がぞ

【MHW:I】期待値による装備の比較方法 (物理部分のみ)

 覚醒武器の台頭で、覚醒能力を含めた装備の選択肢は大きく広がりました。広がりすぎました。

・切れ味は白?それとも紫を出す?
・龍脈覚醒+達人芸って強いの?
・属性と物理どっち強化すれば良いの?

Twitterを眺めていても、こういった話題をよく目にします。

 このような「装備に対する考察」はモンハンの楽しいところでもあるのですが、
「数字やダメージ計算についてはよくわからない…」
「結局どっちの装備が強いのかわからない…」

という方も少なからずいらっしゃるのではないかと思います。

 そこで今回は(というか初投稿ですが)できるだけわかりやすく、期待値等を用いた装備の比較について説明していきます。ややこしい部分はなるべく省いたつもりです。

 なお、この記事では物理部分についてのみ説明します。属性についても書こうとしたんですが、記事があまりに長くなりすぎるのでやめました。そのうち書くはず


はじめに

 この記事は、以下のような方を読者として想定しています。

・ダメージ計算や期待値についてよく知らない方
・最低限の算数がわかる方
(きっと大丈夫だよね!)

 基本的なところから説明をしていくので、知っている人にとっては「何を今更」というような話が続くと思います。ご了承ください。

 基礎攻撃力の計算式

それを踏まえたダメージ計算式

期待値

という順番で説明していきます。

注意事項

①始めに述べたとおり、物理部分についてのみ説明します。

②あくまで火力に関する数値での比較を説明する記事です。火力以外の生存スキル等を含めた比較については言及しません。

③なるべく間違いの無いよう努めますが、私の勘違いや計算ミス等があるかもしれません。もし気付いたらご指摘いただけると幸いです。

基本的に剣士目線の比較になります。計算式も剣士のものを利用して説明していますが、ガンナーでも物理弾であれば同じような比較ができると思います(多分)。

⑤「期待値」という言葉はそもそも確率が絡む場合の平均値というような意味ですので、この記事で使っている「期待値」はあまり正しい使い方では無いような気がしないでもありません(曖昧)。
 とりあえずこの記事で使っている「期待値」は、『どれくらいの火力が出るかの指標となる値』と考えてもらってOKです。

⑥その他、簡単のため小難しい説明を省いている箇所があります。

前準備:「武器倍率」と「武器係数」

 本題に入る前に「武器倍率」について説明しておく必要があります。

 ゲーム内で武器の情報を見ると「攻撃力」の数値が確認できますが、この値は実際にダメージ計算に使われる数字ではありません。言ってみればただの飾りです。

表示攻撃力 = 武器倍率 x 武器係数

になります。

 「武器倍率」というのは、簡単にいうと「その武器本来の攻撃力」のことです。この値は武器種間で大きく異なるものではなく、同ランクの武器であれば、武器種に関わらず似たような値になっています。
 例えば、悉くを滅ぼすネルギガンテの武器はほとんどの武器種で武器倍率290となっています。武器倍率はゲーム内の攻撃スキルなどの説明にある「基礎攻撃力」とほぼ同じ意味と考えて差し支えありません。

 対して、「武器係数」というのは武器種毎に固有で割り振られている値で、「見た目上の攻撃力を設定するための値」のことです。

片手剣・双剣:1.4
太刀:3.3
大剣:4.8

というように、大型の武器ほど大きい値が設定されています。

例:滅尽の一刀【絶】:武器倍率290
  太刀の武器係数:3.3
        表示攻撃力 = 290 x 3.3 = 957

 二つの数字のうち、大事なのは「武器倍率」の方です。実際にダメージ計算に使われるのは武器倍率だけであり、「武器係数」と「表示攻撃力」は、武器種ごとのイメージをつけるための飾りです。大型の武器の方が大きい攻撃力が設定されている方が、イメージとしてはあっていますね。

 スキルの「攻撃」や「フルチャージ」は、武器倍率に一定の値を+する、ということです。そのため武器種ごとに表示攻撃力の上昇量が異なりますが、恩恵が大きく違うということはありません。

例:スキル:フルチャージ3(基礎攻撃+20)が発動した時、
片手剣では20 * 1.4 = 28
大剣では20 * 4.8 = 96
それぞれ表示攻撃力が上がることが確認できる 

 「でも大型の武器の方が一発で与えるダメージ高くね?」と思った方もいるかもしれませんが、それは大型武器の方が後述する「モーション値」が全体的に高く設定されているためです。

 ちなみに過去作のうちMHP3, MHX, MHXXでは武器倍率がそのまま表示攻撃力になっていました。なんでだろう…

基礎攻撃力計算式

 本題に入っていきます。まずは物理部分のダメージ計算に使われる「基礎攻撃力」についてです。基礎攻撃力とは、色々な捉え方がありますが、この記事では「武器倍率に各種バフをのせた後の攻撃力」のこととします。

…時折このバフがかかった後の攻撃力が「武器倍率」と呼ばれる時もあるのですが、ややこしいためこの記事では

・(カスタム強化、覚醒強化を含む)武器自体の攻撃力=武器倍率
・スキル等のバフがかかった後の攻撃力=基礎攻撃力


と呼ぶことにします。この呼び方が正しいのかは知らん。

 基礎攻撃力の計算式は、以下のようになっています。(ダメージシミュレータ様より引用)。

(((武器倍率+鈍器使い+カスタム強化+パーツ強化+覚醒強化)x乗算補正x弾強化x竜の一矢特殊射撃強化xネコの射撃術xネコの暴れ撃ちx飛燕スキルx狩猟笛の自分強化以外の攻撃旋律)+鈍器使い以外の加算補正)

……………

 ややこしいですね。

 わかりやすいように以下のようにまとめてみます。

基礎攻撃力 = ((元の武器倍率+カスタム強化+覚醒強化) x 乗算バフ) + 加算バフ

ここで、

乗算バフ:無属性強化・攻めの守勢・回避の装衣・狩猟笛の攻撃旋律などの、「攻撃力を◯倍にする」という効果を持つバフ

加算バフ:怪力の種や肉飯等のドーピング・フルチャ等のスキルなどの、「基礎攻撃力に+◯」という効果を持つバフ

のことです。

 ただし、乗算バフの中でも一部例外として加算バフがかかった後に計算されるものもあります。詳しくは「乗算バフがある場合は?」の項を参照

 この基礎攻撃力に武器係数をかけたものが、実際にゲーム内で表示されている攻撃力になります。

  例として、以下の様な汎用爆破太刀装備の表示攻撃力を確認してみます。武器のカスタム強化は回復・攻撃です。

モンスターハンターワールド:アイスボーン_20200114160649

モンスターハンターワールド:アイスボーン_20200114160034_1


注意
・トレーニングモードなので挑戦者の発動はなし
・怪力の種や食事、護符爪などのドーピングはなし
・乗算バフなし

基礎攻撃力 = (270 + 5 + 35 ) + 21 + 20 = 351
表示攻撃力 = 351 * 3.3 ≒ 1158

270 : 覚醒武器の元の武器倍率
5 : カスタム攻撃強化
35 : 覚醒攻撃強化
21 : 攻撃7
20 : フルチャージ3

表示攻撃力が計算結果と一致していることが確認できました。

ダメージ計算式

 基礎攻撃力が計算できたところで、次は実際にモンスターに与えるダメージの計算式をみていきます(再びダメージシミュレータ様より引用)。

物理ダメージ = モーション値x基礎攻撃力÷100x会心補正x斬れ味補正x中腹補正x斬り方補正x怒り補正x状態異常補正x全体防御率xアサシンの装衣x冰気錬成x肉質÷100

これまた長いですが、説明の上で必要な部分だけまとめると、以下のようになります。

物理ダメージ = モーション値 x 基礎攻撃力 ÷ 100  x 会心補正 x 切れ味補正 x 肉質 ÷ 100

各用語の説明

モーション値:各武器のモーション一つ一つに設定されている攻撃力。数値が大きいほどダメージが大きくなる。

会心補正:会心がでた時のダメージ補正。会心率が+の場合、通常は1.25だが、スキル「超会心」によって最大1.4まで上昇する。

切れ味補正:切れ味の色によるダメージ補正。良い切れ味であるほど数値が大きくなり、ダメージが増える。白と紫ではそれぞれ
白ゲージ:1.32
紫ゲージ:1.39
と設定されている。

肉質:モンスターの部位にそれぞれ設定されている値。数字が大きいほどダメージがよく通ることを表す。


結局期待値ってなんだよ

 色々と式を並べてきましたが、これらを使って「期待値」という言葉について私なりに説明します。ダメージ計算式をもう一度みてみます。

物理ダメージ = モーション値 x 基礎攻撃力 ÷ 100  x 会心補正 x 切れ味補正 x 肉質 ÷ 100

 この式の要素のうち、モーション値・肉質は装備によって変わらないので、「装備の比較」という点では考慮する必要がありません。また、現環境だと会心率は100パーセントかつ超会心3を積むことがほとんどだと思いますので、その前提で会心補正も抜きで比較します。

 さらに÷100などの定数も無視して考えると、結局装備間で比較すべき部分は

基礎攻撃力 x 切れ味補正

ここだけになります。これ以外の部分は、装備間で変わらないということです。この部分を期待値と(この記事では)呼んでいます。

 装備Aと装備Bがあったとして、この部分の数値がA>Bであれば、どのモンスターのどの部位をどのモーションで殴ったとしてもダメージはA>Bになるはずです。つまりこの部分の数字だけを比較すれば火力に関する優劣がわかるよ、ということです。
 繰り返しになりますが、物理部分だけでの話です。属性が絡んでくると話は変わります。

 なお、会心率が100パーセントじゃなかったり、超会心のレベルが装備間で違っても計算で期待値を比べることはできる……というか期待値という言葉的にはむしろそっちの方がしっくりくるのですが、今の環境だとそういった装備は少ないですし、無駄に複雑になるので割愛します。


比較例:攻65555(白ゲ) VS 切55攻655 (紫ゲ)

 おそらく多くの人が悩むであろう覚醒能力の選択肢だと思います。この二つを期待値を用いて比べてみます。

 比較に用いる装備は以下の通りです(フルチャージや挑戦者は発動しているものとして計算)。結構一般的な装備構成だと思います。通常のカスタム強化は回復・攻撃としてあります。武器は太刀ですが、もちろん太刀以外でも同じように比較ができます。

モンスターハンターワールド:アイスボーン_20200114160649

なお、各種攻撃強化や、怪力の種などの基礎攻撃力へのバフの詳細は以下のようになっています。

(カスタム)攻撃力強化 I :+5
(覚醒)攻撃強化V:+10
(覚醒)攻撃強化VI:+15

※大剣・ハンマーのみ
(覚醒)攻撃強化V : +9
(覚醒)攻撃強化VI : +14


怪力の種:+10
鬼神の粉塵:+10
攻撃UP大猫飯:+15
力の護符:+6
力の爪:+9
ドーピング合計:50

※鬼神薬グレートは+7ですが、常に飲む人は少ないと思うので計算にはいれません


期待値計算のために必要な式をもう一度

基礎攻撃力 = ((武器倍率+カスタム強化+覚醒強化) x 乗算バフ) + 加算バフ
期待値 = 基礎攻撃力 x 切れ味補正


これらを用いて計算すると、攻65555の期待値は、以下のようになります。乗算バフが無いことに注意。

白ゲ運用
基礎攻撃力 = (270 + 5 + 55) + 49 + 50 = 429
期待値 = 429 x 1.32 = 566.28

270 : 覚醒武器の元の武器倍率
5 : カスタム強化
55 : 覚醒強化
49 : スキルによる加算バフ
50 : 各種ドーピングによる加算バフ
1.32 : 白ゲージの切れ味補正


一方で、切55攻655の場合

紫ゲ運用
基礎攻撃力 = (270 + 5 + 35) + 49 + 50 = 409
期待値 = 409 x 1.39 = 568.51

白ゲージ運用の566.28と比べ、少しだけ紫運用の方が強いことがわかりますね。

 この記事では触れませんが、切れ味補正は属性部分にも存在するので、そこも加味するとさらに紫が有利になります。

バフの量で優劣は変わる

 前項で触れた装備例から、生存スキルを抜いて攻撃スキルを増やしていくとどうなるでしょうか。

期待値 = 基礎攻撃力 x 切れ味補正

 「攻撃スキルを増やす」ということは上式中の基礎攻撃力が増えるということですが、そうなると切れ味補正の乗算がより重く響いてくることになるので、紫ゲ運用がさらに強くなっていきます。
 これは逆にいうと、基礎攻撃力をスキルやドーピングで盛らないと、武器倍率を犠牲にして紫ゲにした意味が無い、ということです。

 例えば、スキルやドーピング等のバフが全くない状態で比較すると、

攻65555
基礎攻撃力 = 270 + 5 + 55= 330
期待値 = 330 x 1.32 = 435.6

切55攻655
基礎攻撃力 = 270 + 5 + 35= 310
期待値 = 310 x 1.39 = 430.9

このように力関係が逆転し、白運用の方が強いということが分かります。

 ちなみに今回のように乗算バフが無い状態で切55攻655と攻65555を上記のカスタム・覚醒強化をした上で比較した場合、スキルや飯で基礎攻撃を68以上加算できれば紫の方が強くなり、それ以下だと白の方が強くなります。

 飯種粉塵護符爪だけでも50バフできるので、スキルで18以上加算できれば紫の方が強くなることになります。18というのは攻撃Lv6だけで達成できる量なので、多くの場合は紫運用の方が強い、ということがわかりますね。属性も考えれば尚更です。

↑の計算(スルーしてもおk)

今回のカスタムで紫運用が白運用を上回るために必要な基礎攻撃力へのバフをxとすると

((270+5+35)+x) * 1.39 > ((270+5+55)+x)*1.32

解くと
x > 67.14

 例として出したのは太刀の装備なので特に武器種固有の必要スキルはありませんでした。
 これが大剣など、必要スキルがある場合は攻撃スキルを抜いてそれ(集中)をつけなければならないので、白運用が少し追い上げてくることになります。

 「乗算バフが無い状態で」というのを強調したのは、狩猟笛の攻撃旋律や攻めの守勢などの乗算バフが絡んでくると、また話が変わってくるからです。


乗算バフがある場合は?

 基礎攻撃力計算式の項で述べましたが、乗算バフとは
・無属性強化
・狩猟笛の攻撃旋律
・攻めの守勢
などの「攻撃力を○倍に強化する」というような効果を持つバフのことです。

基礎攻撃力 = ((武器倍率+カスタム強化+覚醒強化) x 乗算バフ) + 加算バフ

 ここで重要なのは、このような乗算バフはスキルやドーピングによる加算が行われる前の、素の武器倍率にかかるということです。

 つまり、武器倍率が高い(=覚醒能力で攻撃強化をたくさん付けて白ゲージ運用)の方がこう言った割合バフの恩恵を受けやすいのです。

 例外として、狩猟笛の自己強化旋律、太刀の練気ゲージ補正などは加算が行われた後にかかるようです(この記事書いてる時に知った)。

 ただしこれらの計算は肉質やモーション値などと同様に、装備間によって差が出るものではないので今回の比較ではあまり関係がありません。

 よって、攻めの守勢を多用するランスや、攻撃旋律が重要な狩猟笛では、先ほど述べた「大体紫の方が強い」というのが崩れる可能性があります。

 ちなみに狩猟笛の場合、
・攻撃UP大を重ねがけした上で
・切55攻65と攻6555(覚醒能力一つは旋律)
を比較した場合、スキルやドーピングでの加算バフが93以上の場合前者(紫ゲ)が強くそれ以下では後者(白ゲ)が強くなります。

↑の計算(スルーしてもおk)

紫が白を上回るために必要な基礎攻撃力への加算バフをxとして

(((270 + 5 + 25) * 1.2) + x ) * 1.39 > (((270 + 5 + 45) * 1.2 ) + x) * 1.32
※1.2は笛の攻撃UP大重ねがけの倍率

解くと
x > 92.57

 飯種粉塵護符爪で50盛るとすると、43以上スキルでバフできれば紫の方が強いことになります。43というのは攻撃7+挑戦5を発動しても少し足りない量です。
 どう感じるかは人それぞれですし一概には言えませんが、少なくとも割合バフが無い状況よりは白ゲ運用の強さが上がるよ、ということです。

また、狩猟笛の場合は演奏攻撃の際の衝撃波と、響周波に切れ味補正が乗らないので、そこも考えるとさらに白運用が強くなると思います。

ただ私は笛をメインに扱っているわけではないので、何か見落としがある可能性もあります。参考程度にお願いします。


まとめ

 長くなりましたが、まとめです。

基礎攻撃力 = ((元の武器倍率+カスタム強化+覚醒強化) x 乗算バフ) + 加算バフ
物理ダメージ = モーション値 x 基礎攻撃力 ÷ 100  x 会心補正 x 切れ味補正 x 肉質 ÷ 100

このうち、装備間で異なるのは、
基礎攻撃力 x 切れ味補正 
の部分だけ(会心100%かつ超会心3の場合は)。

 よってこの部分の数字が大きい装備の方が物理ダメージが大きいはず。この部分を期待値と呼び、この数字が大きい装備の方が物理火力的には強い。

 覚醒能力で切れ味55をつけるというのは基礎攻撃力を下げて切れ味補正をあげるということ。つまり基礎攻撃力をスキルやドーピングなどで盛れば盛るほど恩恵が大きい。そして大体の場合は紫の方が強い。ただし武器倍率そのものにかかる乗算バフがある場合、白運用の強さが増す。

終わりに

 できるだけシンプルな記事にしようと思ったんですが、思った以上に長くなってしまいました。文章書くのって難しいですね…

 一番最初に書いた
・龍脈達人芸 VS 通常達人芸
・属性盛り VS 物理盛り

については結局この記事では触れませんでしたが、そのうち別の記事として書こうと思っています。

 龍脈達人芸と通常達人芸については、この記事の内容がわかればご自分で(属性部分以外は)比較できると思うので、よければやってみてください。

 ここまで長い記事をご覧いただきありがとうございました。またどこかで。


参考にさせていただいたもの

・MHWIBダメージシミュレータ ( http://kuroyonhon.com/mhwib/d/dame.php )

・MHW & MHW:IB 狩猟笛wiki ( https://seesaawiki.jp/karikaripi_world/d/%a5%c8%a5%c3%a5%d7%a5%da%a1%bc%a5%b8 )

・モンスターハンター大辞典wiki ( https://wikiwiki.jp/nenaiko/ )


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