見出し画像

落語的コーチングとは? 愉快に生きるコツ

あるクライアントさんとのセッションのときのこと。最後に、私の方から「今日のセッションはこんな感じでよかったのでしょうかね」と、つい聞いてしまいました。手応えがまったくなかったからです。

すると、クライアントさんからは「それがいいんですよ。赤野さんがそういうあり方でいてくれるので、まったく考えなしでしゃべれるんです」と言われました。

このクライアントさんによると、私とのセッションで初めて「考えないで話す」という体験ができたそうです。

考えなしでしゃべれる。

この言葉はとても新鮮でした。なぜなら、私は「自由に話して欲しい」といつも思っていますが、まだどこかで「『考えなし』ではダメではないか」という縛りがあったからです。

このクライアントさんは会社を経営されていますが、普段はどうしても考えながら話しているので、だんだん思考に偏っていくそうです。

この社会で生きていると、「それはなぜやったの?」「目的は?意図は?」「それはどういう意味があるの?」「どうなったらいいのか?」と質問されます。

すべて考えることを求められる質問ばかりです。「考えなし」で答えてしまうと、怪訝な表情をされたり、責められたりするかもしれません。

だから、考えることが習慣化されていきます。もちろん、考えを広げたり、深めたりするのは、悪いことではありません。

ただもし、あなたがこうした質問にウンザリしているようでしたら、考えない方向への体験をはじめる時期かもしれません。



考えないで話すことで、まったく違う世界が開けてきます。

この経営者によると、考えないで話すことで、身体の中に血が通ってくるというか、自分の中にあるさまざまな感情や感覚が素直に出てくるというのです。

私のセッションでは、「意味や理由」を問うことはありません。

また、何かを直すとか、気づいてもらうという意図がなくなりました。たとえば、何か強いこだわりがあるとします。以前でしたら、そのこだわりによって、何か問題がないか、周りにどんな影響を与えているかを探そうとしていました。

もちろん、直したければ直してもいいです。ご本人が望むのなら、そのサポートもします。これは考える方向へのアプローチといえます。

セッションでは、よく笑いが起こります。別に面白いことを言っているわけではありません。こだわりや問題って、考えずに受け止めると、人間らしくて笑えてくるのです。

今は、こだわりがあったとしても、「人間って、そんなところあるよね」って感じになっているのです。

考えなしでいい。考えなしだから、人生は笑えてくる。これは苦しいときも愉快に生きるコツではないでしょうか。

人は社会に縛られます。自分でも自分を縛っています。考えなしというのは、その縛りから解き放つアプローチです。人は、自分を縛っている何かがほどけたとき、自然に笑えてくるのです。

ダメダメな自分や状況を笑えたとき、縛りから解き放たれています。そういうときに、面白いアイディアも湧き出してきます。



話は変わりますが、私は立川志の輔さんが好きです。落語が笑えるのは、人間のダメダメなところを隠さずに思いきり表現しているところではないでしょうか。

落語をやっている知人がいるのですが、立川談志さんの言葉を紹介してくれました。

「落語は人間の小ささを大切にする。始末の悪さ、愚かさをそのまま語る。こういう人間の業を肯定してしまうところに、落語の物凄さがある」

いかに人間の業をそのまま肯定できるか。それは、どこかせつなくもあり、温かくもあり、腹も立ち、そして最後は笑えてくる。

一番難しいのは、自分の癖や悩み、コンプレックスをそのまま受け止めることかもしれません。受け止めて、さらにそのダメダメな自分を落語のように表現していくのです。

そんなセッションをクライアントさんといっしょに作っていきたいと思います。



先日、セッションが終わった後に、「赤野さん、途中で寝てました?」とクライアントさんに突っ込まれました。

ただ考えなしでいただけなのですが、そう見えたみたいです。考えなしでいると、意味を聞こうとしないので、全体と溶け込むというかボーッとしてきます。寝るか寝ないかのギリギリのラインかもしれません。時にラインを超えることもあります(笑)

元来小心者の私は、「失礼があったのでは」と心がキュッとなりました。ただ、このクライアントさんによると、とてもリラックスできて話せたそうです。

人には何か言いたいことがあります。でも、考えて話すと、それはどこかキレイごとになったり、苦しく醜いものになったりしてしまいます。私自身が、考えなしでいることで、セッションでは「考える」というフィルターを外した何かが顕れてきます。それは安堵の表情だったりします。

考えなしでいると、すべてがネタなのです。

考えない方向というのは、私自身もまだまだ不慣れですが、考えない時間が増えてきて、人生が軽くなってきました。

といっても、いきなり考えることがなくなるわけではありません。まずは、考えることを少しずつ減らしていくことから始めてみませんか。


お問い合わせ・ご意見・ご感想はこちらから
 ↓ ↓ ↓
https://forms.gle/5eKoxgE7E4Ugd8uW9


月に4回メルマガ「禅メンタル通信」を
発行しています。

禅を人生にいかすコツやヒント、禅とビジネスコーチング、禅とスポーツのメンタルトレーニングなどについてお伝えしています。

無料ですので気軽にご登録ください。

↓詳細は下のリンクをクリックしてください。
https://www.zen-mental.com/mag/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?