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ファンド・オブ・ザ・イヤー2021の結果を分析します

ファンド・オブ・ザ・イヤー2021の投票結果が発表されました。

まず、発表されたベスト20を以下に掲載します。

1位:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
2位:<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
3位:バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)
4位:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
5位:iFree レバレッジ NASDAQ100
6位:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
7位:セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
8位:楽天・全米株式インデックスファンド
9位:たわらノーロード先進国株式
10位:SBI・V・全米株式インデックス・ファンド
11位:MAXIS 全世界株式(オール・カントリー)上場投信
12位:結い2101
13位:ひふみ投信
14位:eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
15位:農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね
16位:eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
17位:楽天・全世界株式インデックス・ファンド
18位:SBI・全世界株式インデックス・ファンド
19位:SBI・V・S&P500 インデックス・ファンド
20位:eMAXIS Slim 新興国株式インデックス

以下、結果を分析してみます。

投資対象別に見ると…

投資対象別に分類してみます。

全世界株式:6ファンド(パッシブ)
米国株式:4ファンド(パッシブ)、1ファンド(アクティブ)
先進国株式:3ファンド(パッシブ)
国内株式:2ファンド(アクティブ)
新興国株式:1ファンド(パッシブ)
バランス型:1ファンド(全世界株式+全世界債券)、1ファンド(8資産均等型)
レバレッジ型:1ファンド(NASDAQ100×2倍)

特筆すべき点をまとめます。

全世界株式のファンドが最多ランクインしています。票が分散した上で6つもランクイン(しかも1位、3位が全世界株式)しているのは驚愕です。次いで、米国株式、先進国株式も人気があることがうかがえますが、もはやコアとなる投資先は全世界株式のインデックスファンド一本で十分だという認識が高まりつつあることを感じます。
ランクインしたファンドの大半はパッシブ型(インデックス)ファンドですが、国内株式についてはアクティブ型のファンドのみがランクインしています。国内株式については、TOPIXなどのインデックスに連動するファンドにあまり期待が持てず、アクティブ型のファンドに期待する意識があることがうかがえます。あるいは、全世界株式のインデックスファンドなどをコアに据えつつ、サテライトとして国内株式のアクティブ型ファンドを持つといった運用が選択されているのかもしれません。
コスト意識が高まり、eMAXIS Slimシリーズなど、超低コストのファンドシリーズに人気が集まっていますが、ニッセイ外国株式インデックスファンドやセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドのように、歴史や運用会社への信頼感のあるファンドは根強い人気があります。特に、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドについては、信託報酬が年0.57%程度と現在では比較的高いものとなってしまっており、投資対象が類似しているバランスファンドである楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型)の年0.222%とは倍以上の差がついてしまっていますが、人気に関しては圧倒的にセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドが上回っています。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は今年で三連覇となるほか、トップ3のファンドの顔ぶれは昨年と変わりませんでした。ファンドの人気が固定化されつつあります。

オール・カントリーを超えるファンドは現れるのか

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の人気は圧倒的で、すでにファンド・オブ・ザ・イヤーでは殿堂入りさせてもいいのではないかとの声も聞かれます。

全世界株式の人気は当面衰えることはないでしょう。コスト競争もかなり進行し、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を上回る低コストの全世界株式ファンドの誕生はなかなか期待できないところです。VTについては、バンガードが運用するファンドですから、今後もコストの削減には期待できますが、米国籍ETFであるという壁がある以上、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を超えるのは至難の業と思われます。

国内株式のアクティブ型ファンドにも一定の期待をしたいところですが、あくまでその位置づけは投資対象としてはサブであり、メインの位置を占めるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を超えるのは難しいでしょう。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの大幅なコスト削減があれば、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の人気を脅かす可能性はありそうですが、最近のセゾン投信の様子を見る限り、コスト削減の望みは薄そうです。

つまるところ、既存のファンドでeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を超えるファンドはなかなか出てこないのではないかと思います。

そこで最後に、こんなファンドをつくれば、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を破り、ファンド・オブ・ザ・イヤーを獲得できるのではないか?と私が個人的に考えるファンドを提案してみます。

(私案)打倒オール・カントリー・ファンド その1

その1は「超低コスト・全世界株式+全世界債券バランスファンド」。略称オルバラ。

一言で言えば、超低コスト版のセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドです。

全世界株式の最高峰がeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)だとするなら、これを超えられるのは全世界株式+全世界債券のバランスファンドの最高峰に立つファンドしかないでしょう。

現状、この趣旨に沿ったファンドとしては、楽天・インデックス・バランス・ファンドがありますが、いまひとつ人気がありません。

人気がない理由を個人的に推測すると、①株式重視型、均等型、債券重視型と3パターンあって、選択の幅はあるものの、かえって購入者を悩ませてしまい、人気も分散してしまっている、②信託報酬が年0.222%(均等型の場合)とそこまで悪くないものの、もうひと下げ欲しい、③ファンドの名称がぱっとせず、覚えてもらえない、④運用会社の熱意や想いがあまり伝わってこない、の4点です。

これらの問題点を解決し、①投資割合は株式50%+債券50%の一本のみ(あるいは、もっと合理的な割合が提示できればなお良い)、②信託報酬は年0.1〜0.15%程度、③覚えやすく端的なファンド名称(オルカンとかセゾングロバラのように愛称で呼ばれるものが望ましい。私案オール・カントリー・バランス・ファンド=オルバラ)、④運用会社の積極的な情報発信等、投資家へのアピールがある、こんなファンドを求めています。

(私案)打倒オール・カントリー・ファンド その2

その2は「オールウェザー・ポートフォリオにレバレッジをかけるファンド」。略称レヴェザー。

世界最大のヘッジファンド、ブリッジ・ウォーター・アソシエイツの創業者であるレイ・ダリオ氏が考案した投資戦略「オールウェザー・ポートフォリオ」。

株式30%、中期米国債15%、長期米国債40%、金7.5%、コモディティ7.5%というのがそのアセットアロケーションですが、その特徴は極めて高いシャープレシオ。

したがって、この戦略に基づいたポートフォリオにレバレッジをかけて運用することで、低リスクで高いリターンを期待することができます。

ポートフォリオを真似するだけなら個人でもそこまで難しくはありませんが、このポートフォリオはレバレッジをかけてこそ、その真価を発揮します。そういった運用をお任せできる投資信託があれば、興味がわくところです。

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