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スランプが消える〇〇とは? 言葉が増えると身体が重くなる

あなたは自分の言葉に責任を持っているでしょうか。

持っているという方は素晴らしいですね。恐らく仕事では信頼され、部下やお客様から尊敬を集めていることと思います。

社会で生きて行く上で「無責任」は許されません。それぞれが自らの「責任」を負うことで、この世界の秩序が保たれているという側面は確かにあります。

一方で私たちは、無意識のうちに、「責任」という言葉に縛られています。責任を逸脱することに、罪悪感を覚えるように教育されているのです。

これは「責任」と「無責任」が戦っている状態。言葉同士が葛藤しているのです。

私自身、責任感の強さが苦しさを生んでいました。

なぜ責任感は苦しいのでしょうか?

言葉にもいくつかの層があります。大きく分けてみると3つの層でしょうか。


・自分が考えて発した言葉(思考の層から発している 分析や理性)

・身体から生まれる表現(感覚から発している イメージや擬音語擬態語などの表現も含まれる)

・場からのメッセージ(間から顕れてくる 沈黙も含まれる)


まず思考から発する言葉は、正しい・間違いとジャッジします。自分の中で、自分をジャッジする言葉も、この層から発せられます。

この思考の言葉を上手く使うことが、社会的に求められています。「責任感」「正しさ」も思考から生まれる言葉です。

しかし、自分のことを思い返してみてください。前回の記事でもお伝えしましたが、思考の言葉は、あなたを苦しめていませんか?あるいは、縛っていませんか?

前回の記事はこちら
『私はなんでこんなに性格が悪いのか? 「波」が「海」に戻るとき・・』
→ https://note.com/zen_akano/n/n77a643d7619d



思考の層の言葉の特徴は、自分を守るために枠を作ることです。そして少しずつ枠は固まっていきます。それが「ねばならない」「こうあるべき」という強い言葉になっていきます。こうなると、枠から外れることは許されません。

思考の言葉は、放っておくとどんどん増えていきます。正しい言葉が増えれば、正しくない言葉も同時に増えていきます。言葉にするほど、言葉に縛られていくのです。

これは思考の層で起こっている状態です。



では、身体は、そんな言葉の増加をどう感じているのでしょうか?

自然な動きを邪魔する言葉と、動きを邪魔しない言葉があります。

基本的に、思考の層からの言葉は、自然な動きを邪魔する傾向があります。

坐禅を組んでいるときに、「息を長く吐こう」とか「息を深く吸おう」という言葉をかけると、呼吸は乱れます。これは思考の言葉で、息をコントロールしようとしているからです。



これはスポーツのトレーニングをやっていると、顕著に表れます。

「しなければならない」という言葉は、身体の動きを重くします。

結果を考えているとき、期待の言葉や、不安・心配の言葉を生み出します。これらは、身体に力みを生み出します。

調子が悪い選手達が、身体が重く感じるというのは、言葉が動きを重くしているのです。それが積み重なると、怪我にもつながります。

言葉は、他の人だけではなく、あなた自身も傷つけます。身体の専門家によると、過去の緊張や傷は、身体のあちこちに「エネルギーのしこり」として固まっているそうです。このエネルギーの塊は、自然な気の流れを邪魔します。

目に見えないエネルギーのしこり。東洋では「気が滞っている」と表現されたりします。

スランプと言われる状態があります。一般的にスランプは、技や体の動きの問題として捉えられがちです。しかし、実際は、それが真の問題ではない場合が多いのです。

これまで、さまざまな身体の専門家にお会いする中で、本来、身体は自然な動き方を知っていることを学ばせていただきました。

以前はできていたことができなくなる。プレッシャーさえなければ、持っている力を発揮できる。

これは、目に見えないエネルギー(気)のしこりがあなたの自然な動きを邪魔しているのです。



実はどのアスリートも言葉で苦しんでいます。スランプといわれる状態に陥っている選手のほとんどは、思考の層からの言葉の数が増えています。

仕事でもスランプに陥ることがあるでしょう。動きたいけど動けない。頑張りたいのに、以前のようなモチベーションが湧いてこない。これは思考がブレーキになっているのです。

いかに思考の層からの言葉を減らしていくか。自然な動きを邪魔しない言葉を身につけていくか。

今回は、思考のブレーキを外すトレーニングの一つをご紹介します。

「ingトレーニング」と呼んでいるアスリートとのトレーニングです。このトレーニングでは、今起こっていることを言葉に出してもらいます。今起こっていることに気づき、言葉にしていくのです。

自分に起こっている状態を言葉にするのは、最初かなり抵抗を感じるようです。
これは頭からの抵抗です。思考は自分が作った「枠」から出ることには抵抗するのです。

ここで難しいのは、枠から出ようとすると出られないということです。自分の意志でなんとかしようというのは、すべて思考でのアプローチの世界。これを「自覚的なアプローチ」と呼んでいます。

自分が理解できるレベルでの対処では、思考の枠から出ることはできません。思考と思考の喧嘩になるので、さらに混乱を深めてしまうからです。

思考の外に出るには、「無自覚なアプローチ」が大事です。無自覚とは、一言でいえば「分からない」ということ。頭では理解できないけど、何かが機能して、そうなっているということです。「自覚」と「無自覚」については、またどこかで詳しくお伝えします。

自分に起こっていることをただ言葉にしていると、なぜか身心は軽くなっていきます。

これでいいのです。ただ、こう申し上げると、頭中心で成り立っている現代では怪しく感じるかもしれませんね。

なので、少しだけ説明を加えたいと思います。ただ、申し上げておきたいのは、これはすべて後付けの話です。ingトレーニングで大事なのは体験です。

「しなければいけない」というのは枠で区切られた世界。ここでは、言葉は固まっています。

一方で、「ingトレーニング」では、「今肩がこわばっている」「失敗しそうで不安です」「フワフワしています」のように、今起こっていることを、ing形で表現していきます。このing形は現在進行形なので、流れています。

「身体」は常に変化していきます。これは無自覚な働きであり、まさに「無常」なのです。一方で、思考の言葉は「安定」させようとします。動いている身体と止まっている言葉がぶつかると、身体が動かなくなります。

いかに、身体にあった言葉遣いをしてやるかがポイントです。身体のあり方に言葉をチューニングするのです。それが流れている言葉です。



ゴルフでこのingトレーニングをやっていると、固めていた思考の塊がバラバラになっていきます。たとえば、ドライバーというクラブがあるのですが、誰しも「ドライバーを振る」という意識でプレーしています。

ところが、あるプロゴルファーが身体に起こっていること、思考で起こっていることなどを言葉にしていく中で、あるときクラブが棒になったそうです。

ただ、長い棒を振っている。

この感覚になったとき、棒と身体はいっしょになり、今までとはまったく違う動き方を始めたそうです。

最初はどのアスリートも「結果への一打」にこだわっています。これは「責任をとらなければならない一打」です。

結果を出さなければいけない一打は、思考でいっぱいです。この一打がどれだけ重いか。

スランプに陥っていく選手の原因はさまざまですが、プレーが重いというのはどの選手にも共通しています。この状態では、頑張るほど結果が出なくなっていきます。

それがingトレーニングを通して、気が流れはじめると、次第に結果に対しての責任が薄くなっていきます。

結果から離れた一打とは、「人生の一打」です。責任を手放せたとき、本当のあなたが見えてくるのです。

人生の一打とは、思考、身体、そしてプレーが一体になっている一打です。

「人生の一打」が顕れたとき、結果は関係ありません。そのプレーは何が起こっても「やってみておめでとう!!」という祝福で包まれます。

人生の一打は、意外なほど軽いです。そして、ノビノビしています。



本当の責任感とは、背負うものではありません。本来、背負えるものなど何もないのですが、思考の世界では、責任を重くするのです。

責任という言葉をぜひ流してあげましょう。責任が浮かんできたら、「今責任が重い」とか「責任を取ろうとしている」「身体が固い」と起こっていることをing形にしてやるのです。ブツブツ独り言を言ってもいいですし、ノートに書いてもいいです。

また、原因を分析していたら、「今原因を分析している」とing形にしてあげましょう。

思考の言葉が流れはじめると、どこかで新しい「○○」が生まれてきます。「○○」がやってきたとき、あなたの人生はとても軽いはずです。


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