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予防歯科から生まれた……悪魔(デビル)……


手前にイルカの抱き枕

9時に歯医者の予約を入れていた。9時て。休日なのに定時ですか?朝日が起こしてくれたので豆とバナナを食べてコーヒーを飲んでバイクにまたがる。

毎回歯医者に行くと思うけど、ピアノジャズよりもDragonforceとかslipknotを流して欲しい。麻酔を施されて歯を削られるんだから。ギュィイイイインなんて破壊音にはメタルがふさわしい。メガデスとかでもいいかも……。

歯医者ってコンビニよりあるみたいで、動物の宿痾たる虫歯がどれだけ人を苛んでいるかを思い知る。ていうか歯磨いてますけど。

生きる上で必要なこと、ライフラインを担う商業は安泰だけど、歯医者もそうかなと思う。虫歯は消えない。古来より動物が、人が虫歯に苦しんできた証拠があるからだ。頭蓋骨には歯を懸命に磨いたあとが、そこから脳にまで侵食していった跡が。医療は強い。少しく資本主義の、社会の中であれば。

奥歯が銀色になった。次は前歯らしい。前歯は元々内巻きに生えてたから磨き残しが生まれてきててもうちょっとどうしようもないらしい。歯ってなんなんだ。サメみたいに無限に生えてくれ。

店員がかわいいので結婚したい。マスクしてるから7割近く顔はわからないけど。

歯医者を出たのが9時半。まだ朝だ。見知った顔の配達員とすれ違う。朝には、ああ、朝には、立ち上がり、求めなくてはらない。なぜなら、今が朝だからだ。

現X (旧Twitter)のフォロワーが教えてくれたラーメン屋に行こうとする。気温は24度、1時間程度ならわけない。自宅と真逆に走り出した。

「死ぬわ」

めちゃくちゃに暑い。地球か?太陽なんか。陽射しとコンクリートの反射する熱と、トラックの排気ガス。Tシャツとフルメッシュジャケットを羽織ってるのに額からどばどば汗が流れる。まだ梅雨でもない春なのに、夏になったらどうなるのか。ウインカーを出さない軽自動車、一時停止を無視してくる軽トラック 停車から、1速に入れるのが遅すぎる大型トラック、道路交通法度外視二輪車、ガキ。首から下げたドッグタグがバキバキ肩に当たる。旧友の「グ」のお土産が。

大船駅。何度か通ったことがあるけどバイクの駐輪場がわからずに素通りした。結局駐輪場を発見するまでに15分かかった。一方通行とか知ったことじゃないぜ。アピールが弱いぜ。駅前は一方通行が多すぎる割にアピールが弱すぎてよくわからないぜ。🖕。

125cc以上はこっちというジジイの戯言を聞いて駐車した。

ラーメンを食べるためには高すぎる料金を払って駐車する。ジクサー、レブル、GSX、ロードグライド、初代Ninja、二ダボ。街に降りる。

「なんやこいつら」

東南アジアの市場(いちば)みたいな光景。野菜、魚、装飾品、服、靴。店からはみ出るくらい露見させている商品。ババアとジジイしか往来にはいない。髪を結んだ30歳のゴリゴリバイクジャケットおじたんは浮いていた。ふわっと。横浜もほとんど田舎だなあ。

大船とはいえ横浜に少しく暮らした時を思い出す。新横浜のバーで、安い日給で、誰かの家に同棲して、ワンルームで、おれには金がなくて、私の彼氏と紹介されてもロクに話せなくて、人よりずっとずっと若くて子どもらしかったこととか、与えられてばかりで与えることができなかったことを悔やむばかりで、その時間を額縁に飾った時名づけられるその表題(タイトル)は、

「愚かさ」。


拒絶

ローソンで借りたトイレのドアが「何物も私には引っ掛けられないわよ」と言っていた。カバンをかけたかった。

おいしいぜ!

ラーメンはめちゃくちゃ美味かった。焼き……あご……?顎……?魚……?だし……?みたいなのが頻繁に薫ってきて、太くちぢれた麺に絡んでくる。低温調理されたチャーシューと煮豚がたまらない。海苔は普通の海苔じゃないとわかるくらい磯の香りがして、焼きあごのダシと絡んで美味すぎる。それぞれのトッピングがそれぞれに適応していて1度食べただけじゃわからないものを予見させる。一回見ただけじゃわからない映画みたい。こんなラーメンあるんだな。教えてくれてありがとう。横浜方面に用があったら毎回来ちまうな。

店員が鼻をかんでてかわいかった。結婚したい。

コーヒーが飲みたかったので適当に往来をゆく。龍が如くならサブイベントが発生する路地裏で缶コーヒーを飲む。カツアゲくんは現れなかった。

人々が歩いていく。秒針のように、風のように。アフターファイアーで語りかけるように、囁くように。4度目のクレッシェンドのように。

「あちいわ。ほんまにころすぞ」

暑い。26度なんて嘘だと思う。地面の反射熱と排気ガスで999999999999兆億度はある。ヤビツまで行こうと思ったけど死の危険を感じて帰宅する。本当に死ぬ。

余談を貼り付けて眠ります。

今思うとここら辺から酔ってるなって感じなので適当に流してください

デュワーズを飲みます。

「私が幼い頃、父は私にMDプレイヤーを与えた。MDには流行りの歌やポップスを入れてもらって、安い有線イヤホンでその音楽を聴いていた。ポルノグラフィティ、B’z、L'Arc~en~Ciel、GLAY、親父が勝手に入れた昭和の音楽、ZARD、華原朋美、BOOWY、レディオヘッド、OASIS、ローリング・ストーンズ、シカゴ、ビートルズ、クリーム、メガデス、メタリカ、ディープ・パープル、Queen、ニルヴァーナ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、イーグルス、ガンズ・アンド・ローゼズ、ドアーズ、フーファイターズ、リンキン・パーク、ショットガンで、愚かな王様が、アクロの丘で、ミスターチルドレン、掌で、曇った瞳で、エイリアンズで、愛が呼ぶほうへ、Cassis、CrazyTRAIN、フライングV、スムーズ・クリミナル、朱ク散ル僕ノ蒼、オンリーロンリーグローリー、SilverWing、ギブス、ガガーリン、Miss Moonlight、美術館で会った人だろ、ジレンマ、dilemma、慟哭なりせば、ロシア語で戦争を意味する、ドント・ルック・バック・イン・アンガー、今宵は君のための舞台照明、ソリッドギターとカジノとフレットのやかましいまでの奇数と、なだめるように、自分に言い聞かせるように、頭蓋骨の中でこだましてくれそのための言葉たちよ、愛の種を踏み潰して、レイニーブルー、君の瞳に住んでいたい、ファルセットで、ハイトーンで、ミックスボイスで、グロウルボイスで、ガテラルボイスで、下水道で、豚の嘶(いなな)き、レ・ミゼラブル、。夜の帳に孤独が押し寄せてきたらプレイボタンを押した。音響が暗闇の払暁となるからだ」。

「あいつ自殺したってさ」

「かわいそう」

「そうだね」

「誰だっけ?」

「公園で」

「誰……?」

ざわざわと揺蕩う有刺鉄線、シリンジ、鍵穴、グローブ、バスドラム、甘い「F」の発音、事務所に置いておいて、捺印、烙印、業火と煉獄と手風琴とダブルの革ジャンと樹脂とパーカッションとまだ景色を写し出すには足りえないガラスの窓と這いつくばってもがいて溺れて靴を舐めた覚えはない、過呼吸でチェックフラッグで道化師の六絃琴と悪魔の自鳴琴、ベルトを少しだけ緩めて、カノンコードなんて時代遅れだから、マイナーコードとグラビティコードとドミナントコードで、赤い着色料、サボテン、幻覚か現実かわからない虫の這う音、11番目の針金、塾の空き時間に聴いた大好きな音楽と塾の授業中に聞こえた大嫌いな声と、ペダルから軋む音と、風が幸福を運びペダルが呪いを討ち払い、ぼくは歌っている、屠殺された牛のように、首を切られた豚のように、「多すぎるから」で振り下ろされた斧で、「ガシャン」という心地よい音と動脈から溢れる血と心臓が哀れ送り続ける血と血と血と罪深き淑女の喀血と胎盤、細菌、常在菌、カポなんかいらないかも、バイパスの澄んだ空気と、中指、忘れられたくはない、ルーズ、ルーズ、ルーズ、ルーズ、地を這う夢、ゴボゴボとわけのわからない言葉を嘔吐する夢、ドロップDの夢、巨人の足音のような夢、君に降り注ぐ雨の夢、チェーンソーが駆動する夢、鉈を便りに追いかけてくる夢、ピックよりもスラップの夢で、指から奏られる夢、黄金色、棘の生えた蜘蛛になりたい、回り出したあの子と僕の未来が止まりどっかでまたやりなおせたら、落ちて、落ちて、落ちて自ら絡まって宙に溺れる?トゥルリルララ、トゥルリルララ、ここの団地の1階で、ゴルフバット、ごきぶり、ガチガチ、この公園で遊んでる子ども見たことない、血の部屋着、鞦韆(ぶらんこ)、せせら笑うかのようにはくじつのもと、ごきぶり、ポケットとカミソリと6弦の歪んだ調律(チューニング)とバスドラム、縺(もつ)れる、ストリングス、提琴、「ナンバーワンよりオンリーワン」、ガソリン、炎、天井が遠のく、明日が来てしまうから、生まれながら価値があるやつなんていなくて、生まれてどうにか価値を獲得するやつしかいないんだから価値がないやつにも価値があるなんて嘘はやめてくれ、謝肉祭、誕生日、感謝祭、シャベル、スコップ、信じる神もいないけどその墓場に捨てて欲しい、赫、絲、君を見つめるほどの強さを持たない、その瞳に映る僕、あわせ鏡、紫色(むらさきいろ)、大蛇の欠伸、大王の嚏、ゴミ捨て場に群がるゴミみたいなやつとゴミ捨て場で発酵したゴミが太陽光によって発火して注目を集めてそこに広告が貼り付けられる、ゴミどもとゴミの腐臭とゴミみたいな経済、柘榴(ざくろ)、首筋の歯型、のこぎり、虹色の長いマフラー、指切りをした小指までも、ゆらあり、ゆらあら、ら、砌(みぎり)、「結婚したの?」、髑髏砕きの一撃、消失の詩歌、やっと吊るしてもらえた、黄金架のドラゴン、1776年、1969年、酔ってラリってる間にこの30代も終わってとろとろと溶けていれば寿命が来てしまう、やっぱりひとりはさみしい、第2宇宙速度、右目、左目、右手、左手、右足、左足、首。伸びきった髪、オーバーサイズのワイシャツ、ダメージジーンズ、誰かのお父さんが着てたカーディガン、煮沸消毒、静脈から流れる血と動脈から吹き荒れる黤い血とイトーヨーカドーの3階にあったおもちゃ屋とジャスコのフードコート、服屋の隣のサーティワン、大和厚木バイパス、東名高速道路、横浜横須賀道路、旧善波トンネル、「もう死なないで準一」、廃校の屋根から見下ろしていたワンピースの女性、かえるのうた。

げこげこ。


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