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やさしいお絵描き3: プロの鉛筆を使おう

そういえば道具の解説をすることをすっかり忘れていました。

このデジタル全盛の時代にわざわざ鉛筆なんか使っても遠回りをするだけではないかという気もしますが、紙の上で鍛えた技術というのはデジタル移行しても必ず役に立つものです。また、電気がなくても作画できますし、PC一式やiPadなんかに比べて鉛筆は遥かにお値打ちです。何かを始めるハードルは単純に低い方が望ましい。というわけで今さら紙と鉛筆について書いていきます。

鉛筆

プロが使う鉛筆といっても、黒鉛の芯が木で被われているという基本的な構造は、小学校で使う鉛筆と全く変わりません。では何が違うのかというと、濃さの種類が全然違います。HBや2Bというのはどこでも売ってるし誰でも使ったことがあると思いますが、たとえばステッドラー社のマルス・ルモグラフ鉛筆は10Hから12Bまで24種類の硬度があります。

参考: https://www.staedtler.jp/products/pencil/writing01.html

なんでそんなにたくさん種類があるかというと、鉛筆の硬度によって出せる黒の強さが全然違うからです。

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このように比べれば一目瞭然、HBと6Bとでは黒の濃さが全然違います。つまり、様々な硬度の鉛筆があれば、より広い階調が表現できるということです。

….じゃあ一番黒が強い一本だけ持ってりゃいいんじゃねえか? というと、そうでもありません。薄い色を優しく広げていきたい場面というのも確かにあるからです。狙う飛距離によってゴルフクラブを使い分けることと似ていますね。

といっても、いきなり24本セットを買うというのはなかなか大変ですし、実際私も持っている硬度は4種類くらいです。ひとまず4Bとか8Bあたりが1本あるだけでもだいぶ違うので、試しに濃いめのを1本買ってみるのがオススメです。

美術で使う鉛筆は、上で挙げたステッドラー三菱のハイユニ、そしてトンボのMONO100がメジャーな選択肢です。どれも1本160円程度です。画材屋に行けば必ずと言っていいほど置いてありますし、大きめの文具コーナー(製図用品とか)でも売っています

鉛筆│ステッドラー日本【公式サイト】
https://www.staedtler.jp/products/pencil/writing01.html

ハイユニ アートセット|鉛筆・色鉛筆|三菱鉛筆株式会社
https://www.mpuni.co.jp/products/pencils/black/uni_series/hi_uni_art.html

モノ100 | 株式会社トンボ鉛筆
https://www.tombow.com/products/mono100/

メーカーごとに書き味や発色などが違うので、試し書きできるなら比べてみてください。たとえば同じ8Bでも、三菱とステッドラーでは芯の太さがこれだけ違います。

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ところで、画材屋には色んな硬度のシャーペンの芯も売っていますが、やはり芯の太さが一定であるという都合上、あまり濃い色の(柔らかい)芯はありません。というわけで鉛筆が妥当な選択肢ということになってきます。

tips

ついでなので小技も書いておきます。

・消しゴムの使う面を素手で触らない

鉛筆の線を消す時、消しているはずなのに黒い帯がズッと伸びてしまって、かえって消えなくなってしまったという経験があると思います。

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こんな感じの現象ですね。これはなぜ起こるのかというと、手についた脂分が消しゴムに付着していると、こうなることが多いです。なので、消しゴムは紙のスリーブから外さず、ゴム表面を直接手で触れない方が無難です。

・光る表現は色のついた紙を使うと楽

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これは100円ショップの色画用紙に試験的に描いたものです。このように、色のついた紙を使うと光っている部分を白の色鉛筆で書き込めるので、陰影の練習が楽にできます。

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鉛筆一本でコップのフチなどを光らせようとすると非常に面倒ですが、このようにすればとても簡単です。

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