見出し画像

山寺金明竹

NHK大河も大詰め。

「鎌倉殿の13人」は結局…みんな掃討されて行くというお話。喜劇として、あるいは悲劇として丁寧に演劇として描きたかったのが、三谷幸喜氏の思うところだったのね。

先週放映の慈円僧正こと、演じる山寺宏一氏。四代鎌倉殿となる三寅(藤原頼経)の出自について説明する下り。

慈円:
「源頼朝卿の妹君が一条能保卿に嫁がれ、その長女は月輪関白兼実公の子、後京極摂政良経公に、そのまた次女は大宮大納言公経(きんつね)卿に嫁ぎ、その姫君が後京極摂政の子である道家公に嫁がれ、その間に生まれたのが三寅様にござる」

義時:
「すまぬが、もう一度…」

二回目は早口でいくわけですよ…山寺慈円サン。

これを聞いていて、思い浮かぶのは落語演目「金明竹」。

骨董屋の叔父の世話になっている与太郎が、叔父の留守の間。店番をしてる折から訪れた来客に伝言を頼まれる。その伝言が早口で捲し立てられる関西弁。

当然覚えられるはずもない与太郎は何度か同じ口上を来客者にさせるも…覚えきれず。帰ってきた叔父は要領を得ない与太郎の伝言のせいで、来客者を訪ねてもう一度出かけなければならなくなる…というハナシ。

この来客者の伝言口上。

そこへやって来たのが上方のなまりのある商人風の男。与太郎さんの前で、「わて、中橋の加賀屋佐吉方から参じました。先度、仲買の弥市の取次ぎました道具七品のうち、祐乗光乗宗乗三作の三所物、並びに備前長船の則光、四分一ごしらえ横谷宗岷小柄付きの脇差し、柄前はな、だんなはんが古鉄刀木(ふるたがや)といやはって、やっぱりありゃ埋れ木じゃそうにな、木が違うておりまっさかいなあ、念のため、ちょっとお断り申します。次は、のんこの茶碗、黄檗山金明竹ずんど(寸胴)の花活け、「古池や蛙飛び込む水の音」と申します、あれは風羅坊正筆の掛け物で、沢庵木庵隠元禅師はりまぜの小屏風、あの屏風はなあ、もし、わての旦那の檀那寺が、兵庫におましてな、この兵庫の坊主の好みまする屏風じゃによって表具にやり、兵庫の坊主の屏風なりますと、かようお伝え願います」と早口でまくし立てた。

落語家として求められる滑舌を飲み込むために、前座噺として採択されることの多い「金明竹」。寿限無と双璧をなすと言われておりますが…そうそう著名ではない方の「金明竹」が個人的には好きなんです。

鎌倉殿の脚本家、三谷幸喜氏と同い年。柳家喬太郎師匠の金明竹がオススメでございます。が、今のところでは大御所小三治師匠以下。喬太郎師匠の動画は見当たりません。

CDタイトルで出てますからね…泣く子と著作権には勝てません。

関智一氏はじめ、声優さんの顔出し出演がここんち大河ドラマでは顕著の様です。流行病のせいで声優業界も喰っていける一握りの人と裾野の広い人材事情。

演ずる上で、声音の評価は一級品。
そこに演技の素養がある方であれば、ドラマに出てこられても十分成立する気が致します。

ただ、かつて演じられたアニメのキャラがどーしても頭をちらつくのは致し方ございません。関氏の顔見てるとFATEのギルガメッシュかドラえもんのスネ夫がね…。(笑)

山寺氏…やっぱ「攻殻機動隊」だよね。

ドラマの楽しみ方は色々あって良いと思います。(合掌)