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ZEMAITISの魅力 8

楽器とアートが織りなす世界 ”メタル・フロント”


トニーのギター作りは、常に改良と新たなアイディアによるチャレンジの連続でしたが、それを証明するのがメタル・フロント・モデルでしょう。

当初トニーは、エレクトリック・ギターのハムノイズを減らす目的で、
シールド効果の高いアルミ板をボディトップにセットしたメタル・フロントを考案しました。

その第1号は1970年代に注目された英国のトリオバンド、グラウンドホッグスのトニー・マクフィーのために製作されたギターで、そのローノイズ効果が実証されています。

しかし、そのアイディアを単なるノイズ対策に終わらせなかったところが創造性豊かなトニーならではのアプローチです。

彼の古い友人であり、また顧客の一人でもあった世界的な彫金師であるダニー・オブライエンとタッグを組むことで、新たな価値観を提案していきます。

ボディトップやテイルピース、エンブレム、トラスロッドカバーなどの金属パーツに美しいエングレイヴを施し、その個性と芸術性を極めていきました。

斬新で華やかな外観を持つメタル・フロントは、70年代のロック・ギタリスト達に注目され、やがてゼマイティスのトレードマークとなりました。
 
トニーは「完成度の高いギター」と「ハンドクラフトされた芸術的な装飾」を組み合わせることで「楽器とアートが織りなす新たな世界」を作り上げたのです。

その組み合わせは、ロック・シーンのエリート達からもすぐに大絶賛されました。
 
ブラック・ボディやダークブラウンのボディにマッチするシルバー・カラーの装飾は、華美すぎない上品な美しさが感じられ英国ならではの気品と伝統が感じられます。

メタル・フロントの愛用者として広く知られるロン・ウッドですがトニー・マクフィーに続いて2番目にメタル・フロントをオーダーした人物です。

それに続いてマーク・ボラン、ピーター・フランプトン、グレッグ・レイク、山内テツなどもゼマイティス・ギターの美しさに魅せられた愛用者として知られています。

またトニーは、ロン・ウッドのためにアコースティック・ベースやキース・リチャーズの5弦ギターなども製作しロニー・レーンには超大型のリゾネイター・ギターを製作しています。

あまり知られていませんがトニーはギター以外の弦楽器や多弦ベース、フレットレス・ギターエレクトリック・マンドリン、ハンマー・ダルシマーなども製作しあらゆる弦楽器を研究していました。


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