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私を構成するアルバム⑥Children Of Bodom『Follow The Reaper』

「〇〇を知らないなんて人生の半分損してる」

よく聞く言い回しですが、僕はあまり好きではありません。
他の楽しいこといっぱい知ってるから放っといてくれや。

だがしかし。
メタル聴きはじめの自分は確実に人生損してました。
だってデスメタルを受け付けない耳だったから。

どうも、ザルソバです。

この続き。
体調崩してGWどこにも行けないからnote書くぞ!



1.君はデスメタルを聴かない

パワーメタルを聴き始めてからすっかりネットで検索する癖が付きました。

このアルバムを聴け!と書いてあれば
ツタヤに行ってレンタルしてやり
ツタヤにアルバム無ければ
ブックオフに行ってそのCDを追い

新しいジャンル知りたて特有の何でも吸収しようとする時期でしたが、Gamma Rayの時に書いたように基準はあくまで歌メロ優先。
聴いてみたもののボーカルが地味で良さが分からなかったバンドも多くありました。

中でもデスメタルは歌メロ自体が存在せず、完全に理解が追いつきませんでした。グロウルもシャウトもダメ。
リリースされたばかりのTriviumの『Ascendancy』がすごいと噂を聞きつけて買ってみたものの一回聴いて長らく封印してたくらい。
本当に自分センス無い。バカ、アホ、マヌケ。近所のネコ一生懐かない。必死に捻りだした渾身のネタツイに一個もいいね付かない。

今となっては自分でも信じられないのですが、Lordiがギリギリ聴けるラインでした。


2.北欧よりの使者

パワーメタルと正統派メタルとメロハーばかり聴いていたある日、僕は小川町という場所にある当時はダイヤモンドシティと呼ばれていたデカ・イオンのデカ・ツタヤに来ていました。

目当てはSonata Arcticaの『Silence』。
この数日前に映画を観にここ小川のデカ・イオンに来たついでにツタヤに寄ったところ、店員さんにメタルヘッドがいたようでSonata Arcticaの『Ecliptica』を激推しするポップがありました。
当時Sonata Arcticaを知らなかった自分がそれに釣られてレンタルして聴いてみたところ…どれだけ感情を揺さぶられたかは、『Ecliptica』を聴いたことがある人には言葉無しでも想像していただけるでしょう。

ツタヤのHR/HMコーナーに到着してCDを探すとすぐに目当てのSonata Arctica『Silence』を発見。
と、同時にその隣のポップが目に入りました。

「担当大プッシュ!!!Sonata Arcticaと同郷フィンランドから現れたメロディックデスメタル!!!その名もChilderen Of Bodom!!!!!ソナタが好きならこれも聴け!!!これからのメタルはこいつらが背負う!!!!!」

強火。

しかし自分にSonata Arcticaを教えてくれた人がお勧めしています。
これは聴いてみるのが道理ではないか?

アルバムは3枚あったので、とりあえずネットで「Childeren Of Bodom 名盤」と検索。
すると「死神のアルバムがおすすめ」と出てきました。なるほど。



全部死神じゃねえか!!!

2024年の今となっては「チルボドのおすすめは死神のジャケのやつ」なんて死語ですが、00年代ではまだ新鮮でした。多分。

イチゴ、メロン、ブルーハワイだったらブルーハワイを選ぶ人間だったので青いアルバム『Follow the Reaper』をレンタル。

すぐ帰りの車の中で聴いてみると……

デスメタルじゃねえか!!!

いやSonata Arcticaと同郷とは書いてあったからパワーメタルと思ったらメロディック「デス」メタルとも書いてあったのを完全に見落としていました。
人間、自分の欲しい情報しか目に入らないものです。

確かにボーカルは馴染めない……が、ギターとキーボードがただただカッコ良すぎる。こんな音楽があったのか!というメタルを聴きはじめてn回目の衝撃。特にオケヒットなんて林原めぐみか浅倉大介プロデュースの曲でしか聴いたことがなかったので新鮮でした。
アルバムの2曲目「Bodom After Midnight」を聴き終わるころには、僕は車をUターンさせてイチゴとメロンもレンタルしてました。

ちなみにメロディックデスメタル(以下メロデス)は90年代半ばに生まれたジャンルなのでこの時点で自分はメロデスについては約10年遅れのウラシマです。

3.アレキシ・ライホという男

その後、4枚目のアルバムも買ってChilderen Of Bodom略してチルボドを聴きまくりました。最初はギターとキーボード目当て。でも24/7で聴いているうちに慣れてきて、所謂デスヴォイスも普通に聴けるようになりました。
ボーカル&ギターのアレキシ・ライホさまさまです。

他のデス/メロデスを聴いて分かったのですが、アレキシのボーカルってかなり聴きやすい部類で、デスメタル入門としてはこれ以上ない選択だったと思います。
ツタヤ小川店のHR/HM担当さんはチルボドを広めた功績が称えられて。今はツタヤの社長でもやってるんじゃないでしょうか。

チルボドでメロデスを知り、そこからKalmahにEternal Tears Of Sorrowのフィンランド勢、やや遅れてIn FlamesとArch Enemy、それからEnsiferumと順調にハマりました。
Triviumも棚から出してたくさん聴きました。

ちなみにIn FlamesとArch Enemyにハマるのがやや遅れたのは最寄りの小さいレンタル屋に置いてたアルバムが「Soundtrack to Your Escape」と「Anthems of Rebellion」だったから。タイトルは両方最高にキマってるのに。

メロデスもメロパワ同様に日本では大人気で、昔からちょっと検索すれば「これは聴いとけ!」と大量のアルバムがネット上ではお勧めされていて、2024年になっても未だに名盤が増え続けてその全貌を掴み切れないジャンルです。
Soilwork、ダートラ、Insomniumといった有名どころは勿論、日本にもTHOUSAND EYESを筆頭にレベルが高いバンドがたくさんいて、毎年好きなメロデスバンドが増えていってる状態。

しかしChilderen Of Bodomが自分の中で頭一つ抜けたバンドなのは、初めて聴いたメロデスだからという雛鳥的な刷り込み以上に、アレキシ・ライホの存在があるからです。
彼の作る曲、ギターのテクニック(僕は楽器できないのであんまり理解してないですけど)、顔もイケメン。酒をガバガバ飲んだり、車の屋根に乗って遊んでたら転んで骨折してアルバムの完成が遅れるなんてエピソードもロックスターっぽくて好き。
ライブで数回見たこともありますが、演奏はもちろん唾を吐く仕草が不良(ワル)っぽくてカッコよかったんですよね。

その後ゴタゴタがあってChilderen Of Bodomからアレキシが脱退。
すぐに彼はBodom After Midnightというバンドを組んだことを発表してくれました。
残念ではあるけどHelloweenとGamma Rayとか、Battle BeastとBeast In Blackとか、メタル界では稀によくあることなのであまり気にしていませんでした。


2021年1月4日だったと記憶しています。
まだまだ正月休みでお酒を飲みながら、録画していたガンダムNTを観つつツイッターを眺めていたら突然流れてきたアレキシ・ライホ逝去の報。
一気に酔いが冷めました。海外ニュースを見つけて誤訳なのを確認したかったのですが、願い虚しく彼が亡くなったことは間違いないようでした。
後の報道によると肝臓と膵臓を壊していたそうで。
気付きたくなかったけどそういや晩年ガリガリに痩せてましたね。

きっとこの人は長生きしないだろうなぁと誰もが思っていたでしょうが、まさかこんなに早く亡くなるなんて誰も思っていなかったでしょう。

確かにアレキシは過去のレジェンド達にも負けないギターヒーローでロックスターだったけど、寿命まで真似なくていいじゃないですか。


Childeren Of Bodomのおかげで、アレキシ・ライホのおかげでデスメタルを聴けるようになった自分に聞かず嫌いするジャンルはなくなりました。
むしろデスメタルのボーカルは汚ければ汚いほど良い。
おかげでチルボドと出会って以降のメタル生活(ライフ)は混迷を極めることに。

あの時、小川店のHR/HM担当がいなかったら、Childeren Of Bodomと出会っていない世界線があったらどうなっていたのか。人生の半分損していたのか?
きっと別のバンドや別のメタルが自分の中で大きな存在になっていて、それはそれで満足していたでしょう。

でも、今これを書いているChilderen Of Bodomが(デスメタルとしては)一番大きな存在であり続けていてるこの世界線こそ、自分にとってベストだなと思えるのです。


おしまい

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