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宝くじ魔法学校(#毎週ショートショートnote)

クリスマスの炊き出しはいつもより侘しい気になる。
それでも街じゅうが浮かれてる中、熱い汁やおにぎりをもらえるんだから有難いよな。いつものメンバーには本当に感謝だ。

白い息を吐きながら足踏みして列に並んでいると、
「今年はクリスマスプレゼントがあります」
ボランティアの学生が年末ジャンボを1枚ずつ皆に配ってくれた。
これが当たれば万々歳だが、世の中そんなに甘かねえ。
それでも心遣いが憎いじゃねえか。晦日までの小さな楽しみだ。
俺は大切に持ち帰り、妻の位牌の隣にそっと置いた。

迎えた晦日、抽選日。
あの日だけは世の連中と同じようにちょいとワクワクしたね。まあ当たらねえのがお約束だが。シケモクを吸いつつ街角でテレビを見つめた。

結果?
見事に末等さえかすりもしなかった。
ところが特別賞があったのさ。
それは賞金でなく、「魔法学校」とやらへの入学資格だった。
その番号がなんとこの俺の――



あれから1年だ。

この国からホームレスが消えたのは言うまでもないだろ?

(415字)


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