ソウルのありか - 2024/01/17

デジモンというコンテンツが好きなのだが、全盛期の世代がひとつふたつ前なので、周りで話せる人間がいない。
今に始まったことではないので、1人でデジモンの曲を聞いて悲しみを誤魔化していた時、とあるキャラクターの存在を思い出した。

私の記憶に強く刻まれた、「アルファモン」というキャラクターだ。
デジモン作品には、イグドラシルと呼ばれる神様のような存在がいる。
アルファモンはそのイグドラシルに仕える”13の聖騎士”の一体だ。
(聖なる騎士でありながら、漆黒の鎧を纏って、目は緋色に染まっている。かっこいい。)

別名は”孤高の隠士”、”空白の席の主”…。
空白の席とあるように、姿を全く見せない。世界が危機に陥った時に、颯爽と現れるのだ。
(それ故の”空白”。世界が平和であればあるほど存在を忘れ去られ、伝説さえも風化していく。まさしく孤高の存在。かっこいい。)

アルファインフォースという特殊能力で「時間を取り戻す」事ができる。
(公式サイトでも分かるように、ただ”戻す”のではなく、”取り戻す”という表現をする。かっこいい。)

これを用いて一瞬千撃とも言えるような攻撃を繰り出された相手は、最後の一撃しか認識する事ができずに死を迎える。
(敵は何も理解しえぬままアルファモンの前に崩れ去るのみ。かっこいい。)

ときにアルファモンは、先述したイグドラシルや、他の聖騎士達に反旗を翻してでも世界を守ろうとする。
(神のような存在に背いてでも、己の正義を全うする反逆の騎士でもある。かっこいい。)

かっこいい…。
あまりにもかっこよすぎる。
アルファモンを前にすると、私の童心はいつも暴れ出してしまう。


しかし、そんなアルファモンにも一つだけ弱点があった。
それは「必殺技の設定、あやふや問題」だ。

アルファモンは「デジタライズオブソウル」という、”異次元から伝説のモンスターを呼び出す必殺技”を持っている。
持っている筈なのだが、映像作品で「デジタライズオブソウル」を使う時は、全て”謎の緑色のビーム”に変換されているのだ。

伝説上のモンスターはいずこへ。
まさかこの緑色の光がモンスターだとは言うまい。
そんな「デジタライズオブソウルはなぜ緑色のビームになってしまったのか」という非常に限定的な話題だけで大量の文字を紡いだ、とあるコラムがある。

私が今まで見たデジモンに関する記事で、このコラムはもっとも内容が濃く、一番面白い。
狭すぎるテーマ設定であるにも関わらず、言葉には全てに熱がこもっている。

それもそのはず、このコラムでは、今までアルファモンが出たであろうゲーム・漫画・映像作品の全てを網羅しているのだ。
1デジモンファンの狂気に似た情熱と、デジモンへの尽きることのない愛から生まれた文章は、私の心をガッチリと掴んで離さなかった。

(デジモンが分からなくても、情報と熱量で面白い筈なので、ぜひ読んでほしい。後生です。)


この記事を読んだのは一年前であったが、デジモンの曲を聞いた時に、すぐこのコラムを思い出す事ができるほどには覚えていた。
改めて読んでみると、やはり嫉妬するほどに面白い。

私もいつかは、こういう人のソウルを掴んで離さない、よい文章を書ければよいと思う。

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