#93 東京都のビジョン(2016/7/27)

今日のざっくりは東京都のビジョンについてのざっくりです。(めっちゃ長文&読みにくくなっています。すみません)

石原都知事時代の2007年から「10年後の東京」計画というのがありましがた、それを引き継いだ形で2011年12月に「2020年の東京」(2011年〜2020年)が策定され、8つの目標を定め、毎年実行プログラムを組み2012年(石原時代)には7500億円、2013年には7832億円(猪瀬時代)の予算をつけていました。各目標と2012年予算、2013年予算は以下のとおりです。

目標1 高度な防災都市を実現し、東京の安全性を世界に示す

目標2 低炭素で高効率な自立・分散型エネルギー社会を創出する

目標3 水と緑の回廊で包まれた、美しいまち東京を復活させる

目標4 陸と海と空を結び、東京の国際競争力を引き上げる

目標5 産業力と都市の魅力を高め、東京を新たな成長軌道に乗せる

目標6 少子高齢社会における都市モデルを構築し、世界に範を示す

目標7 誰もがチャレンジできる社会を創り、世界に羽ばたく人材を輩出する

目標8 誰もがスポーツに親しみ、子供たちに夢を与える社会を創る

これに従って立てられた予算は

・「2020年の東京」のビジョンに沿った予算

  2012年 ざっくり 7500億円

  2013年 ざっくり 7800億円

(以下、数字は 2012年 / 2013年 となっています)

目標1(防災都市を実現)       2610億円 / 3460億円

目標2(分散型エネルギー社会)    440億円 / 509億円

目標3(美しいまち東京の復活)    580億円 / 579億円

目標4(陸・海・空、国際競争力向上) 2390億円 / 2062億円

目標5(産業力と都市の魅力・成長力) 210億円 / 169億円

目標6(少子高齢社会)        950億円 / 688億円

目標7(チャレンジできる社会)    120億円 / 147億円

目標8(スポーツ・夢を与える社会創出)150億円 / 218億円

「2020年の東京」計画は2011-2-16年の予定でしたが、オリンピックの開催が決まり、猪瀬知事時代の2013年に新たな長期ビジョンの策定に入ました。その年の末に策定される予定だったのですが、知事退任によってその年に策定されず、舛添知事に代わり策定が遅れたことから、2014年、15年についてはそれに係る予算がまとめられていません。ちなみに、2014年度および2015年度の予算案において主要な施策として取り上げられているのが以下の6+1点です。主要施策の予算として上げられていたのが以下の点になります。

1.オリンピックの開催に向けた取組*  170億円 / 561億円

2.誰もが安心して暮らせる都市の実現 1692億円 / 2011億円 

3.高度な防災都市の実現       1920億円 / 2577億円

4.世界に誇れる産業都市の実現    3761億円 / 3934億円

5.安全・快適で魅力ある都市の実現  3187億円 / 5392億円

6.夢と希望を持てる都市の実現     436億円 / 483億円

(参考)多摩・島しょの振興     2206億円 / 2615億円

*「オリンピック・パラリンピックの開催に向けた取組」が正しい項目名です。画面の見やすさを考えてパラリンピックを割愛させていただきました。

どの項目も増加傾向にありますが、特に目立つのが「オリンピック・パラリンピックの開催に向けた取組」(+391億円、3.3倍)、「安全・快適で魅力ある都市の実現」(+2205億円、1.7倍)。また、参考として多摩・島しょの振興として2200〜2600億円程の予算が上げられているのが特徴的です。(多摩・島しょの振興は後に策定される東京都の長期ビジョンの都市戦略に加えられています)

増加の要因として大きいのは、それぞれ、オリンピック・パラリンピック競技施設等の整備 468億円(前年度43億円)と「豊洲新市場の整備 2,246億円(前年度382億円)となっています。

知事交代で1年遅れた長期ビジョンの策定ですが、2015年12月に「2020年の東京」に代わる新たな長期ビジョン「東京都長期ビジョン」が策定されました。目指すべき将来像として「世界一の都市・東京」の実現を掲げた東京都長期ビジョンの各目標は以下のとおりです。

【目指すべき将来像】

「世界一の都市・東京」

【基本目標Ⅰ】史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現  

都市戦略1 成熟都市・東京の強みを生かした大会の成功

都市戦略2 高度に発達した利用者本位の都市インフラを備えた都市の実現

都市戦略3 日本人のこころと東京の魅力の発信

【基本目標Ⅱ】 課題を解決し、将来にわたる東京の持続的発展の実現

都市戦略4 安全・安心な都市の実現

都市戦略5 福祉先進都市の実現

都市戦略6 世界をリードするグローバル都市の実現

都市戦略7 豊かな環境や充実したインフラを次世代に引き継ぐ都市の実現

都市戦略8 多摩・島しょの振興

2016年予算では、都は2020年とその先にの東京と日本全体に対する「投資」という視点から2015年に策定された「東京都長期ビジョン」に基づく先駆的な施策に対し、重点的に予算を配分しています。2016年度に予算では1兆2848億円を計上しています。

・東京都長期ビジョンの2016年予算 ざっくり1兆3000億円

2016年度予算でそれぞれに割り振られた予算は、

【基本目標Ⅰ】(オリンピック・パラリンピック)  

都市戦略1 (大会の成功)      1513億円

都市戦略2 (発達した都市インフラ) 2365億円

都市戦略3 (東京の魅力発信)    456億円

【基本目標Ⅱ】(東京の持続的発展)

都市戦略4 (安全・安心な都市)   4243億円

都市戦略5 (福祉先進都市)     1286億円

都市戦略6 (グローバル都市)    1088億円

都市戦略7 (次世代に引き継ぐ都市) 4057億円

都市戦略8 (多摩・島しょ振興)   1767億円

石原・猪瀬知事時代のビジョンに向けた予算規模が8000億程度だったことを考えると、およそ1.7倍、5000億ほど予算が大きくなっています。(細かい予算項目別にみて大きくなっているものもありますが、全体予算規模はそこまで大きくなっていないので何を重点項目として目標に取り込んだ項目が多くなったと言えると思います)

今回また知事が変わり新たな長期ビジョンが策定されて、その目標ごとに予算が組まれることになるとでしょう。ますます比較がしにくくなりそうです。都政の長期ビジョン・継続性と新たな知事の独自色。これだけ知事が変わると一貫性を保つのがなかなか難しいですね。

(正直なところ、「2020年の東京」と「東京都長期ビジョン」、どちらも素晴らしいと思うのですが、詳細に見るとかぶりが多くて表現だけが変わったような項目もあり、違いがわかりにくいかなと。。。)

以下、参考までに「2020年の東京」と「東京都長期ビジョン」の目標と施策を記します。

「2020年の東京」2011年策定=========

目標1 高度な防災都市を実現し、東京の安全性を世界に示す

(1)震災対策に集中的に取り組み、地震に負けない都市を造る

(2)自助・共助の力を最大限に活かし、被害の最小化と都市機能の早期回復を目指す

(3)気候変動がもたらす豪雨などの都市型災害への対策を強化する

目標2 低炭素で高効率な自立・分散型エネルギー社会を創出する

(4)経済成長と環境の両立を目指し、東京から新しいエネルギー政策を発信する

(5)世界で最も環境負荷の少ない、最先端の低炭素都市を実現する

(6)世界に誇るクリーンな都市環境を創出する

目標3 水と緑の回廊で包まれた、美しいまち東京を復活させる

(7)緑のネットワークをつなげ、自然豊かな東京を次世代へ継承する

(8)人々が集い、賑わいが生まれる水辺空間を創出する

(9)首都にふさわしい美しい都市景観を創出し、東京の価値を高める

目標4 陸と海と空を結び、東京の国際競争力を引き上げる

(10)陸・海・空の高度な交通ネットワークを形成し、国際競争を勝ち抜く

(11)都心等の拠点整備を進め、東京をさらに高機能な都市へ進化させる

目標5 産業力と都市の魅力を高め、東京を新たな成長軌道に乗せる

(12)東京の発展を支える産業の育成により、アジアNo.1のビジネス拠点を形成する

(13) 東京の多彩な魅力を演出・発信し、国内外から来訪者を呼び込む

目標6 少子高齢社会における都市モデルを構築し、世界に範を示す

(14)子供を産み育てる家庭を社会全体で支援し、少子化を打破する

(15)高齢者の多様なニーズに対応した社会システムを構築する

(16)障害者の地域生活を支援し、誰もが共に暮らす社会を実現する

(17)生涯にわたり健康に暮らし、質の高い医療が受けられる社会を創る

(18)住み訪れる人が安心・快適に過ごすことができるまちを創る

目標7 誰もがチャレンジできる社会を創り、世界に羽ばたく人材を輩出する

(19)子供たちの知・徳・体を鍛え、次代を担う人材を育成する

(20)若者の挑戦を応援し、世界で活躍する人材を輩出する

(21)意欲と能力に応じて活躍し、将来に希望を持てる社会を創出する

目標8 誰もがスポーツに親しみ、子供たちに夢を与える社会を創る

(22)トップアスリートの育成と、誰もがいつまでもスポーツに親しめる環境を実現する

「東京都長期ビジョン」2015年策定=========

【目指すべき将来像】「世界一の都市・東京」の実現

【基本目標Ⅰ】史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現  

・都市戦略1 成熟都市・東京の強みを生かした大会の成功

 政策指針1 2020年大会の成功に向けた万全な開催準備とレガシーの継承

 政策指針2 美しく風格があり、誰もが安心して過ごせるバリアフリー環境の構築

 政策指針3 多言語対応の推進により、全ての外国人が快適かつ安心して滞在できる都市の実現

 政策指針4 世界に存在感を示すトップアスリートの育成とスポーツ都市東京の実現

都市戦略2 高度に発達した利用者本位の都市インフラを備えた都市の実現

 政策指針5 陸・海・空の広域的な交通・物流ネットワークの形成

 政策指針6 誰もが円滑かつ快適に利用できる総合的な交通体系の構築

都市戦略3 日本人のこころと東京の魅力の発信

 政策指針7 「おもてなしの心」で世界中から訪れる人々を歓迎する都市の実現

 政策指針8 芸術文化都市を創造し、日本文化の魅力を世界に発信

【基本目標Ⅱ】 課題を解決し、将来にわたる東京の持続的発展の実現

都市戦略4 安全・安心な都市の実現

 政策指針9 災害への備えにより被害を最小化する高度な防災都市の実現

 政策指針10 日常に潜む危険や犯罪から都民を守る、安全・安心の確保

都市戦略5 福祉先進都市の実現

 政策指針11 安心して産み育てられ、子供たちが健やかに成長できるまちの実現

 政策指針12 高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現

 政策指針13 質の高い医療が受けられ、生涯にわたり健康に暮らせる環境の実現

 政策指針14 障害者が地域で安心して暮らせる社会の構築

都市戦略6 世界をリードするグローバル都市の実現

 政策指針15 日本の成長を支える国際経済都市の創造

 政策指針16 都心等の機能強化による東京の都市力の更なる向上

 政策指針17 若者や女性、高齢者など全ての人が活躍できる社会の実現

 政策指針18 東京、そして日本を支える人材の育成

 政策指針19 2020年大会の成功と東京の発展に寄与する都市外交の推進

都市戦略7 豊かな環境や充実したインフラを次世代に引き継ぐ都市の実現

 政策指針20 スマートエネルギー都市の創造

 政策指針21 水や緑に囲まれ、環境と調和した都市の実現

 政策指針22 都市インフラの安全性を高め、安心できる社会の確立

 政策指針23 少子高齢・人口減少社会におけるこれからの都市構造

都市戦略8 多摩・島しょの振興

 政策指針24 多摩・島しょ地域の発展・成熟したまちづくりに向けた環境整備の推進 1,467

 政策指針25 多摩・島しょの豊かな自然を生かした地域の活性化 300

Source:

「2020年の東京」実行プログラム2012

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2011/12/DATA/70lcm156.pdf

「2020年の東京」へのアクションプログラム2013 平成25年度予算化状況

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2013/02/DATA/70n2d111.pdf

東京都長期ビジョン 平成28年度の事業展開(平成28(2016)年2月)

http://www.seisakukikaku.metro.tokyo.jp/tokyo_vision/vision_28jigyo.pdf

東京都財務局 東京都の財政(平成28年4月)

http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/syukei1/zaisei/2804tozaisei.pdf

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