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都会にメガソーラを! 次世代太陽光パネルで日本が一発逆転?!

はじめに

 再生可能エネルギーの半分以上を占める太陽光発電は以前、再エネ賦課金、森林破壊や海外の脅威、国富の以外流出などのデメリットで縮小すべきと述べたが、本当に太陽光発電はダメなのか、国内パネルメーカーに逆転の目がないのか、次世代の太陽光パネルと国内メーカーの取組を見ていきたい。

 6月11日に政府の今年の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」の原案がまとまりまった。ここの再生可能エネルギー拡大へ 革新的技術を支援と言う項目に、再生可能エネルギーの導入拡大をはかるため、薄くて軽く、折り曲げられる「ペロブスカイト太陽電池」の革新技術の開発と社会実装の早期実現に向けた支援や制度的措置の検討、国際的な研究開発体制や国際標準の整備、人材育成やサプライチェーンの構築に向けた支援行うと明記されている。
 ここではペロブスカイトとは何か、今後の可能性について調べていく。

ペロブスカイト太陽電池とは

 ペロブスカイト型太陽電池は、結晶構造のペロブスカイトを利用した新しい太陽電池で、2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授によって開発され、その後、世界中で研究が進み、日本でも実用化に向けた取り組みが進行中である。
 この太陽電池は非常に薄く軽量で柔軟性があり、シリコン太陽電池と同等の効率を持ち、最近の技術革新により耐久性も向上している。
 また、薄暗い環境でも発電可能で、材料を基盤に塗布・印刷することで大量生産が可能である。
 日本では、官民が協力して普及に取り組んでおり、ペロブスカイト太陽電池の原材料の一部であるヨウ素は日本が豊富に保有しているため、国産化が期待されている。

ペロブスカイト構造
シリコン型とペロブスカイト型太陽電池の比較

ペロブスカイト太陽電池の可能性

 ペロブスカイト太陽電池は従来のシリコン材料を使用する太陽電池よりも柔軟性があり、薄くて軽量、あらゆる形状に曲げられる特性を持っていて、透過性も良い。
 また、弱い光でも発電効率を落とさずに発電できるため、従来のシリコン型太陽電池のように天候に左右されず安定して発電できる。
 さらに、塗布・印刷など製造コストが抑えられる工程を利用して製造できるため、シリコン型陽電池よりも製造コストが低く抑えられる。
 また、発電コストも1KWhあたり5~7円となる見込みで既存の太陽光発電より安くなる。
 「薄い」「軽い」「曲げられる」と言う特性を活かして自動車、窓などに設置可能である。特にこれらは森林を破壊せず都市で使えるシーンが多い。

ペロブスカイト太陽電池の活用例 (アイシンより)

都会にメガソーラー?!

 パナソニックは窓ガラスにペロブスカイトを塗布して既存の窓ガラスと同じように設置できる建材を開発中である。これが実用化されれば太陽光パネルを屋根につけることなく発電可能である。
 ここでは各社の取組を紹介する。

 また積水化学は東京都千代田区の「内幸町一丁目街区南地区第一種市街地再開発事業」で建設予定のサウスタワーに、積水化学が開発中の定格出力1MW以上のフィルム型ペロブスカイト太陽電池が設置され2025年に発電を開始し、まさに都会にメガソーラー発電所が誕生する。

 2024年3月18日、リコーと東京都はペロブスカイト太陽電池の実装検証を発表した。都庁展望室と高齢者向け集合住宅に装置を設置する。リコーはオフグリッド電源に注力し、都庁展望室にはペロブスカイト太陽電池とCO2濃度センサーを設置し、環境情報をディスプレイに表示して施設管理に活用する。また、大田区の小学校や厚木市役所でも同様の実証実験を進めている。

 2024年2月、KDDIの基地局のペロブスカイト太陽電池実証実験

 2023年10月、積水化学大阪本社が入居する堂島関電ビルに国内で初めてフィルム型ペロブスカイト太陽電池を実装

課題

 さらなる耐久性と鉛を少量使っていることが技術的課題であるが、それより大きな課題は、日本メーカーがこの市場で勝てるかと言うことである。
 日本で生まれたこの技術だが、中国メーカーや中国政府もこの分野に投資して研究開発が進んでおり、再び中国メーカーにコストで敗北しないようにすることが一番の課題である。

まとめ

 この技術が実用化されると、都会にもメガソーラーを作ることが可能で、自然破壊や景観を壊すことなく太陽光発電が可能で、政府はこれに関する国内メーカーへの補助金や実用化時には国内メーカーへの保護政策が必要である。
 日本の美しい景観を守り、大きな電気量を必要とする高層ビルが電気を地産地消でき、国内産業も振興し、国富の外国への流出を防ぐ。
 これこそ日本を豊かに強くする一つではないだろうか。東京都は高層ビルこそこれの設置を義務付けるべきである。
 ただし、再エネ賦課金は廃止、固定買取制度も廃止または期間見直し、または固定期間短縮は必須であるが。

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