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冷蔵庫の芯の味

朝7時にいきなり目が覚めた。いつ眠ったのかよく分からない。性欲に支配された中学生のような夢をみた。食い尽くした豆とバナナを買いに行く。そのついでにラーメンを食べる。


幸福のイデア

お盆休みとかいう謎の慣習のせいもあり平日11時なのにめちゃくちゃ混んでいた。これが嫌だから平日にのみ休日を設けてるのに時々こういうことがある。ラーメンは自分の知る限り最も美味い味噌ラーメン屋を選んだので当然美味かった。

ラーメン屋の近くのスーパーにバイクを停めて入店しようとして愕然とした。肩にかけてたのはadidasの小さなボディバッグだった。これでは豆もバナナもヤクルトも入らない。意味がわからない。ラーメンを食べたらスーパーで買い物をしよう、でもバッグは1番小さいやつにしようというのはどういうことなのか。酷暑と渋滞と異常運転ドライバーを切り抜けて帰宅、再訪した。自分のせいで苦しんでいる。

週末に遊びに行く予定があるのに台風が4つある。ひとつは温帯低気圧になったらしいが本当にこの星が憎くて仕方ない。当然偶然とわかってるが、「56すぞ」以外の感想が浮かばない。当日の天気予報を見たら降水確率100%だった。100て。ぐにゃりと椅子にもたれかかって髪を結ぶふりをしながらため息をついた。ぜんたいなんのための有給だったのか。何者かの復讐か悪意すら信じてしまいそうになる。そうでなければただ無慈悲な自然の理不尽をそのまま受け入れることが出来ない。

勝手に期待して勝手に裏切られたと感じて勝手に落ち込んで心の水槽に墨がどろりと落ちる。じわじわと水槽が黒ずんでいく。もう本当に狂う前に全部終わろうかと思ったがそうしたところで広がってしまった淀みはもう掬えない。駅から出ようと殺到する人のように溢れ出ようとする感情が言葉になれないまま出口を求め喉の下の方で立ち往生している。畢竟自分はそういう人間なのだ。普段人を徹底的に侮蔑してるぶん、いざ心を許すと無邪気な少年のように全てを期待してしまう。自分のせいで苦しんでいる。

マンションの下から、左右から、喧騒が鳴り響いてる。下の階は1LDKだかなんだか忘れたが最上階のこの部屋より幾分広い。お盆休みのせいだ。これがあと数日続くと思うと反吐が出る。ただでさえ夏は寝苦しく気圧の乱高下で不健康なのに神経質な頭に最も忌避してる人間の声というノイズまで乗っかっている。

まずい。何も楽しいことが思いつかない。働いてないと無意味なことを考えて思考が下方へ向かう螺旋となってしまう。

気がかりな夢。

今朝の夢は何を意味していたか。異性が顕われる夢では何故か性的な行為に及ばない。手を繋ぐ、触れる感じ、触れられる感じ、体温を感じ取る、掌の温度が混ざり合う。唇が触れ合う。驚いて動けない自分に何かを囁く。常日頃、生きることを許されたいと思っている。存在してもいいと言われたい。穢らわしくなどないとその手で教えて欲しい。その体現を夢むのは珍しくない。理想のアニマを受肉させてひとりお人形遊びをしていたわけだ。この無意識が。浅ましいことだ。

求めてるものがなんなのか分からない限り求めてるものは手に入らない。当たり前のことだがみんな時々忘れてしまう。

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