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プロの仕事とは? 全力とは全身でぶつかること

あなたは、自分がやっていることのプロフェッショナルですか?

こう聞かれると、以前の私でしたら途端に自信がなくなりました。何もすごいことを成し遂げていないし、プロだと言いきれるほどの実力もなかったからです。

おかげさまで、今は対話のプロフェッショナルだと思えるようになりました。(人には言いませんが・・・)

今回の問いは、自分の仕事でお金を稼げているかどうかという趣旨ではありません。プロフェッショナルの定義をしたいわけでもありません。

ちょっと違う視点からプロフェッショナルについて考えてみたいと思います。



私はさまざまなアスリートやビジネスパーソンのコーチングをしていますが、プロには一つの特徴があります。

ゴルフを例にあげてみましょう。

ゴルフはいかに少ないスコアであがるかが勝負です。3アンダーとか素晴らしいスコアであがるトップアマチュアゴルファーもおられます。一方で、80を叩いてしまうプロゴルファーもいます。

スコアだけを見れば、80のプロの方が下手ということになります。

アマチュアゴルファーがアンダーを出すためには、普段から相当な努力をされているのだと思います。プロ以上の理論を持っているトップアマチュアも多くおられます。プロのことを批評されているアマチュアゴルファーをみかけることがあります。

80を叩いてしまうプロは不調に陥っています。では、努力が足りないのでしょうか。技術が足りないのでしょうか。私はそうは思いません。むしろ、プロゴルファーのスランプ脱出の鍵は、頑張ってとにかく球数を打つという努力型の練習方法を変えることだと思っています。

プロゴルファーのスウィングの特徴は、全身で打っているということです。どんなに不振に陥っている選手でも、身体全体でスウィングしていることは変わりません。身体全体の動き方は、根本的にプロとアマチュアでは違うのです。

逆にいえば、プロは小手先では打てないのです。全身と球が繋がっているので、何かバランスが崩れてくると、ズレが大きくなります。良くも悪くも、ごまかしが効きません。だから、アマチュアからみれば信じられないようなミスショットをしてしまうのです。

プロ自身、今までのように振っているつもりでも、球がどこにいくか分からなくなるので、振るのが怖くなります。だんだん動きが小さくなっていきます。

確かに動きは小さくなっているのですが、それでも全身で振っているのは変わっていません。

一方で、目に見えないところで、まったく変わっている点があります。それは、どこかが切れているのです。切れているというのは、表現が難しいのですが、エネルギー(気)が通らなくなっている状態。

ちなみに、切れやすいのは関節部分です。ゴルフの場合、体と腕の付け根の関節部分のつながりが切れやすいです。

身体と腕のつながりが切れていることを想像してみてください。プロ自身も全身で動くとバラバラになるのが体感的に分かっているので、動きを固めようとします。その結果、動きが小さくなっていくのです。

この状態で、どれだけ球数を打っても、全身がつながっているスウィングはなかなか戻ってきません。また目に見える問題点を直そうとしてスウィングを変えると、さらに状態は悪くなっていきます。真の問題は目に見えない部分だからです。

いかに全体(地面含めて)がつながったスウィングを取り戻せるか。プロのスランプ脱出の鍵は、直すことではなく、全身のつながりを取り戻すことです。

逆にアマチュアゴルファーは、部分からスウィングを作っています。部分で打てるので、部分を直せば、問題が解決することも多いです。


どのスポーツでも、切れていると力を発揮することはできません。

切れている違和感について、特定の箇所に膜が張っているように感じるとか、感覚がなくなったように感じると表現する選手もいますが、いずれにしても、切れている状態で頑張ろうとすると、余計な力みが発生し、動きはバラバラになります。

一方で、全体で動けているときというのは、特定の部分への違和感がありません。部分的な力みがなくスムーズに動けています。

少し、長くなりましたが、プロの仕事というのは、どんなにスランプに陥っても、プロの悩みなのです。



プロというのはスポーツだけではありません。どこにもプロフェッショナルはいます。

専門領域のプロ、経営のプロ、営業のプロ、家事のプロ、子育てのプロ・・・

私自身、日々セッションをしていると調子が良いときだけではありません。心が乱れる日ももちろんありますが、どんなときも全身で聴いています。

全身というのは、耳や思考だけでなく、目、鼻、心、場の空気など、すべてのものを感じながら聴くということです。

個人的には、全身で聴けているのが、プロの対話力だと考えています。

あくまでも見方の一つですが、どの領域でも全身を使えているのがプロの仕事、と言えるのではないでしょうか。

全身の逆は保身です。保身とは、自分にこだわっている状態。

私自身、コーチになりたてのころは、クライアントさんとのセッションで自分がどう思われるかを気にしていました。コーチとして評価されるような、聴き方をしていたと思います。

頭で仕事を考え出すと、どうしても守るようになります。これは保身で聴いている状態です。保身では、全身感が失われているのです。

あなたの仕事は、全身ですか。それとも保身ですか?

結果が上手くいくかどうかではありません。

全身でぶつかっているとき、その仕事はあなた自身です。良いも悪いもありません。

今、私は、人をサポートしているとき、全身でぶつかっています。先入観を捨てて、まずはしっかりと話を聴ききる。その姿勢だけはずっと大事にしています。



プロになっていく仕事のやり方があります。

それは全身でぶつかっていくか。保身でなく、小手先ではなく、すべての力を出し切っているか。

その姿勢でやり続ける中で、気がつけば、「生きること」と「やっていること」がひとつになっています。

全身は全体につながっていきます。どこまでも世界が広がっていくのです。
一方で、保身は周りと切れています。どこまで行っても世界は狭いままです。

書きながら気づいたのですが、ひょっとしたらプロという言葉は適切ではないかもしれません。プロという言葉には、なにかすごい成果をあげる人という手垢がついたイメージがあるかもしれません。

私がお伝えしたいのは、いわゆるプロというよりも「やっていることそのものになる」ことかもしれません。

生きることそのものは、全身の働きです。それは誰にでも平等に与えられている力です。

しっかりと全身で生きる。それだけでいいのではないでしょうか。

今、あなたは、なにかに全身でぶつかっていますか?

少し問いを持ってみてください。なにかに気づくきっかけになれば幸いです。



ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

全身で生きる。

これがなかなか難しいです。

私たちは、頭にばかり頼りすぎています。これは身体にエネルギーが通っていない状態なのです。

「何かを直す」というのも部分的思考の延長です。今あなたが何かに行き詰まっているなら、直すことは捨てましょう。必要なのは、全身で生きることを取り戻すことです。

私自身、全身にエネルギーをチャージするために日々いろいろ工夫しています。坐禅、掃除(床磨きは特に全身運動になります)、日々のウォーキング、自然の中でのゴルフ、スタバでコーヒーを飲みながらボーッとする、友人との何も考えない楽しい対話、美味しいものをいただく・・・

全身が喜ぶことを取り入れてみましょう。



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