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サクソフォン四重奏 当日

  さて発表会第二日の当日です。前の週に第一日での撮影を行っているので、第二日は撮影の準備は殆どルーティーンで済みます。我等が四重奏団の控え室に先ず伺い、挨拶をしてほんのささやかなお礼をお渡ししました。演奏10分前にはホール入り口に待機とのことですので、タイムスケジュール上での予定時刻をお伝えし早めに待機してくださるようお願いしました。

 本来であれば作曲者は奏者をお迎えに行き、ソデで一緒に待機。奏者は舞台へ入場し、作曲者は指定された最前列の席で演奏を聴きます。ところが撮影係で最前列中央にいるためにお迎えに行けません。天使の皆さんもこのことは理解してくれており、お迎え無しでも大丈夫と言って頂きました。

 演奏がつつがなく進み、いよいよ拙作の番となりました。天使の皆さんが白ブラウスにロングスカート、タキシードの出で立ちで舞台に現れました。頼もしい姿です。4人が並んだところで1枚撮影。その後は演奏が始まるまでじっと待ちました。

 演奏が始まりました。夢のような時間です。もともと頭の中で考えただけの音楽が(実際は練習でも何度も聞いているのですけれど)こうして正式に初演発表されるのです。しかも作曲者としてだけ関わり、今日の演奏は私は聴く側に居ます。人生初めての経験で胸が高鳴る感じです。

 16小節目あたりまでゆったりとした気分で音楽に浸り、その雰囲気を心に染み込ませたままカメラを構えます。こうすると頭の中に音楽が流れっぱなしの状態で撮影できるので、聴きながら撮るには良い方法だと思っています。これが曲の頭からカメラを構えてしまうと、不思議と音楽が頭に入らなかったりするから人間は不思議です。

 音楽は郷愁を誘うメロディと和声の進行がテーマですのでそう言った気分で聞きながら、先生からのご指導で書き直したこととか、練習のこととかいろいろなイメージが頭に浮かびます。演奏の細かい事はこの際もう良くて、音楽として正しく再現されていると思いました。

 演奏が無事終わり、天使たちが立ち上がって礼をしたあと、ソプラノの天使が私を舞台へ招いてくれました。カメラを置き、皆さんの横に進み、聴衆に礼をして、皆さんを称えました。

 演奏会が全て終わった後、A先生からは「良かったですね。これがスタートですから、次もまたしっかりやっていきましょう。」とのお言葉を頂きました。他の学生さん達からもいろいろと褒めて貰えたので良い気分でした。

 さて、ここまで読んで頂いた読者の皆様に、実際の楽譜を見ながら当日の録音を聴いて頂くことにしたいと思います。

 もし何か感想とか頂けるようでしたら嬉しいです。

 ここまでお付き合いただきありがとうございました。


 

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