社会不適合者寄り社会人の(普通の社会人が予想だにつかぬ)生態について

 昨晩は職場の飲み会があった。
仕事のまだまだ忙しい時期に、なぜか催された「繁忙期お疲れ様飲み会」。

自分は正規職に就いて、これまで精神科や心療内科を受診したこともなく働き続けているので、たぶん社会不適合者ではない。

しかし、「やっぱり自分は他の社会人とは違う。正常な人の営む世界でギリギリしがみついている、限りなく社会不適合者な適合者でしかないのだ。」と昨日実感した。
そのことをここに記録しようと思う。

まず、飲み会の予定としては、昨晩の夜7時に某駅から徒歩1分程度の居酒屋に集合するというものであった。
幹事に任命されてしまった新人君が、一週間ほど前からLINEのグループで知らせていた。

普通の人なら、この集合時間に間に合うだろうし、遅れる場合も事前に連絡するだろう。

だが、是界房は違った。事前に連絡はできず、集合場所に就いたのは8時前だった。


①他の人より体力がない

ここ数日、夜の9時まで残業することが多かった。
(最も忙しい時期は11時になるので、それよりマシではあるが)

他の人も疲れていそうには見えたが、みんな是界房よりも正気を保っている。

飲み会自体が嫌いなのと、飲み会についてのスケジュールを考える気力がなかったので、

・集合時間
・どこの店なのか
・どんなメニューがあるのか
・どういうメンバーが来るのか

を確認することがないまま、当日を迎えた。

当日も、朝から定時を過ぎ、夕方の6時半までは集中力を切らすことなく懸命に働いた。

定時になった頃に、費用については幹事の新人君に渡してあったので、飲み会に参加することは確実であった。

他の人がぼちぼち居酒屋に向かい始めるころ、是界房も仕事を95%くらい終わらせていた。
このくらいなら、月曜に回してもたいして影響ないので、普通の人なら切り上げて駅に向かうだろう。
しかし、この是界房は違った。

頭が疲労しすぎて、飲み会にシフトする行動に移れなかったのだ。

内心、自分も焦っていた。

「あれ!?どうして飲み会に行こうとしないの?」

「わからない、自分が何をしなくちゃいけないのか」

「集合時間っていつなの?場所はどこ?あれ、他の係りのあの人も行くのか」

「LINEを見なくちゃいけない?今から?集合時間わからないけど、もう間に合わないんじゃない?」

こんなことを考えながら、仕事をしていた。
手は止めず、目はパソコンと書類を行き来していた。

仕事をする、これ以外の行動を準備し取り組むというエネルギーが残されていなかったのだ。


②今やらなくてよいことをしながら、頭の中を整理する

仕事を全て片付けたので、7時で残業の申請をして、パソコンを片付けた。
普通よりルーズな人なら、ここですぐさま駅に向かうだろう。
しかし、この是界房は違った。

頭の中がぐちゃぐちゃで、そもそもこの段階で、集合時間が7時であることを把握できていなかった。
(社会人の本分は仕事であり、飲み会は二の次だというのが根底にあったからでもある。)

飲み会に向かうための行動スケジュールを組むには、仕事モードからギアチェンジする必要があった。

「もう仕事はしなくていい」
「もう仕事はしなくていい」
「掃除が終わったらLINEを見る」
「掃除が終わったらLINEを見る」
「到着時刻を計算する」
「計算したら、幹事に『すみません、遅れました』とメッセージを送る」

と言い聞かせながら、トイレで用を足して、机周りを片付け、パソコンや引き出しの取手をウェットティッシュで拭き、普段仕事で使っている電話機3台を消毒した。
ここまでだいたい10分。つまり7時10分を少し過ぎたくらい。

他の人はきっと、せいぜいトイレに行くだけで終わるだろう。
しかし、この掃除の時間は必要なのだ。
「仕事が終わったから掃除をしているのだ」と、明らかな証拠を目を通じて脳に知らせないと、それを把握できないから。
そうしないと、「まだデスクワークをやらなくちゃいけないはずなのに、駅に向かう…?」と、フリーズしてしまう。

掃除をしているうちに、だんだんと頭に上った血が下がってゆき、思考がクリアになり、仕事以外のことを考える余裕が出てきた。

「遅れてしまって申し訳ない」という気持ちはなかった。

元からずぼらなクソ野郎なのかもしれないが、体感としては、そこまで考える余裕がなかった。
他の人より体力がなく、頭の回転も鈍いので、仕事をやり終えるだけで精いっぱい。
喩えるなら、他の人は小型船で、自分はすぐに方向の変えられない超大型船。コンテナをたくさん積んでいる。

飲み会というやる気の起こらないイベントを、忙しい時期に参加するというのは、普通の人には考えられないほど難しいことなのだ。
仕事もやる、飲み会にも行く。これは暇な時期で、十分に飲み会の予定を把握している必要がある。
忙しい時期なら、日時場所が確定した状態で1週間はないと把握できない…!
でも、そんな要求はできない。無茶だ。
他の社会人は、そんなことしなくても、20分もあれば遅刻せず飲み会に参加できるのだから。


③自分にとっては異常事態でも、他の人基準ではそうではないから説明できない

LINEを見ると、幹事の新人君と同僚からメッセージが来ていた。

幹事「もう先に始めていますが、来れそうですか?」

是界房「すみません、ちょっと頭が痛くて薬飲んで休んでました。今から向かうところなんです。」

と、めっちゃ嘘ついた。

本当は、「ごめんなさい。なんだか放心状態で…思考がままならなくて…落ち着くまで仕事と雑用してました。」と言いたかった。
そんなことを言っても「何言ってんだコイツ?」としか思われない。
遅刻の理由としては不十分だと捉えられてしまう。

自分にとっては本当に異常事態で、どうしようもなかったのだが。仮病でごまかした。

上に書いた諸々のこと、伝えて困惑されるよりは「頭痛」という嘘の理由のほうがお互いにとってコスパがよい。

ああ!我々をコンピュータに喩えて、この事態を「スペックの低いPCがタスクの多さにフリーズした」と説明できれば、簡単に納得してもらえるでしょうに。

どうして人間にはスペック表示がないのだろう。スペック表示を義務化して、各人の説明書を作成せよ。
そして、雇用主はその説明書を読み、向いた仕事を割り振るべきだ。

まぁ、そうしたらハイスペック人間とロースペック人間の間に格差が生まれ、親子間の関係にもヒビが入り、パワハラやモラハラ、虐待が横行するようになるのだろうけど…。
そして、ロースペック人間は見た目が良くない限り、結婚できなくなるのだろう…。

以上、社会不適合者寄りの社会人からの実録でした。

ただ、これでもあくまで社会不適合者「寄り」なのであって、ギリギリ社会適合者なのだろうね。

でも、もし社会に不安のある人で、これを読んで「え?これよりはマシ」と感じたならば、あなたは余裕で社会人になれる。安心してほしい。

そして、もしこれを読んで「自分と同じじゃん!」と思ったならば、あなたもまた、ギリギリ社会適合者なのかもしれない。

誰もこういうこと(失敗)を書かないので、誰かの参考になればいいな。

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