駐車場の猫は欠伸をしながら駐車場の猫は欠伸をしながら駐車場の猫は欠伸をしながら
休日、家でローグライクのカードゲームみたいなのを狂ったようにやり続けていたら上司から電話がかかった。「休みなのに悪いな」と言われたので「最近休日暇なんで大丈夫ですよ」と言ったら「うん、知ってる」と言われた。このおれは配達を生業(なりわい)としているので楽天スーパーセールに伴う荷物の状況、現場、人員の事を報告していただいた。それとは別にデカめのニュースとして、おれと同期の若人(わこうど)が事故ったらしい。それともう1件別の人が事故、それと更にもう1件事故。前代未聞、1日3回も事故があったようだ。史上初なんじゃないかしらん、1日で3回も事故を起こす会社なんて。上司は続けて「そんな事より10月みんなで走りに行こうぜ」と誘っていただいた。おれさまのNINJA400はZ900RS(2台)、GSX-R1000に勝てるのだろうか?バックステップの導入を検討せねば。
おれっちは同期の若人に連絡しようとした。が、いざスマートフォンを手に取ってみても言葉がひとつも浮かばず、何を話せばいいのかわからなかったのでやめた。ただ、今やつはとてもつらいのだろうと思い、そのあとローグライクのカードゲームみたいなのを狂ったようにやって結局狂って寝た。海水を飲む夢に苛まれた。不味かった。
出勤後のミーティングで事故についての話が出た。ディスプレイにドライブレコーダーの映像が映し出される。それがどこなのか判別するのに1秒もかからない。40km制限の産業道路、市内の東西を1本で結ぶ大きな道路だ。彼は小道へ右折しようとする。右折先にはトラックがいる。トラックが出てこようとしないと見て右折しようとする。対向車線からスクーターが来ている。車が右折していくとそのスクーターは画面の左側に流れていき画面が大きく揺れた。音はないがとても嫌な音がしたのだと感ぜられる。
詳しいことはよくわからない。相手が救急車で運ばれたこと、同期の乗務停止、先月と同じ右直事故であること以外には。ループする映像を注視する。この道路は時間帯によっては日光のため視界が悪くなることもあるが空は曇天に見える。スクーターの姿は小さいが判別できないほどではないし、見た限りでは40km前後の速度で左に寄らず道路の中央を走っていた。先月の右直事故と全く同じだ。なぜ、見落とすのか。
そもそも右直事故は言い方悪いけどかなり典型的な交通事故だ。バイク、とりわけスクーターは姿が小さく対向車線から走ってきていても大きな車と比べてより遠くに見える性質がある。あまりにも右直事故が多いため最近の二輪車講習ではこれを教える教習所も多い。実際バイクに乗ってて右直事故をもらいそうになったことは何度かある。その度に左手の親指と人差し指と薬指と小指を折って手の甲を見せつけるといったことをしたりしなかったりする。おれちゃんの目立つNINJA400ですらこれなのだから黒い小さなスクーターなんか危険極まりない。夜ならライトで見える。だからむしろ危ないのは昼間なのだ。
先月の右直事故のあと同期にそんな話をした。それでもこの事故は起きた。「見たけど行けると思った」のか「そもそも見てなかった」のかわからないが、どっちにしろ事故は起きたのだ。コノオーレは自分が当事者だったらどうなるかを勝手に考えてみた。俺はみんなが持ってるわけではない、あるいはもう捨ててしまったであろうジョーカーを手札に持て余したまま生きている。多分、なにもかも面倒で4のうとするだろう。ローグライクのカードゲームみたいなやつでも使える手札が光ったりする。敵(?)から強烈なデバフを受けたらオレはジョーカー以外切れる手札がなくなる。誤配達、誤投函、亡失。この仕事をやってる以上多くのリスクを抱えているが、事故だけは絶対に起こしたくない。カフェオレは間違いなく立ち直れなくなる。酷く落ち込んだ心を癒すため、配達先の客とたくさん話した。4匹の野良猫と遭遇したが全員逃げた。セクシービームの枯渇したおれちゃまには最早猫を引きつける魅力すら……家猫は普通に来てくれたので少し撫でさせてもらった。
なんか野良猫が自分の近くでのんびりしてるから触ってもいいのかと思って触ろうとしたら逃げられるの、女の子が自分に好意あるんだと勘違いしていざ勇気出したら普通に逃げられたみたいで悲しい。
明日もキンタマ9000回転!!パワーバンドでぶっちぎるぜ!!!ナーウ……(猫)
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