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MBTI診断を批判する なぜ流行るのか

 河合隼雄の本に書いてあったが、内向とか外向というのは診断の時に使うものであって、素人が当てはめて遊ぶものではない。診断についても「参考」になるぐらいで、絶対的なものではない。
 
 血液型診断でも「人間が4種類に分けられるはずないだろ…」と思っていたが、人間が16種類に分けられるわけがない。どういう根拠があるのか知らないが、普通に嘘だと思う。一人の人でも、時と場合によって全く人格が異なる。

 MBTI診断にケチをつけてもしょうがないのだけれど、こんなものが流行るのが興味深いと思う。深刻なアイデンティティの危機があるんじゃないか。アルファベット四つを自分のアイデンティティにして、安心する。自分は「論理学者」だとか「旅人」だとか聞いて、安心する。「誰でもない人」から「ENTP」になれる。
 他者をカテゴライズするのも、不安の現れだと思う。最近の子は、感情が揺すぶられるのが怖いので、ネタバレを見てから映画を見たりするらしいが、他者というのは予測不可能で、怖いものだ。だから相手をアルファベット4文字に閉じ込めて、理解したつもりになり、安心する。

 「分からない」という感情があるんじゃないかと思う。自分が誰なのか分からないし、他者の行動原理も分からない。分からないものは怖い。怖いものには名前をつけるのが良い。人間は昔から災害に名前をつけてきたし、今でもアメリカではハリケーンに名前をつけている。

 ちゃんと機微を見たほうが良いと思う。人間というのは心理学ではなく、詩である。

人は精神が豊かになればなるほど、独特な人間がいっそう多くいることに気がつく。普通の人たちは、人々のあいだに違いのあることに気がつかない

パンセ

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