どうやら振られるらしい



彼氏から別れを告げられそうな空気を感じる。

振られた人が、振られた!!!と書くことはあると思うが、振られることを確実に予期しているエッセイは珍しい気がする。
それにしても、振られちゃったらどうしよう…とは思わない。
振られるならいいや、という気持ちだ。

なーんて書くと、いやいや強がっちゃって!と言われそうである。
ただ、基本的に私は恋愛を奔走する人間だ。
振られそうだけど、好きであるなら、もっと泣いたり悲しんだり、どうやったら別れずに済むかネットでググりまくっているはずだ。
しかし、今の私といえば、全てを受け入れる境地に立っている。




「昨日は返信出来なくて申し訳ない。
気遣ってくれてありがとう。

〇〇ちゃんごめん、いま彼女とか恋愛とか考えられへんくなってきて、また話しよ」


と、今朝にラインが来ていた。
付き合ってまだ3ヶ月。
世間的にはまだまだ交際が楽しいと言われる時期だろう。
彼のその文面の上には




「〇〇くんにとっての癒しって何??
私は犬🐕」




という呑気な質問が送られている。
私のこのメッセージの意図は、彼が今後忙しくなり、今まで活発に送り合っていたラインも疎かになるだろう。
だから、せめてたまに癒しの画像か何か送れたらいいな、と思っての質問である。
ちなみに送ったのは昨夜の23時頃。
別に、返信しなかったことを謝るほどのことはないと思う。

私は別に、忙しくて返信が頻繁でなくなったとしても、それはそれと受け入れる覚悟はしていたつもりだ。

しかし、きっと彼のいう「話」の際には、連絡を送らないといけない、というプレッシャーがあって、しんどくなってきた、という旨が伝えられると予想される。

彼はそういう人なのだ。



以前に、私の統計で、彼はホテルに行くorホテルの帰りには必ず手を握ってくるというものがあった。
そしてたまたま手を繋いでこないことがあったため、「今日は手を繋がないんだね」と言ってみた。
彼はそれを、いつも手を繋げよバカと言われていると解釈したらしく、俺は俺の繋ぎたい時にしたいのに、プレッシャーかけられるとしんどい、とある日の喧嘩で言った。
私は反論した。
たまたま、統計的に繋がなかったから聞いただけで、四六時中繋げよとも言ってないし、今度からは私の方から繋げばいいんだって思ったよ、と。
彼は黙った。
そういう人なのだ。





彼は愛情表現が乏しかった。
人前でイチャイチャしたりするのは以ての外、普通にラインなどでラブラブするのも苦手らしかった。

私は、ありがたいことに今まで、愛情表現たっぷり甘々なお方とお付き合いする機会が多かったため、「じゃあまたね」と人前で平然とキスするぐらいの海外文化風で生きている。彼の苦手は考慮しつつも、自分なりの愛情表現は存分に提供してきたつもりだ。

あと彼は、予定を決めたり、お店を決めたり、物事を自分から決定するのが苦手らしかった。相手の顔色を伺ってしまって、自分の意見を尻込みさせてしまうのだ。

私は、とにかく行動力が命で、バンバン予定を決めていき、サクッと人を誘う。フットワークの軽さは一級品だと思っている。



もっと、愛情表現してほしい、予定だっていつも私ばかり立てている、なんだか私ばっかり色々している。…損している気がする。
と、言ったのはちょうど1ヶ月。
彼は即座に価値観が合わないから長く続かないだろうと言った。
私は、その時怒った。
そんなことで簡単に別れるなんて言うなと。
悲しかった。
こんなことで、歩み寄りもせず、すぐ別れという選択肢が出てくるんだな、と。

苦手であることはわかっていたが、それは一切求めてはいけないものだったのだろうか?
自分はこんなに奔走しているのに?
と、思い、彼の苦手なものも包括して好きでいることができなかった。

彼はこの時に、私に対していつ何時でも愛情表現をする自分が求められている、しかしそれはしんどいから、それなら別れたいと思ったのかもしれない。
この瞬間に、私のしてほしいことは、全て彼のプレッシャーになってしまったのか。
もしくは、私のなすこと全てが彼のプレッシャーになってしまったのか。
あの時から二人の間に流れる空気感が変わった気がした。

私はその時以降、
こっちばっか色々決めてんだぞ、
感謝もねーのか馬鹿野郎が!
という本音をそっと心の奥に仕舞い込んだ。
できるだけ、ポジティブに、彼の仕事を応援できるように、体調やコンディションに最大限気を遣って連絡を取っていたし、彼の都合に合わせて臨機応変に予定も変更していた。




つもりだったが、この有様…
結局、私は彼のことは何もわかっていなかったのだと思う。
きっと他にも、彼には彼なりの、私に対する不満があったのだろう。
ずっと私は上手く立ち回っていたつもりだっが、彼はそれもまたプレッシャーに感じていたのかもしれない。

こうやって、私が恋愛に時間を割いていること自体がプレッシャーだったのかもしれない。


今月末に予約していた旅行の予定が気がかりだ。
きっと、振られるだろうから、キャンセルしないといけないな。
旅行先も、宿も、ルートも、日程も、全部私が決めたから、キャンセルも私。



たぶん、この文面を見たら、
彼はきっと、また、プレッシャーを感じるんだろうな。

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