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カミングアウト

緊急事態宣言が出て以降初めて新宿二丁目に来ました。
禁煙のお店が増えていたり、マスクをつけずに喋ると一言声をかけられたり、なんとなく様相が変わっていましたが、
金曜の夜はなんだかんだの賑わいでした。

私はレズビアンバーは2回目でしたが、恋人がどんな場所か興味がある、とのことでいろんな人に声をかけてみて、共通のお友達もできました。

でも何より、へんてこりんな装いの男性がニコニコと2人で連れ立って歩いていて、目があったので手を振ったら投げキッスをくれたのが素敵だった。
当事者にとっても特別な街だけど、人と違うことが歓迎されるこの街の空気はとても好きです。

「今まで誰にも話したことがないことなんだけど・・・」という枕詞で始まる、深刻な話を最近周りでよく聞きます。
私はとてもフレンドリーな人間と自負していますが、その反面自分自身の知られたくないこと、私自身の秘密は固く持っています。

私にとってバイセクシャルであることは特に秘密ではありません。所謂、オープンリーというやつです。
理由は、「海外で同性婚をした友達」が高校時代からの付き合いで、同性愛者に対する固定概念が生まれる前に「ただそこに存在する人」だったからだと思います。
周りにも同性愛嫌悪はなく、私自身もバイの男性とのお付き合いもありましたし、性嗜好に関しては恵まれた自由な環境でした。

私がバイセクシャルである、ということをこの間とある長い付き合いの男性の友人に告げたのですが、ここに書くような特に面白い反応はありませんでした。
ただ、その友人にもバイの人がいたようで、その人はカミングアウトするのにとても不安だったそうです。
「カミングアウトされて、どう思った?」と聞いたら、彼は「秘密を打ち明けてくれて嬉しかった」と言っていました。

そう、私も最近友人に
「今まで誰にも話したことなくて、もし引いても言わないで欲しい。いや、大事な友人だから、もし『ないわ〜』と思ったら、言って。知らないところでドン引きされてたら悲しいから」
と言われ、話を聞きましたが、内容はなんてことない話でした。
ただ、話してくれてありがとう、と思いました。

私自身の秘密を、彼女に話しました。
きっかけは、彼女が『一緒に住みたいな』という度、私が絶対に嫌だと頑なだったことでした。
どうしても、話したくないことがあったからです。他人からするとどうでもいいことなのはわかっていました。それが悪いことでないことも知っていました。
それでも打ち明けた時は半ばヤケクソで、「もう、軽蔑してくれ」「どうにでもなれ」「嫌いになってくれ」、そんな気持ちでいっぱいでした。
彼女は「え?それが秘密?」と言った具合でした。

私は、自分自身への偏見に苦しんでいたんだと思いました。
もし、周りにホモフォビアの人がいて、女性を好きになったら、これもきっと私自身への偏見になっていたんでしょうね。

これは別の人で当人にとって秘密ではなかったのでここに記述しますが、「父に『死ね』と言った翌朝、本当に死んでしまった」知り合いもいました。
何も感じないわけではなかったけれど、少なくとも本人を責める気にはなりませんでした。

1人で秘密を抱えることの安心感はよく知っています。誰からも咎められず、後ろ指を刺されるような気がすることも気のせいだと自分に言い聞かせられます。
でも、もしその秘密が、自分自身を苦しめるほど追い詰めるのだったら、大事な人に打ち明けて、『秘密を共有する友達』になってみませんか?
私の友人のように、「話してくれて、ありがとう」と言われるかもしれません。

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