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茄子の天ぷらがデカすぎる

あら何ともなや昨日は過ぎて河豚汁

寒さしまって足の先まで

居合抜きあられの玉や乱すらん


君から連絡の来る夢を視た。幾つか夢む悪夢でもそれだけは一層昏く思えた。蜚蠊の夢、排水溝の夢、廃城の夢、会いたくてたまらない誰かと会えなくなる夢、重油に飲み込まれる夢、何度目覚めても夢から目覚められない夢。夢判断をする必要も無い。私からの連絡を最後に途絶えた君からの連絡を私は待ち続けている。情けない話だ。携帯の緑色の画面に君の名前が映っている。私は動揺を隠しながら返事を考えあぐねている。久しぶり、元気、話せる、何時会える。そんなことをきっと夢見ている。とっくに愛は腐っていたのだ。悲鳴をあげる暇もなく。

枯れ木に水を与えるかのように、痩せ細った愛に栄養を与えてきた。互いが互いの為に。しかし衰えた土地に咲く華は無い。君は子どもの為に、私は君の為に、私が君の子を名付けたとしてもその繋がりは絶たれ何時か私の知らない何処かで誰かが生きて行くだろう。

出来る事はやってきた積だ。君がその子の産まれる家庭に気を病んで受胎に身を窶して悪阻に呑まれて会えずに其れでも寄り添ってきた。八つ当たりされたり恨み言ばかり聞かされても。其れはきっと何処かで愛情と呼ばれたものだ。

然し、愛の亡骸に捧げる花が無い。唯手元には懜く燃え尽きた花束が身をもたげている。遺灰の随所に死人花が咲いている。せめて海の向こうにこそ救いがありますように。

最後の連絡は、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月、7月。

出産が終わったら、育児が落ち着いたら、旦那が出掛けたら、車検が終わったら。そんな言葉達もボロボロに煤けて死んでしまった。

夢だったのだ。

甘美な夢であるほど醒めた現実は冷たくなる。堕天の夢に狂ったルシフェルはコキュートスで今も凍りついている。夢は確かに終わる。然し其れは目覚めて始めて分かる事だ。だからそう、きっと今分かったのだ。夢は終わったのだと。

手のひらから零れて。

誰かと付き合って別れたらまたすぐ付き合い始める人がいる。酩酊から冷め始めたらまたすぐ酒を飲む人がいる。シンナーでアパシーに頭を垂れていたら正常に戻らぬようまた化学物質を吸い込む人がいる。タバコを吸い続ける人がいる。チェーンスモークというやつだ。素面に戻るのを恐れている。酔い続けたいのだ。愛に、酒に、シンナーに、タバコに、モルヒネに、阿片に、MDMAに、ハシーシュに、仕事に、マラソンに、抗議活動に、座り込みに。誰も正常でいられるほど強くはない。殊に人間は。

ある種の猿は発酵により自然で生まれた酒を飲むともう二度と酒には近づかないという。賢いものだ、我々はどうだろう?


ガードレール。

コンクリートブロック。

排気ガス。

トレノ。

バイパス。

側道。

標識。

高架下。


さらにその下。

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