周りとぶつからないあり方とは? 「協力」の前に「馴染む」ことからはじめましょう
あなたは今、目的に向かって着実に進んでいますか?
それとも今、目的を見失っていますか?
人によって状況は違うでしょう。いずれにしても私たちは、無意識のうちに「目的」を持っています。
目的は一本の線です。
こう言うと、クライアントさんからは「えっ?どういうこと?」と聞き返されます。
意識が、目的と自分に一本の線を引くのです。
この一本の線があるから、目的が明確になり、ゴールを目指して努力出来るという側面もあります。
まさに一心不乱ですね。
同時に、この一本の線を引くことで、他のものが排除される働きが起こります。
目的を持つのは、仕事だけではありません。日常生活にも、さまざまな目的があります。
たとえば、車に乗っているとき、目的地はないでしょうか?もちろん、ありますよね。どこかに行きたいから車で移動します。
この時点で、あなたの今は、目的と一本の線でつながっています。
そして、到着を予定している時間、そこで何をやるのかという計画もあるでしょう。そうしたことを考えながら車に乗っていると、渋滞にはまったり、遅い車がいるとイライラしたりしてきます。
あなたが引いている一本線は、あなたの目的を邪魔するものに対して、排除したくなるのです。
目的を定めるのも、線を引くのも思考の働きといえます。
目的意識の強さは、人によって違います。
現代は「目的意識」が強化された社会と言えます。いかに目的を持って価値ある人生を生きるか。学校でも仕事でも、良い目的を持つことを教えられます。
逆にいえば、目的がない日々は、意味がないということになります。目的を見つけられず、苦しんでいる人もいます。
本当に「目的がない」ということはダメなのでしょうか?目的とは何かについて、少し考えてみたいと思います。
私自身は、若いときから目的思考が強かったです。そして、どこかで目的に縛られるようになっていました。
目的に縛られると、周りとぶつかります。
もちろん、目的意識があるから、時間に遅れず、予定通り計画を実行できるという側面はあります。その一方で、目的意識を持つと、同時に排除されるものがあることを知っておく必要があります。
先程の、車の運転のケースでいえば、目的地、計画を強く持っているとき、前に走っている車、信号など、目的と関係あるものしか見えなくなります。目的意識が周りの景色を消すのです。
周りの景色が消えているとき、目の動きも固く、視野が狭くなっています。こうした状態では、思わぬ状況に動揺しやすく、思うようにいかないことに苛立ちを覚えやすいです。
一方で、どんなときでも慌てない人がいます。良い悪いではなく、こうした人の特徴は、道中の景色を味わえているという点です。
私の友人で、なぜか行き先を間違えたり、逆方向の電車に乗ったり、バスを乗り過ごしたりする人がいます。彼女は、ある分野で特別な才能を持っているのですが、何をしていても、どこにいても、楽しそうです。今が面白くて、ときに目的を忘れるのです。
こうした人は、目的意識は薄いです。
目的の一本線に縛られていないので、予定時刻が迫っていても、法定速度を守って安全運転。周りも見えていますし、道を譲るなど、余裕があります。
目的意識が適度に働いていれば、いい緊張感を持って、物事に臨めます。毎回、行き先を間違えていては迷惑をかけてしまいますので(笑)、社会的には大事な要素です。一方で、一本線が強くなりすぎると、周りとぶつかります。
これは、スポーツや仕事で結果を出そうと焦っているときに、起こりやすい現象です。目先の結果は、一本線で出るかもしれません。
ただ、一本線には、他者に勝つことはあっても、協力がありません。どこかで行き詰まります。
一本線が強くなりやすいテーマとしては、「お金」や「子育て」などがあげられます。
お金には、ほとんどの場合、目的思考がくっついています。お金を意識すると、一本線が現れます。自分のお金を守ることにこだわりはじめると、周りとぶつかります。
また、子育ては一見すると目的思考とは関係なさそうですが、「こんな性格に育って欲しい」と押し付けたり、学歴や就職など、親の期待として無意識のうちに目的化されてしまったりします。
子育ての方針を巡って、配偶者や子供とぶつかるのは、お互いの目的思考のためです。
「こうでなければならない」「許せない」という言葉が出てくるときは、目的の一本線がかなり強くなる傾向にあります。
まずは、自分の目的意識の強さに気づくことからはじめましょう。
今、あなたがやっていることには、「目的」があるでしょうか?その目的への意識は、どれくらい強いでしょうか。
ちなみに目的意識の強さは、苦手なものと関係しています。
先日、2年ぶりに飲み会に参加しました。
自然に参加していました。
言葉にすると、ただこれだけなのですが、ここまでに50年かかりました(笑)。
私は大人数の場が苦手なので、これまで、飲み会に行くだけで緊張していました。上手く言葉が出てこなくなり、笑うだけで精一杯。周りに迷惑をかけないことに必死でした。周りと自分が切れているというか。なんとか溶け込もうと無理をしていたのです。
とにかく大人数の中にいることが苦しいのです。
だから、極力、大人数の場は避けてきました。
なので、自然に場にいられたことに自分が一番驚いています。
場にいる安心感というか、周りと馴染んでいるというか。
これは何が変わったのか。まだ自分でも上手く言葉にはなっていません。
先日の飲み会では、一本線が消えていました。
一本線が消えると、「ただいる」という状態になっていきます。ただいると、周りの音が聞こえてきたり、目に映った景色が見えてきます。
そこには、何気ない会話もあるでしょう。話につられて笑っている自分がいました。
何かいいことを言う必要もない。笑わせる必要もない。意味ある時間にする必要もありません。
一言で申し上げると、周りと馴染んでいたのです。
人生の豊かさをどう考えるか。私は本当の豊かさとは、「周りと馴染む」ことだと思っています。
馴染んでいない仕事、馴染んでいない人間関係は、どこか寂しいものです。あくまで、これは私自身の個人的体験なので、自分は違うという方も、もちろんいらっしゃるでしょう。ただ、一つ言えるのは、これまでさまざまなクライアントさんと関わってきて、苦手の場や苦手なテーマとは馴染んでいないのです。
苦手だと思っていることに、大事なことがあったりします。苦手も好きも、惹かれているという点では同じなのです。
目的の一本線が消えてくると、馴染んできます。「協力」とは、何か特別な行動を起こすことではなく、周りと馴染むことで、自然に生まれてくるものです。
そして、苦手なテーマとも馴染んでくる中で、あなたの本当の生きる目的が見えてきたりします。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
目的への一本線が強すぎると、周りと馴染まなくなります。一方で、本編でお伝えした友人は、周りと馴染みすぎていて目的を見失うというのは面白いですね。
目的がいいとか悪いということはありません。
ただ、目的という働きを知っておくことで、あなたが置かれた状況が、少し理解できる助けになるかもしれません。
目的を持って生きるテキパキした日々、周りと馴染む協力の日々。いい塩梅を探究してみてくださいね。なにか参考になれば幸いです。
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