26歳男、初めての貢茶 ~タピオカ入ってませんが、大丈夫ですか?~
こんにちは。ニート生活も早いもので約1週間が経過しました。
突然ですが、皆さんは人生でやり残していることはいくつありますか?
僕は2つあります。
1つは小松菜奈さんと結婚すること、そしてもう1つはタピオカミルクティーを飲むことです。
僕は齢26歳にして未だタピオカという未知の生命体を口にしたことがありませんでした。
そして昨日。新宿のハロワ帰り。目に飛び込んできたお店がありました。
お店の名前は貢茶(Gong Cha)。
言わずと知れたタピオカミルクティーの有名チェーン店です。
(ちなみにこのnoteを書くまで僕はずっとゴングチャと呼んでいましたが正しい読み方はゴンチャです。大学4年間で培った僕の中国語力は巷の女子高生以下でした。)
今までも街中で見かけたことはありましたが、いつ見ても長蛇の列。
兼ねてから行ってみたいという思いはありましたが、行列に並ぶことが嫌いというのと男1人で入る気恥ずかしさからなかなか踏み出せずにいました。
しかしこの日。
お店は営業中でしたが、外出自粛状況も相まって、誰1人並んでいる人がいません。
緊急事態宣言が叫ばれ、いつ命を落としてもおかしくない今日この頃。
好きな人には好きと言い、タピオカミルクティーを飲める時にはタピオカミルクティーを飲んでおくべきです。
迷いはありません。すぐに入店を決意しました。
店員さんは20歳前後の女性。こんな時にもお疲れ様。(*´ε`*)チュッ。
さあ、26歳男性が1人でたどたどしくタピオカミルクティーを注文する様など見るに堪えません。貢茶・タピオカミルクティー童貞であることも隠し通さなければ。ここはスマートに注文を決めたいところです。
このお店ではウーロンミルクティーなるものが有名という話は聞いていたので、迷わず「ウーロンミルクティーのMサイズを。」と福山雅治バリの低音ボイスで決めました。
さあ、このままお会計、と思った矢先。
貢茶に行ったことがある方はご存知かと思いますが、メニュー注文の際には、甘さ・氷の量・タピオカのトッピングを選ぶことができます。
ラーメン屋での味の濃さ・麺の硬さ・油の量的な感じですね。
そんなことを知る由もない僕は、
「甘さはいかがなさいますか?」と聞かれ面喰らいました。
ここで動じてはいけない。動揺すると貢茶童貞がこの子にバレてしまう。
喉まで出かかった「ウェルダンで」という謎の単語を押し殺し、
「全部普通で。」と全盛期の向井理のような爽やかさで答えました。
続いて、「トッピングをお選び下さい。」の声。
店員さんに指さされたトッピングメニューの欄にはパールやらミルクフォームやらバジルシードやらグラスジェリーやら得体の知れないカタカナの羅列。それは大学受験の世界史でカタカナノイローゼになっていたトラウマを見事に想起させてくれました。
「人は危機に相対した時、その本質が出る。」という、漫画アカギの名台詞があります。
気が付くと僕の本質は「そ、それも普通で・・・」と喋っていました。
「・・・タピオカ入ってませんが大丈夫ですか?(不安げな顔)」
その店員さんの表情を、生涯忘れることはないでしょう。(aiko/カブトムシ)
いっそのこと貢茶でタピオカを頼まずにドリンクだけ注文する通な男を演じようか悩みましたが、ここでタピオカを口に出来ず明日死んだら、きっと僕はこの貢茶に地縛霊として一生留まることになります。
「じ、じゃあ、このパールってヤツお願いします・・・」
人体って不思議なものですね。26年間生きてきて一度も出したことのない、犬が体調不良の時に出すような声が出ました。
これできっと店員さんにも貢茶童貞がバレてしまったことでしょう。
しかし、何事にも初めてはあるものです。恥じる必要は全くありません。
ここでスマートさを投げ出す男は3流以外の何物でもない。僕が理想とする男性像は常に紳士であることです。颯爽とお会計を済ませようと500円玉をレジカウンターに。お釣りは君のチップで構わないぜ。
・・・ん?
突如流れるしばしの沈黙。ふと店員さんを見ると、店員さんも僕のことを見つめていました。穏やかで優しくも、どこか寂しく怯えたような瞳で。
ー皆さんは、運命を信じますか?
僕は信じます。流れる沈黙。見つめあう2人の男女。言葉は要らない。
ようやく出会えた。君が僕のフィアンセになる人だ。
そう確信しました。
頭の中ではエンダァ~イヤァ~(曲名不詳)が流れていました。
そして、フィアンセは僕に優しく、こう告げたのです。
「529円です・・・29円足りてません・・・」
ー
ー
ー
それからのことはよく覚えていませんが、気が付いたら僕は新宿駅のホームに居ました。駅中で無心で野太いストローでタピオカミルクティーを飲んでいる僕を、周囲の人はきっと奇怪に思ったことでしょう。そして僕はタピオカと同時に沢山のコロナ飛沫を吸引していたことでしょう。
しかし人生のやり残したことを1つ達成できたので僕はもう満足です。
何より美味しかったし。
僕が死んだ暁には、菅田将暉さん、小松菜奈さんをよろしくお願いします。
おやすみなさい。