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OLD PICTURE

古写真…というジャンル。

大正時期や明治期の写真。それも偉人や芸術の大家を写したモノではなく…ごくごく自然の風景を写した雑誌。

「組写真」と「群写真」のところで出てきた名取洋之助氏も関わり合う「アルス社」の発行していた雑誌「カメラ」を取り上げたYOUTUBE動画アリ。

伴 貞良氏はYOUTUBEではそこそこ名前のしれた方。と、いうか…時々小生が眺めてる動画配信者さんなのですが。「現代写真の系譜」(圓井義典:著)を読もうと思う前。

この動画、見てたんですよね。
そういう意味では、本との出会いはまさにセレンディピティ…巡り合わせでしか巡り会えない瞬間だったのかもしれません。

「現代写真の系譜」文中。往古の写真系譜について触れる中。日本に於けるピクトリアリズム浸透から写真ブームが勃興し。一般の皆様にも手軽に触れられる写真雑誌が発刊。そんな中にアルス社の「カメラ」(1921年発刊)があったワケです。

伴先生、そんな事情はさておき。今のフォトグラファーとして触れる写真の数々…を「視聴者の皆さんとみていきましょう」という軽いノリでご紹介しておられました。

雑誌に掲載される写真。
印刷技術の問題もあれば、カメラそのものの問題もあるんでしょうな。伴先生も仰っておられますが「至って印象的…フワッと撮ってたんでしょうね」的なことで。…端的に言えば「モヤッ」とした写真が多いです。

古写真に関することで云えば。
大正初年(5年~前後)先出、熊 南峰氏の遺した景観写真集「三段峡ー三十三景ー」を想起致します。

『女夫淵』(「安藝・三段峡-33景-」より:By 熊 南峰)

この明るさと暗さの幅。ダイナミックレンジを深くしようとすると、三脚据えてISO(ASA)値を稼いで細かいところまで写さねばならず…すると、自ずとシャッタスピードは長くなるんでしょうな。100年前とは思えない、景観の雰囲気だけは伝わってきます。

だから、水の動きがどれをとっても流れっぱなしな絵になるわけで。

<同上>

これなんか、水の流れが上流では(淵をのぞき込む人の姿も)結構止まってる感じなので。シャッタスピード60分の1秒とか。それとて当時のカメラとしては優秀なスピードだったのかもしれないなぁ…と思ってみます。

先に触れた「三段峡」を全国名勝地指定とするため。数々の紹介写真を撮影して、各所に送り。陳情書を延々と書き続けた広島の写真家、熊 南峰(愛媛県出身)氏。その作品中、自身で選んだ「三段峡」33景色を綴じ込んだ写真帳が広島公文書館には保管されていたそうです。(禁帯出は無論でしょうな)

昭和60年…って、今から37年前なのね。

で、正直。
「熊氏が撮った写真を目にする機会なんてないんだろーなぁ…」と思っていただけに、熊氏と三段峡の辿る歴史を取り上げた『源流』(宮林深雪・著:昭和60年08月01日発行)に巡り会えたのは僥倖だと思います。

『黒淵』
『仏岩』

なるべく明るく写したいから、絞りは開放。もっとも、複雑なレンズ機構は今と異なってないんでしょうし。甚だ原始的…もとい、アナログな「勘」というヤツが求められたのが分かります。

歩きながら気楽にパシャパシャできるわきゃ…ないのね。

関心のないムキには「で?」と言われそうなオハナシではございます。蓼食う虫もなんとやら…。

こう暑くて外に出る気にもならない時には、パラリぱらりと古書に載る写真等眺めつつ。「早く涼しくならねーかなぁ」とうなっている昼下がりでございました。

さて、と。ガリガリ君でも食うかな。(笑)