりも早く町や村のためにこんなにも動いているのにあまり知られてないことが、勿体ないなと感じましたし、私も知ろうとしていなかったのだなと思いました。

 建設業と言われると勝手に力仕事が大変そう。朝から晩までと労働時間が長そう。いかつそうで男性社会というイメージが強く、今振り返るとぶっちゃけた話を聞きすぎたかなと思いますが、そのまま私が抱く建設業の印象をお伝えしました。
 昔はそういうところもあったが今は凄くホワイトだよと笑いながら教えてくださいました!
 仕事の時間は会社にもよりますが、8時から16時や17時、週休2日制で時間外労働もなく、「子どもたちの習い事の送り迎えだって行けるんだよ」と話してくださいました。
 「土日がお休みな分、家族との時間も作れるし、しっかり休める。」株式会社太伯建設様では女性も現場でお仕事されていたり、60歳台の方もバリバリ働いてるそうです!ですが、建設業は今若者が少なく、経営がうまくいかず辞めていってしまう建設会社も多いそうです。
 「昔のイメージではなく、今を知って欲しい、子どもたちの将来の選択肢の一つに増えると嬉しいな」と仰っていました。また親世代の方こそ、昔のイメージがついたままだから、現状を知ってもらう機会を増やそうと活動されているそうです!
 宮崎県では『ビルミヤ』(https://build-miyazaki.jp )というサイトあり、ビルミヤでは建設業の魅力を発信したり、女性技術者が実際に働いている会社の紹介やインタビューなどが紹介されています。
 YouTubeなどもあり、働いているところを見ることが出来ます。
インタビューを読んでみると、変に女性扱いがなく、平等に仕事ができていたり、建設の過程がわかるぶん、やりがいを感じる様子やイキイキとしているところが見れます!
 実際女性が現場にいることで変わりますか?と聞くと男性だけでは気づかないところに気づいたり、気づいてくれたり、その現場を意識的に綺麗に保つようになったり、女性ならではの目線がとても助かることがあるそうです。
勝手なイメージからちょっと緊張して現場に向かいましたが、みなさんとっても優しく、にこやかで建設業の良さを凄く楽しそうにお話して下さいました。

 2つ目は株式会社吉田建設産業様に向かいました。
 この前ちょうど作業終えた現場を見学させて頂きました。近くで見るとすっごく大きなブロックが並んだ壁。のり面保護工という方法で土砂崩れが起きたところが綺麗に整備されていました。初めて聞いたのり面保護工。言葉だけでは全く何か分からない私たちに一つずつ丁寧に作業や方法をお話して下さいました!
 コンクリートやモルタルで斜面を覆う方法です。

 ブロック分けされたところには、土を入れ植物を植えることでその根っこが伸びることでより強く崩れにくいものにしています。

 山の傾斜から道路を挟んだところのガードレールも新品のものに変わっていました。

 綺麗になったところを見ていたので、後日資料として頂いた写真をみてびっくりしました。
 山の傾斜が大きく崩れ木や電柱が道路を完全に塞ぐ形で倒れ、その勢いでガードレールが壊れてしまっている状態でした。
 車も人も通れない状態を車1つでも通れるように動くのが仕事であり、塞がれた道の先にある集落や村に住んでいる方たちの『命の道』を守っていると話をしてくださいました。
 人が住んでいるからこそ、建設業の仕事があり、誰がどこにいるか知るためにも地域の方との触れ合いをとても大切にしていること、同じ地域の建設業をしている会社との横の繋がりを大切にすることで、建設業全体が町や地域の方たちを守っていることを教えて頂きました。
 老朽化が起きている道路や橋の手入れや災害時のパトロールや復旧工事。
若手不足で人は減るが、道は変わらないと減ることは無いため、手が回らなくなってしまうそうです。
 地域の建設会社の横の繋がりが強い分、助け合いが出来る話を聞いた時とても素敵だと感じたのと同時にそれだけ人が足りていないのが現状なのだなとも感じました。
 パトロールや地域を守るために、たくさん動いてくださる建設業の皆さんにどうしてここまで続けられるのかをお聞きすると、みなさん「生まれ育った町が、大好きだから、守りたい、使命感でやっている」とおっしゃっていました。
 またその話をしているみなさんの顔がとっても愛に溢れていて、本当に素敵でした!
 もう1つおっしゃっていたやりがいとは『地図に載る仕事』だということ。自分たちが作った道路や橋が地図に載ったり、Google earthで写真が見ることができるこの仕事に誇りを持っていると話して下さいました!
 今回で、知らないことがたくさんあった建設業に触れることで、たくさんの学びや良さを知ることが出来ました。
 本当にみなさん優しくて、少しでも今回知ったこと、感じたことが1人でも多くの人に発信していきたいなと思いました。

 アテンドをしてくださった宮崎県建設業協会災害対策委員長で株式会社北部産業開発の坂本様、取材に対応頂きました株式会社太伯建設の甲斐様、株式会社吉田建設産業の吉田様、
 本当にありがとうございました!

[2023.11.17 取材]

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