エモーショナル・ハードコアの裁定関係のまとめ

今回はこのカードを紹介します。

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神聖龍エモーショナル・ハードコアです。

天門ユーザーにはおなじみのカードですが,ラッカ天門の流行により最近にわかに注目されています。

このカードは,選んだ名前を持つクリーチャーの能力を無視するという変わった能力を持っています。

この記事では,このカードを使う,または相手にする場合におさえておきたい裁定等をまとめました。


1 能力のおさらい

まずはカードの能力を確認しましょう。

■ブロッカー
■W・ブレイカー
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》以外のクリーチャーの名前を1つ選ぶ。
■選んだ名前を持つクリーチャーの能力をすべて無視する。
■相手がクリーチャーを選ぶ時、バトルゾーンに自分の他のオラクルがあれば、このクリーチャーは選ばれない。(ただし、このクリーチャーを攻撃またはブロックしてもよい)

主に問題となるのは,上から3つ目及び4つ目の能力です。

第2項以降では,3つ目及び4つ目の能力に関係する裁定や注意すべきポイントを見ていきます。


その前に5つ目の能力についても簡単に触れておきます。

自分の場にもう1体以上オラクルを種族に持つクリーチャーがいれば,選ばれなくなるという能力です。

このカードの種族は,オラクル・ドラゴン/オラクリオンですから,もう1体エモーショナル・ハードコアを並べるだけで条件を達成します。

そのため,3枚か4枚採用しましょうと言われるわけですね(もちろん,ピンポイントメタの運用にとどめるのであれば,その限りではありません。)。


2 名前を選ぶとはどういうことか?

クリーチャーの名前を選ぶというのは,実際に存在するクリーチャーカードのカード名を宣言するということです。


これだけだと意味が分からないと思うので,重要なポイントを以下に列挙します。

実際に存在しないカードの名称を宣言することはできない

②実際に存在するカードであれば,バトルゾーンやその他公開領域にいなくても,明らかにデッキに入っていないであろうカードでも宣言できる

③実際にバトルゾーンに存在する特定のクリーチャーを選ぶわけではない


上記③について補足します。

実際にバトルゾーンに存在する特定のクリーチャーを選ぶわけではないので,下記裁定のとおり,選ばれない能力を持つクリーチャーの名前も選ぶことが出来ます。

Q《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》の「出た時」の能力で《雅役者 マチネソワレ》の名前を選べますか?
Aはい、《雅役者 マチネソワレ》のクリーチャーの名前は選べます。

また,「選ばれた時」に発動する能力を持つクリーチャーの名前を選んでも「選ばれた時」の能力は発動しません。

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なお,実際に場にいる特定のクリーチャーを選ぶわけではないという点からするとやや直感的ではないのですが,名前を選ばれたクリーチャーが呪文やクロスギアなど他の効果によって能力を得たり与えられたりしていた場合,これら能力も無視されます。

Q《あたりポンの助》によって選んだ名前を持つクリーチャーに、呪文やクロスギアなど他の効果によって能力を得たり与えられたりしていた場合、それは無視されますか?
Aはい、クリーチャーが呪文やクロスギアなど他の効果によって能力を得たり与えられたりしていた場合、それはクリーチャーの能力となりますので無視されます。(「ブロッカー」や「スピード・アタッカー」得たり与えられた場合、それはクリーチャーの持つテキストの一部とみなします。)
ただし、パワーの増減や、クリーチャーに関する特性を定義するもの(文明を追加したり、ブロックされない状態にしたり、破壊されなくしたり)はテキストとして得ているわけではないので無視されません。

これは非常にわかりづらい裁定です。


3 無視できるのはバトルゾーンにいるクリーチャーの能力のみ

エモーショナル・ハードコアの能力で無視できるのは,バトルゾーンにいるクリーチャーの能力のみです。

具体的に言えば,無視できるのはそのクリーチャーがバトルゾーンに出たときの能力,バトルゾーンにいるときに発動する能力,及びバトルゾーンから離れた時の能力ですね。


そのため,バトルゾーン以外のゾーンにいるときの能力(革命チェンジ,墓地から召喚できる能力等)は無効化できません。

Q《あたりポンの助》によって手札にある選ばれた名前を持つクリーチャーの革命チェンジやニンジャ・ストライクは使えなくなるのですか?
Aいいえ、使うことができます。ゾーンを指定せずにクリーチャーと言う場合はバトルゾーンに存在するクリーチャーのことを指します。バトルゾーンに出る前に何かさせる能力は使うことが可能です。


また,バトルゾーンに「出た時」の能力は無視できますが,「出る時」の能力は無視できません。

よくみられる場面として,EXライフがあげられます。

Q《あたりポンの助》の「出た時」の能力で《聖魔連結王 バロディアス》を選び、その能力が無視される状況です。《聖魔連結王 バロディアス》をバトルゾーンに出す場合、「EXライフ」はどうなりますか?
類似例:《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》
A《あたりポンの助》はバトルゾーンにいるクリーチャーの能力のみを無視します。出す時の「EXライフ」は無視されませんので、山札の上から1枚目をシールド化します。《あたりポンの助》がバトルゾーンにいる状況で《聖魔連結王 バロディアス》が離れる場合、その能力は無視されているので「EXライフ」による置換効果は適用できず、追加したシールドはそのまま残ります。
《あたりポンの助》がバトルゾーンを離れた場合、能力は無視されなくなるので、追加したシールドは再び《聖魔連結王 バロディアス》の「EXライフ」シールドとして扱います。

「出る時」と「出た時」の区別はややこしいですが,重要です。


4 第3項の補足~バトルゾーンを離れた時の効果について~

前記第3項において,バトルゾーンから離れた時の能力は無視される旨記載しました。このあたりの裁定はルール変更もあり,かなりややこしくなっています。


まずは下記ページをご確認ください。

バトルゾーンを「離れた時」に発動する効果につき,以前は無効化されないというルールでしたが,現在では無効化されることになりました。


しかしながら,「どこからでも墓地に置かれた時」の能力については,仮にバトルゾーンから墓地にいっても無視されません。

墓地におかれたときにトリガーする能力だからです。

Q《あたりポンの助》の「出た時」の能力で《疾封怒闘 キューブリック》を選んでいる状況です。この状況でバトルゾーンにいる《疾封怒闘 キューブリック》が破壊された場合、「どこからでも墓地に置かれた時」の能力はトリガーしますか?
Aはい、トリガーします。「どこからでも墓地に置かれた時」の能力は「破壊された時」とは異なり、元あったゾーンの状態に関わらず、墓地に置かれたタイミングでトリガーします。


また,特にややこしいのがラストバーストに関する裁定です。

「このクリーチャーが破壊された時、このカードの呪文側をコストを支払わずに唱えてもよい」というラストバーストのテキストからするとルール変更により唱えることはできなくなったはずです。しかしながら,下記裁定のページは削除されていません。

Q「ラスト・バースト」を持つクリーチャーが《あたりポンの助》などの効果で能力を失っていた場合、破壊された時にその効果を使うことはできますか?
Aはい、《あたりポンの助》の効果はバトルゾーンでのみ適用されるため、呪文側を使うことができます。

当該ページの理由付けがルール変更前の説明を前提としていることから,単に公式が削除し忘れているだけの可能性もあるため,実際に直面した場合は現場のジャッジの指示に従ってください。


5 名称の指定は場に出たときの効果である点に注意

エモーショナル・ハードコアの名前を選ぶ能力は,バトルゾーンに「出た時」の能力です。

そのため,下記裁定のとおり,「出た時」に反応する相手のクリーチャーの能力を無効化しても,バトルゾーンに出た時に既にトリガーした効果を遡って無効とすることはできないのです。

Qバトルゾーンに自分の《全員集合!アクア・三兄弟 / 超次元ジェイシーエイ・ホール》が1体います。相手のターン中に、相手は《ドラゴンズ・サイン》を唱えて、《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》をバトルゾーンに出しました。相手は《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》の「出た時」の能力で≪全員集合!アクア・三兄弟≫を宣言しましたが、自分は≪全員集合!アクア・三兄弟≫の効果で《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》を手札に戻せますか?
Aはい、戻すことができます。能力は無視されますが、トリガーしている待機中の効果は無視することができません。


これは能力の無効化が常在能力である∞龍ゲンムエンペラーとの違いですね。

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ちなみに,エモーショナル・ハードコアは,「バトルゾーンに出た時」ではじまる効果を持つクリーチャーですから,地封龍ギャイアがいるとバトルゾーンに出すこと自体できません。

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6 カードタイプ特有の効果は無視できない

進化クリーチャー等カードタイプに特有の効果・ルールについては無効化することが出来ません。

下記裁定ではカードタイプが持つ事実と呼ばれています。

Q《あたりポンの助》によって手札にある選ばれた名前を持つ進化クリーチャーは出せますか?
Aはい。進化もバトルゾーンに出る方法をバトルゾーンに出る前に決定する能力ですので、名前を指定されていても出すことは可能です。また、召喚酔いがないというルールは、進化クリーチャーというカードタイプが持つ事実ですのでなくなることはありません。


最近の環境で重要なものといえば,スター進化クリーチャーでしょう。

スター進化クリーチャーの除去耐性もスター進化クリーチャーというカードタイプそのものが持つ効果として無効化されません。

Q《禁時混成王 ドキンダンテXXII》の「出た時」の能力などで、能力が無視されているスター進化クリーチャーがバトルゾーンを離れる時、進化元のクリーチャーはバトルゾーンに残りますか?
Aはい、離れる時に一番上のカードのみがかわりに離れ、下にあったクリーチャーは残ります。スター進化クリーチャーが持つ「離れる時」の置換効果は、能力が無視されている状況でも解決できます。


7 別のエモーショナル・ハードコアで指定した名称のクリーチャーは無視できない

これは要注意の裁定です。

Q《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》を2体バトルゾーンに出し、「名前を1つ選ぶ」能力で《ヤッタレマン》と《パーリ騎士》をそれぞれ選びました。その後、《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》1体がバトルゾーンを離れたとしても、《ヤッタレマン》と《パーリ騎士》の能力はどちらも無視されたままですか?
Aいいえ、バトルゾーンを離れた《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》で名前を選んでいたクリーチャーの能力は無視されなくなります。
《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》の能力は、そのカード自身の能力で選んだ名前を持つクリーチャーの能力のみを無視します。《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》がバトルゾーンを離れた時点で、この能力は失われます。

要するに,自分のバトルゾーンにエモーショナル・ハードコアA(以下,「A」という。)とエモーショナル・ハードコアB(以下,「B」という。)がいる場合に,Aがバトルゾーンを離れると,Aの能力で選択した名称を持つクリーチャーの能力は(バトルゾーンにBがいるとしても)無視されなくなるということです。

(ナウ・オア・ネバー等で)エモーショナル・ハードコアを出し入れして,複数のクリーチャーを無効化することはできません。


また,トラブルを避けるために,エモーショナル・ハードコアを複数体並べたときは,それぞれどのクリーチャーの名前を宣言したエモーショナル・ハードコアであるかわかるようにしておきましょう(マッハファイターで攻撃するときにどのエモーショナル・ハードコアか確認する等。)。


8 その他

最後に,テスタ・ロッサ入り墓地ソースが最近みられることから,下記裁定もおさえておきましょう。

Q相手は《あたりポンの助》の「出た時」の能力で《灼熱連鎖 テスタ・ロッサ》を選んでいて、《灼熱連鎖 テスタ・ロッサ》の能力が無視されている状況です。
自分のテスタ・ロッサが破壊された時、自分は手札から《灼熱連鎖 テスタ・ロッサ》をバトルゾーンに出しました。自分はこの《灼熱連鎖 テスタ・ロッサ》の「そうしたら」以降の効果を解決できますか?
Aはい、できます。《あたりポンの助》の能力はバトルゾーンにいる選ばれた名前を持つクリーチャーの能力を無視しますが、解決中の効果を無視することはできません。《灼熱連鎖 テスタ・ロッサ》の「灼熱ドロン・ゴー」の効果はすでに解決中ですので、バトルゾーンに出た後の効果も無視されません。


手札から場に出す効果と墓地からテスタ・ロッサと名のつくクリーチャーを出す効果は一つの能力であるためにこのような処理になります。

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灼熱連鎖テスタ・ロッサは場に出た後はWブレイカーとデメリット能力だけですから,エモーショナル・ハードコアで名前を選択する意味がほとんどなさそうですね。


9 追記(2022年10月14日)

続編あり



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