見出し画像

はじめて名画座に行った日

映画にまつわる思い出ということで、
はじめて名画座に行った日のことを書こう。

はじめて名画座に行ったのは高校1年生の頃だ。
その頃の俺は実録路線の沼にハマっていた。

ちょうどその頃発売されていた映画秘宝の別冊、
「実録やくざ映画大全」をバイブルにTSUTAYAや配信サイトを駆使して次から次へと実録路線を制覇していた。

インパクト抜群の表紙!

その中に、どの配信サイトにも無い伝説の一本があった。
その名も「安藤組外伝 人斬り舎弟」

躍動する花形文太!

実録路線のスター、菅原文太がなんと花形敬を演じているというではないか!
み、見たい!

渋谷のTSUTAYAにいってもVHSすら置いていない幻の一本。
見られないとより見たくなるのがマニアの血である。
悶々としていたころ、本屋に立ち寄ったらある本を見つける。
「遊撃の美学 映画監督中島貞夫」

遊撃の美学ってタイトルがまたいいんだ

そして帯には、池袋新文芸坐にて中島貞夫特集とある。
ま、まさか!?

慌ててホームページを見ると、ラインナップの中にあるではないか「人斬り舎弟」!

行くしかねえ!

名画座で上映される映画は2本立ての日替わりが多い。
人斬り舎弟はまむしの兄弟との2本立てだった。
日替わりということは逃したら後がない!

バイトもせずに毎日部活に出ていた俺だったが、その日はじめて部活を休んだ。
普段真面目にやっていただけに、何の咎めも無くいざ池袋へ!

千葉から池袋、そこから新文芸坐に行くには時間ギリギリだ!
学ランのまま駅まで走る!走る!!走る!!

息を切らして京成線から山手線へ乗り換え!

池袋到着!
はじめて行く場所だけにナビを頼りに爆進!
風俗街を抜けてホテル街の中、パチンコ屋の2階にありました新文芸坐!!

最近行ってないなぁ

エレベーターは待ってられん!階段を駆け上がり券売機へ!

案外余裕の到着。
ホールには老人、老人、老人。
学ランなんて俺1人。

ホールに貼られたポスターを眺めていると開場時間。
場内には実録路線のサントラが流れる。
爺様方がビニールをクシャクシャ弄る。
どこかで缶の開く音がする。
ブザーが鳴り、幕が開けば予告編もなく、
東映の波飛沫!

映画が始まった!


それからというもの、新文芸坐はもちろんのこと、キネマ旬報シアター、シネマヴェーラ、ラピュタ阿佐ヶ谷なんかに足を伸ばした。
スクリーンで見ることなんて、無いと思っていた名作、怪作を見る高揚感は何にも変え難い。

ワイルドバンチ、七人の侍、Uボートは特に最高だった。

今では人斬り舎弟も、UNEXTで見られてしまう。
花の吉原百人斬りとか任侠外伝玄界灘なんかも伝説だったが、見られてしまう。
良いことではある。
が、伝説に胸躍らせた頃も懐かしく思える。

下郎の首とリチャード三世、見たいよー!


ちなみに、人斬り舎弟を見た後同志の感想を求めてインターネットを彷徨っていたら、映画ラジオを見つけた。
聞いてみたら、学ランで来ていた客がいたと言っていた…

いやん!

#映画にまつわる思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?