3歳児の憂鬱②〜お風呂の遺憾〜

「お風呂は、すべての日常の活動において重要な役割を果たしている。なぜなら、お風呂に入ると、ストレスを和らげることができるからだ」
そんな常套句に踊らされて、僕の日常にもお風呂の予定が組み込まれている。

全くもって遺憾である!僕にはすぐさま意を表明できる準備が整っている。

また、とある賢者はこうも言う。
「忙しい毎日の中で、定期的にお風呂に浸かることで体の疲労や不調を軽減することができる。そのため、できるだけ頻繁にお風呂を楽しんでいただきたいものだ」
そんな名前も知らない賢者に踊らされ、僕はまたお風呂に入る。

全くもって遺憾である!そろそろ、意を表明しなければならない!

さらに、その賢者はこう続けていた。
「お風呂には、家族の絆を深める場としても重要な役割を果たしている」
そんな美辞麗句を並べて、さぞ正当であるかのように表現してくる。

全くもって遺憾?いや、待てよ。
ママとの絆を深める場としては、悪くないかも知れない。

賢者の話は、まだ続いているようだ。遺憾ではあるが、耳を傾けてみようではないか。
「子供たちは、親と一緒にお風呂に入ると、親子間の関係が開かれ、楽しくコミュニケーションをとったりすることができる」

なるほど。
お風呂は、ママと楽しくコミュニケーションを取る場だと考えれば、悪い話ではない。

そこで、僕はある事に気づいた。
謎の賢者は、つぶらな瞳でこっちを見ているではないか。
そして両手を広げ、口を開きはじめた。

「お風呂は、集まりの中での会話など、スペシャルでオーダーメイドな時間を演出することができるのだ!」
そう言うと、謎の賢者は僕との間合いを一気に縮めて、さらに続けた。

「さぁ!ともにお風呂に入ろうではないか!そして、オーダーメイドな時間を共有しようではないか」
僕は、その賢者の姿を改めてよく確認した。

パパだ!
これは非常に遺憾である!
躊躇なく意を表明しなければならない!

「さぁ!早く入ろうではないか」

これは緊急事態だ!一切の躊躇も許されない極限の状況!
ついに僕は渾身の力を込めて、意を表明した。
「ママと入る!!!!!」

以上


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