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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【11月8日㈬~11月14日㈫】

先週金曜日、11月10日から『蟻の王』ヒューマントラストシネマ有楽町YEBISU GARDEM CINEMAアップリンク吉祥寺を始め、全国8劇場で公開になりました。8月19日の公開以来、13週を経ても今なおロングラン中の『オオカミの家』のような満席続出のスタートとはなっていませんが、ご覧下さった方々のSNS等の心のこもった熱いご感想を読むにつけ、「配給して良かった!」と思わずにはいられません。今日17日からは福岡KBCシネマ、18日からは松山シネマルナティックでの上映も始まります。お近くにお住いの皆様、どうぞご覧になってご感想をお聞かせ下さい!

ところで、SNSの感想をチェックする際にちょっと混乱するのは、先週も当通信で書いたように、同名タイトルのコミックが存在するため(「蟻の王」伊藤龍さん作画、塚脇永久さん原作、月刊少年チャンピオン連載)。ちょうど映画の公開2日前に、コミックの17巻が発売になったばかりなので、現在、X(旧ツイッター)では、タイトルを検索すると映画の感想とコミックの感想が混ぜこぜになって同時に上がってきます。

“蟻の王を観た”と書いて下さっていれば、ほぼ映画のほうだし、“蟻の王を読んだ”は100%漫画のほうなのですが、“蟻の王、みたいな~”という平仮名は判断に迷います。“蟻の王、まだやってたんだ”は、一瞬迷いますが、映画は始まったばかりなので、2015年から連載している漫画のほうでしょう。“蟻の王、気になる“、“蟻の王、こういう話なのね…”、ん~微妙だ。一番悩んだのは、“蟻の王も銀魂も観たい”。ご興味の対象が幅広い方なのか、アニメがお好きな方なのか…。“蟻の王、映画化してる!と思ったら全く違う映画でした”は、一番分かりやすかった。混乱招いてごめんなさい、という感じ。で、いっそ“タイトルが同じなので、映画のほうも観てみました”という方が現れてくれないかしら?と虫のいいことも考えてます(笑)。それを望むなら、こちらもコミック読まなきゃですよね。

お伝えしておかなければならないのは、交渉を続けていた『蟻の王』エットレ役のレオナルド・マルテーゼさんのオンライン登壇の進捗。「日中は撮影が佳境」ということで今回は難しそうです。夜は比較的時間の都合がつきやすいようなのですが、現在夏時間も終わり、ローマと東京の時差は8時間。あちらの夜は、こちらの真夜中か早朝。重ね重ね残念です。ご期待下さっていた方、申し訳ありません!

さて。今週の通信が2日遅れになったのは、実はこちらの情報解禁を待っていたから。先ほど、年明け1月26日㈮からBunkamura ル・シネマ渋谷宮下を皮切りに、映像の世界遺産とも言うべきアンドレイ・タルコフスキー監督作品『ノスタルジア 4K修復版』が全国順次公開されることが発表になりました。フランス映画社さんの配給で、1984年4月に本邦初公開。20年後の2003年にうちの会社でリバイバル(その時は35mmプリントを新たに焼いて、“ニュープリント版”と銘打っての公開でした)。そしてさらに21年の時を経て、2024年1月、ふたたびスクリーンに蘇ることになりました。今回のバージョンは、2022年に撮影監督であるジュゼッペ・ランチ監修のもと、ローマのチネテカ・ナチオナーレの協力で修復が行われ、作品の製作から40年目にあたる昨年6月のボローニャ復元映画祭でワールドプレミアされた4K版。一説によると日本におけるジャン=リュック・ゴダール監督のブームは10年周期、と言われていますが(未確認情報)、『ノスタルジア』スクリーン降臨は、20周年周期ということになります(確定情報)。次の周期、私は生きてないかも!

新ビジュアルも本日お披露目です!

こちらが今回のリバイバルに際しての新ビジュアル。84年のフランス映画社さん配給の初公開時、2003年のザジ配給の公開時のビジュアルは、廃墟となった大聖堂を背景にした主人公アンドレイ(+犬)の写真がメインに使われてきましたが、今回は「新しいノスタルジアを」と、デザインを担当して下さっている成瀬慧さんが、本作の中心的な登場人物の一人、エウジェニアの後ろ姿を捉えた印象的なカットを用いて、今までのイメージを刷新する、ル・シネマの館内でもきっと映えるであろう、素敵なものを作って下さいました。2003年のリバイバル時はパンフレットは作成しなかったのですが、今回は作成予定。宣伝協力のプンクテさんと相談しつつ、これから準備に入ります。

『ノスタルジア』の権利を最初に取得したのは2000年代初頭だったでしょうか。それから20年以上、途中他社さんに一部権利が移行したこともありましたが、何らかの権利はキープし続けて、長く関わり続けている作品なので、4K修復版という新たな素材でお届け出来るのは、大変嬉しいです。今回は特に若い方々にも観て頂きたいと願ってます。初体験となる方は、「スゲーッ!」と驚嘆する間違いなし。先ずはストーリーを追うことにとらわれず、圧倒的な音と映像を体感して頂ければ!

その前に!12月23日㈯から渋谷シアター・イメージフォーラムでスタートする“カール・テオドア・ドライヤー セレクション vol.2”もお忘れなく。現在劇場窓口、映画前売券のネット通販メイジャーでも4回券を販売中。特典にはご覧のポストカード3枚セットが付きますので、ご鑑賞予定の方はぜひお買い求めください!

今回新たに加わった『あるじ』『ミカエル』『吸血鬼』の3本のポストカードです!

texte de daisuke SHIMURA





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