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いのちのきわみ

佐藤泰志氏のことを考えると、頭の中では俳優、加藤善博(かとうぜんぱく)氏がセットになってて。

生前は『愛という名のもとで』中野英雄氏の上司役。「あぁ、ハラスメントって、こーいうのがハラスメントなのね」の見本みたいな役柄でした。

2007年、渋谷区内公園での自死。48才。

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逝去4年前。「広尾近所の『はなまさ』で普通に店員もしくはアルバイトをしていた」という掲示板サイトでの書き込みを見た記憶があり…さっき探してみたらまだありました。(驚)

デジタルタトゥーは困るけど。
こういう時にはネットにおける、保ちの良さに驚かされます。

生前、芸能人としての活動と…どこかの時点ですり切れちゃったのか。次第に出演作品も絞られてきて…97年以降は年一本テレビドラマ出演・映画出演あるかないか。なので、生活のために2003年辺りではアルバイトも辞さず、といったところで。

そちら(「はなまさ」バイト・正社員)に関しては俳優家業。下積み時代には当然アルバイトもされていたでしょうから、さして珍しい事でもないんだろうとは思う。

加藤氏の映画初演が1981年、そこからいけば26年と、ずいぶん長い俳優人生。逝去年齢50代前というのは…これから先、ジブンに出来ることと出来ない事の見極めみたいのがプラプラ目の前にぶら下がってきて。「どー考えても、この人生ガチャはジブンの望んだガチャじゃない」とか思うと。

ぜーんぶ、どうでも良くなっちゃうイメージかね。

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あるいは反社のヒトとお金のトラブル。もしくは薬物に手をつけてどうしようもない借金があったり。妻帯者ではあったので女性のトラブルがあったのかも…そういう事を無粋にも考えるんだが。

結局。
そこで命を絶つ為の理由は我々が思うよりも簡単でありつつ。また、全く思いもつかない原因がある気がしてならない。

「小説よりも奇なり」は、加藤氏がかつて連続で映画出演をしていた伊丹十三監督のお書きになったエッセイ集のタイトル。監督もまた、不可解ななりゆきでのご逝去でしたっけ。

多分。お亡くなりになった理由はわかってもわからなくてもイイんでしょうな。真実がどうであるとかいう事はさておき。「コノヒトが亡くなった」という事をジブンなりにどう受け止めたいか、という事なんだろうと思う。

生前中、その演技や作品に大変感動をした。もしくは、俳優としての仕事に印象深い気持ちを抱けた方々だったゆえにそう思う。

ただ、それだけの事なのよ。

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坂本龍馬の暗殺犯人…わかったとしてもわからなかったとしても。あの時点で亡くなった事で、何が変わって何が変わらなかったのか。という事をジブンなりに知ることや受け容れることが目的で、アレコレ考えるわけだ。

我々が抱くのは(大半の人が…ということで)司馬遼太郎の描いた「坂本竜馬」だったり。武田鉄矢演じる、あざとい「龍馬」だったりするのよね。何一つ、実像そのものなんかじゃない。

現実に目の前に居る肉親や職場の同僚だって、対自分で思い描くイメージだけなんだもの。意外といい人なのかもしれないし。思ったよりも悪いやつなのかもしれない。

映画でも加藤氏と共演した前川麻子女史(女優さん)は、プライベートでのお付き合いもあったが、感情の起伏が激しい加藤氏に振り回される事も多く。持て余し気味な間柄だったことをブログに記しておられる。

突然の訃報で周囲を驚かせるところも、いえば生前の加藤氏らしい終わり方だった…とカンジさせるエントリーでした。

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加藤氏が亡くなり。加藤氏の出演作品を知り。逝去前後の事を知る上で…もう、自分のあずかり知らない加藤氏の姿がなんとなく見えてくる。当の本人は「そんなものいちいち知ろうとしてくれなくていいんだよ」と云われそうな話。

「なにもかも…」は「なに一つ…」と、同じなのかもしれない。

云えることは、もう少し加藤氏のあざとくも自然ににじみ出る、人間の弱さや非道さを演じる姿を見たかった、という事だけ。人間の弱さやゆがみを演じられる…という意味で、大変印象に残る俳優さんでした。

年忌で云えば、15年忌。ご冥福お祈りするばかり。(合掌)