「長男の矜持」2023年12月23日(土)

・まーた緑の服を買ってしまった。緑どんだけ好きなんだよ。

・クリスマスイブイブということで、一人で鳥貴族にやってきました。隣のカウンターにいるカップルっぽい男女のノリがかわいすぎた。一人で浴びるには耐えられないくらいのかわいさ。長男じゃなかったら耐えられなかった。いっぱい話しかける女の子と、終始ロートーンな男の子のペアでバランスがよかった。

・一方で、家族LINEでの会話。

カスのLINE

・ブラフで遊ぶ回のオモコロチャンネルの原宿を彷彿とさせる。声で会話していたら二酸化炭素をいたずらに排出するだけの無駄遣いなので即刻やめさせるべきだが、LINEなので許してください。

・段ボール、先週のチャンスを逃して車で捨てられなかったので、えっちらおっちら歩いて回収場まで捨てに行った。家を出て早々に、結んでいたヒモが、段ボールの重さに負けて千切れてしまったので戦意を喪失したものの、強い精神力でなんとか捨てることに成功。長男じゃなかったら耐えられなかった。

・本屋に行ったりしたけど、特にめぼしいものもなくてそのまま店を出た。『ダンジョン飯』が完結していたので、早く読まないといけない。九井諒子が今後どんなマンガを描くのかもとても楽しみだ。


・『いちばんすきな花』第11話(最終話)を見ました。実質メインの主人公と言えるゆくえをあんまり深掘りしないの、すごかったな…。ゆくえという人物を捉える上で、彼女の主観的な語りだったり、ナレーションみたいなものってほとんどなかったから、視聴しているわたしたちは、ドラマの登場人物たちと同じく、やりとりの中でしかゆくえを知ることができない。でも、ゆくえのことはだいたいわかったような気がしている。気がしているだけだ。ドラマでこういう人物像の浮き立たせ方ってかなり珍しい気がする。

・以下ネタバレあります。



・美鳥ちゃんがちゃんと帰ってきた!はっきり言って、ゆくえは除くとしても他の3人と美鳥がまた会えるのはもっと遠く先になるんだろうな…という感じがしていたから、予定通りに家を買い戻して、予定通りに学習塾を開いて、あの家をまたみんなのものにしてくれてよかった。

・「男女の友情って成立するの?成立しないの?」と、ゆくえが美鳥に尋ねるシーン、そのキャッチコピーをここで…!!とかなり驚いたな。名前の付かない関係性を丁寧に描き続けるこのドラマを最終回まで見ている人のなかで、このキャッチコピーを念頭におきながら、「で、結局男女の友情は成立するのか…?」と思いながら鑑賞しているやつなんてほとんどいないだろうから。

・聞かれた美鳥の回答は「どっちでもいいんじゃない?」で、最高だった。「どっちでもいい」というのは確定させることの保留であって、たとえばご飯をどこに食べに行くかの話になったときに「どこでもいい」と言われると困ってしまうように、回答を投げているとも捉えられかねない。もし仮に、ドラマの1話でこのやりとりがあったとしたら、え〜と思ってしまうかもしれない。

・だけど最終回で、4人や彼ら彼女らを取り巻くいろいろな関係性を見たあとの「どっちでもいいんじゃない?」は、単なる下書きじゃなくて、きちんと全力で書かれた清書の回答だとすんなり分かる。分かるというか、そうでしかないよな、という感じだ。

・「男女の友情って成立するの?」に対して「どっちでもいいんじゃない?」というやりとりを最後にやることで、ドラマ全体がすごくまとまった気がしてほんとうによかったな。大半の人にとってはどうでもいい(かもしれない)些末な事情に悩まされることは、人間関係という問題に限定しなくてもおそらく誰しもが少なからず抱えていて、そこに照準を絞ったドラマだった。民放でやる連続テレビドラマという性質上、最大公約数の共感を狙える内容で作るのがおそらく"正しい"やり方なんだろうけど、そこへのカウンターみたいにもなっているというか。

・あと、4人ってけっこう迷惑な行為というか、そんなことやっちゃダメだろをまあまあやってますよね。最終話で言えばラストの家具屋のダイニングテーブルに座って話し込んでいたらスタッフに注意されるとことか。椿は煙草も吸わないのに喫煙所で知らないおじさんと会話するし、紅葉が廃棄をもらってきているのもほんとはダメなはずだし。夜々も(正当防衛とはいえ)夜の街中で大声出したり。ドラマが後半になるにつれてそういうシーンが増えていた気がしていて、共犯者としての4人、みたいなものがたくさん描かれていたように思う。わたしは共犯関係にグッときてしまうところがあるので、その辺も好きだった。4人は悪いという自覚なくそれをしているのが好きだ。

・主題歌の担当アーティストがドラマ世界にも登場したところで『TRICK』を思い出した。劇中に2回フルコーラスで主題歌をかけるのってなかなかない気がする。後ろでケーキを食べる4人、あまりにもよかった。


・これはめちゃくちゃどうでもいい段落だけど、赤田が乗っている車が日産のジュークだったのが衝撃的でおもしろかった。赤田、ジュークなんだ。まあ普通車だろうとは思うんだけどノートとかかと思ってた。まあ赤田はジュークかもな…。

・車の番号が「46-14」で「白いよ」だったのもおもしろかった。なんで赤田なのに白いんだよ。車も黒だったしなんなんだ。


・美鳥が花瓶に生けていたオレンジのガーベラを、塾の生徒たちがこぞって欲しがるシーンめちゃおもしろかった。夜々は美鳥との会話の中で「すきな人に嫌いなことを知ってもらって、生きやすくなった」みたいなことを話していたから、それがテーマでもあるのかなと思ったんだけど、この美鳥が花を渡してあげるシーンで、すきな人に好きなものを共有するのもまた生きやすい世界を作ることだな、と思う。嫌いなものも好きなものも、「共有できる」ことが重要で、すきな人が相手なら受け入れられても受け入れられなくてもどっちでもいいのかもしれない。

・あと美鳥があとで捨てるために端に寄せておいたにんじんの皮とヘタを、塾の生徒が「ごはん」と言って取っていこうとする場面、虐待…?が一瞬よぎったあとに「うさぎのごはん」と種明かしをする構造、あまりにもこのドラマを綺麗に表していたな。ここまで11話かけて「勝手に決めつけない」を見てきても、結局あなたは決めつけちゃうでしょ?と問われているような。ゆくえが早とちりするところも、夜々が名字について言及するとこもそう。


・最終回らしいサービス精神もふんだんに盛り込まれていて、でも視聴者の予想通りではない部分もいっぱいあって楽しかったな。カレーを食べに来る人選とか、夜々の働く美容院に来たむらさきちゃんとか、ゆくえとこのみが家で見る力士のニュースとか。


・希子と穂積も良好な関係性になれたようでとてもよかった。小走りで扉を開けにいってあげる希子、よかったな〜。そのあと、嫌いなもの(希子:にんじん、穂積:ピーマン)をお互いに交換しあっているのも最高。この2人も、すきな人同士になれたんだな、と思って。その前にあった塾の場面では、希子は穂積にココアをあげている。ココアは、第10話での希子とゆくえの会話の中で判明した、希子の好きなものだ。


・ほんとうにいいドラマだった。もう来週からはあの4人をメインとした珍道中が見られないのがさみしい。長男じゃなかったら耐えられなかった。

・完璧な終わらせ方をしてくれたと思っているから、続編もないだろうし。あわよくば何年か後に2時間SPとかで見たいかも。

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