いよいよ現実的になってきた日本のIR・カジノについて
※2021年9月30日時点の情報を元に書いてます。今後の情勢により内容が変更される可能性がある点をご了承ください
まずはおさらい、IR整備法
正式には『特定複合観光施設区域整備法』と言います。IR整備法は通称ですが、ここではIR整備法に統一します。
IR整備法は2016年に成立したIR推進法を元に2018年に成立した法案です。似たような法案で混乱するので、IR整備法だけ覚えてれば大丈夫です。IR整備法はIR・カジノ事業を通じて「観光」と「財政貢献」を主な目的とし、地域と民間が主体となって周辺区域を整備して財政改善することを推奨しています。細かい内容がいくつもありますが、ここでは特に重要な項目だけピックアップして紹介します。
区域制度
カジノにはいくつか制限があります。
・カジノを含むIR施設は全国に3つ(将来的に増加予定あり)
・1箇所につきIR施設は1つ
・カジノは1箇所に1つ
IR施設とは、以下の施設から構成される複合施設を指します。
・カジノ
・国際会議場・展示場など ※通称MICE(マイス)
・観光の魅力増進施設(伝統・文化を生かした展示や講演など)
・送客機能施設(旅行手配・交通インフラ)
・宿泊施設
・映画館、プールなどのアミューズメント施設
・ショッピングモール
これらの複合施設を国と地域だけでなく、地域が選定したIR事業者と協力して設置・運営します。IR事業者はカジノ管理委員会という組織に認定される必要があり、納税の義務があります(国と地域へ15%づつの計30%)。これらの財源は地域経済や社会福祉に貢献されることが期待されています。
そして現時点では大阪・和歌山・長崎の3箇所がIR誘致を決めています。
※日本人にはカジノへの入場規制が設けられます。興味ある方はこちらの記事も合わせてお読みください。
カジノができるまでのプロセス
健全なIR・カジノを運営するために、IR事業者と地域が協力して綿密な計画を練り、国が厳正に審査する必要があります。そのためのプロセスがいくつかあるのですが、現時点(2021年9月)では「基本方針の策定」が終わり、IR事業者の公募・選定も決まりました(赤枠)。
本来は去年の4月に決まる予定でしたが、COVID-19の影響で大幅に遅れが生じました。紆余曲折ありましたが、ようやく3箇所の都道府県がタッグを組むIR事業者を選定し、来年の4月には整備計画を申請する段階までこぎ着けました。この申請が国土交通大臣に認定されれば次のステップへ進めます。まだ先は長いですが、各都道府県のIR事業者が決まったことは大きな前進と言えます。
都道府県ごとのIR事業者
各都道府県が選定したIR事業者をまとめます。日本では大阪・和歌山・長崎の誘致が概ね決まり、IR事業者も選定されました。
大坂・夢洲
【事業者】MGMリゾーツとオリックス(アメリカ・日本)
【特 徴】規模が大きく海外からも人気で十分な集客を見込める
夢洲へのインフラ整備が課題
和歌山・マリーナシティ
【事業者】クレアベストニームベンチャーズ株式会社(カナダ)
【特 徴】既にリゾートとインフラがあり初期投資が少ない
近くに大阪IRもあるので、相乗効果を狙う
都市やカジノ自体の規模が小さめで集客が課題
長崎・ハウステンボス
【事業者】カジノオーストリア・インターナショナル(オーストリア)
【特 徴】既にリゾートとインフラがあり初期投資が少ない
中国・韓国などアジアからのアクセスが良好
九州地方のアクセス整備が課題
どこも概ね2020年代後半を開業目標にしています。ラスベガスやマカオなど本場カジノを牽引する大手が軒並み撤退した中で、どのようなカジノが出来るのか不安もありますが期待も大きいです。完成予定のイメージ図を見てるだけでワクワクが止まりませんね。
さいごに
IR・カジノが実現すれば同時に大量の新規雇用も生まれます。施設は建設するだけでなく、当然ですがそこで働く従業員がたくさん必要になります。
将来、日本のIR・カジノで働きたい人は今のうちからどんな職種があるか調べて目標をたてて準備するのが良いと思います。また新しい物が生まれる瞬間は新規ビジネスチャンスもあるかもしれません。
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